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最後の戦い4/決着

 偽物 凛に向けて放った目くらましのための強烈な光。

 それは成功したらしく、偽物 凛は姿を消し、攻撃が止んでいる。

 今は大人しくしている偽物 凛も、短ければ10秒ほどで視覚を取り戻す。


 時間が無い。

 早く探しだして、このチャンスを活かさなければならない。


 ビル街。

 身を隠すなら細い路地の中がベストだが、視覚を失った状態で細い路地とかに身を潜めるなんて技は使えている訳がない。


「後ろだ」


 さっきの偽物 凛の攻撃で、かなりのダメージを受けているひなたの父親の苦し気な声に振り向くと、遥か後方で偽物 凛が目を閉じ、頭を下げて立っていた。

 その様子から言って、まだ視覚は回復してい無さそうだ。


 急がなければならない。

 俺はあかねソードを振り上げながら、偽物 凛を目がけて駆け出した。


 視界が戻らないまま、俺たちと言う敵の接近を知った偽物 凛が高速で移動を

始めた。

 ランダムに高速に移動する偽物 凛。


 視覚を失っていて、構造物に当たるのを恐れて小刻みに動いているとは言え、速すぎて狙いを定められない。


「お兄ちゃん、あかねソードを貸して!」


 自分のあかねソードを探す時間を惜しんだあかねが、俺の手からあかねソードを奪うと、姿を消した。

 偽物 凛と同じ速度で移動したんだろう。


 いくら偽物 凛が格闘技の達人だとしても、視覚を奪われているなら、あかねが勝つはずだ。

 そんな期待を抱きながら、視線をその先に向けている俺の視界に、あかねソードを振り下ろしたあかねの後ろ姿が映った。が、あかねが振り下ろしたあかねソードは空を斬ったのか、その前に偽物 凛の姿は無かった。

 そして、あかねの姿も消えた。偽物 凛を追ったに違いない。

 再び姿を現したあかね。だが、その先に偽物 凛の姿は無かった。


 もしや? 

 一つの疑念が浮かんできた。

 ひなたの父親のように、視覚だけに頼らず、他の感覚で敵を検知できるとしたら。

 このままではあかねは偽物 凛を切り裂くことができないまま時間だけが過ぎ、偽物 凛の視覚が回復してしまう。


「ひなた。あかねソードを貸してくれ」


 時間との勝負。

 そう言って、ひなたに走り寄り、あかねソードを取り上げると、偽物 凛に向かって叫んだ。


「コピーの凛、そんな戦いで、佐々木がお前を褒めてくれる訳ないだろ!

 もしも、力があると言うのなら、この俺を倒してみろ!

 できないだろ!

 逃げているばかりじゃ、佐々木が泣くぞ!」


 そう言い終えた時だった。


 ジュッ! と言う音と共に、髪が焦げる嫌な臭いと血の臭いに襲われた。


 視界を奪われた状態で挑発する。

 しかも、偽物 凛が一番大切に思う佐々木の名前を出して。

 挑発につられた偽物 凛は、視覚以外の感覚で俺を襲いに来るはずだが、あかねソードの状態まで感じとる事が出来る訳がない。

 そこをあらかじめ展開てしいたあかねソードのバリアで迎え撃つ。

 これならどんなに速く移動しようと、偽物 凛を俺は捕らえる事ができる。


 俺の作戦は功を奏し、見事なまでに、偽物 凛はこの世から消失してしまった。

 偽物 凛が消失した場所には、わずかばかりの髪が落ちているだけだった。


「今度こそ、終わったのか?」

「それが最後の敵よ!

 終わったんだから、私をお姫様抱っこして、どこかベッドの上に運んで行ってよ!」


 俺のつぶやきが聞こえたのか、服部が言った。


「いやいや、他にも怪我人いるし」


 確かに俺を命をかけて、救ってくれた訳だし、告ってくれた。が、凛がいるのだから、ここでの選択は凛以外あり得ない。


「服部さんは、私が運んであげるよ」


 あかねはそう言うと、服部をひょいと抱きかかえた。


「ちょ、ちょ、ちょっと下ろしなさいよ。

 女の子にお姫様抱っこなんて、してほしくないわよ!」

「今はお兄ちゃんはだめだよ。

 いつかお兄ちゃんが服部さんを選んだ時だね!

 あ、それと、お兄ちゃんはかわいいキャラが好きらしいから」

「おい、あかね!

 何の話してんだよ!」

「お兄ちゃん、いやらしい事も好きらしいから、気を付けてね」

「知ってる、知ってる。

 一突きの話でしょ」


 あかねにお姫様抱っこされたまま服部が笑った。いつもツンツンした顔以外あまり見たことが無かったが、服部の笑顔はかわいい事に、今気づいた。

 そんな事を思いながら、凛のところに向かって行った。

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