16話 おじいちゃん
ドタドタと音がしたかと思ったら、部屋のドアが勢いよく開いた。
「ラメル、無事か?!」
髪からボタボタと水をたらして、息を切らしている。
水も滴るユヌカスだ。
「ほお、この中を普通に動けるってすごいな、お前」
ん? そういえば気がつかなかったけど、部屋付きのお姉さんたちは動けずに固まってる。
「ラメルに手ェ出して、ただで済むと思うなよ」
初対面でクブダールを敵認定したらしい。
おお、もっとやってやれ!
「ラメルの部屋に不審者がいる、と報告があったから急いで来たんだ」
ユヌカスが、クブダールから目を離さずに私との間に入る。
助かった〜、なんか変な圧力あるんだもん。
この黒い重圧感。
「お前こそ、誰の許可取ってこいつに近づいてんだよ」
クブダールに引っ張られてよろめく。
ユヌカスの後ろに隠れていたのに、捕まるとは!
「はあ? 貴様ラメルの何だよ」
クブダールと私の腕を離そうとしながらユヌカスが聞くと、クブダールの動きが止まった。
その間に2人でクブダールから距離をとる。
「ラメルがシルヴィアの子孫ってことは間違いない。時の流れ的に子どもってことはないよな。孫あたりか? 」
自分の世界に浸って、ブツブツ呟いてる。
時間かかる? 時間かかるのかな?
「ラメル、何の話だ?」
「わかんない」
もういいかな。クブダールほっといて朝ごはん食べたい。
お姉さんたちに近づいて、黒っぽく見えるモザイクを解除する。
朝ごはんが食べたいです。
ジェスチャーで伝わるか。
声を出して、クブダールが正気に戻っても面倒だしな。
パントマイムタ~イム!
カチャカチャ切って、口に運ぶフリをする。
わかる? わかるかな?
お姉さんたちが指でOK出して、準備に取り掛かった。
ユヌカスもちゃっかりイスに腰掛けている。
「ラメルと一緒に朝食だなんて、今日はいい日になるな」
ユヌカスが爽やかスマイルだ。
ルンルンで食事をしていたら、クブダールがキリッと立ち上がった。
「ラメルは俺の孫だ」
結論が出たらしい。
って、ええええええ?!
え~と、5才児に見える、おじいちゃんができました。




