11話 死んじゃった?
私、水死体になったぽい?
ピンクアイのお姉さんたち、ガクブル、おいおい泣いている。
ユヌカスから冷気が漂ってるし、父様からは熱気が上がってる。
「人生を左右する洗礼石を、全て池から持ち出しておくなんていう行為を、イタズラなんて生温い言い方できませんよ。死刑ですね」
ユヌカスの剣がガチャンガチャン鳴ってる。
「持ち得る権力と資金全て投げ打って、彼女たちの解体作業に入っていいですか?」
父様の右手高速巻き巻きでグルングルンしてる。
「ラメルを亡き者にした報い、その身に受けるがいい」
って、私死んだのかなあ。
「ラメル、死んでるの?」
私、透明になってないけど。
「通常水中にいられる2時間を、ゆうに過ぎても戻ってこないラメルが、3日後にプカ〜と浮かんできたのだ」
「死んでしまった。殺されたんだ」
父様泣いてるね。
でも私の足、あるんだけど。
「死んだのかあ」
実感ないわあ。
自分の手とか足とかツネツネしてたら、父様とユヌカスがシェーのポーズして少し飛んだ。
顔おもしろいことになってるよ。
「ラ、ラ、ラ、ラ、ラ、ラメル?」
「い、い、い、い、い、生きてる?」
すごい勢いでやってきた父様とユヌカスに、むっちゃ揺すぶられているよ。
死ぬ、死ぬ、私、本当に死んじゃうよ!
私を殺すの、父様とユヌカスなんじゃない?!
ピンクアイのお姉さんたち
「わたくし、全面的にユヌカス様とラメル様を応援しますわ」
「私もです。お任せください。美容のプロですの」
「わたくしは父上たちが反対できないように、締め上げますわ」
とか手を握りあってる。
なんか応援されること、はじまるっぽい。
「いや、妻がもう長くない。ラメルも無事に洗礼を終えたことだし、ナンテコッタに帰ろうと思う」
父様が私をぎゅーってしながら宣言する。
「いやいや、ラメルの洗礼石が本当に得られたのか、身体に無理なく馴染んでいるのかを診察せねばならん。国からは出せんな」
ユヌカスが私を引っ張りながら、反対する。
痛い、痛い、痛い、痛いよ!
死ぬ、死ぬ、死ぬ、死んじゃうよ!
私が死んだら、父様とユヌカスのせいだと思うよ!




