運命的な出会いは突然に。
一回目のお話。
人一倍、顔の綺麗な人。
私があの人に最初に感じた感想。高校の2つ上の先輩だったあの人は、私たち一年生からはまさにアイドルみたいな存在だったし、憧れの存在だった。
例に漏れず私も、先輩とすれ違うと少し嬉しくなったり、女の子の友達から回ってきた噂に、あーでもない。こうでもない。なんて談義もした。
でも、なかなかきっかけがないからか、いろいろな所で噂はでるものの、誰も先輩と仲良くなったり、ましてや話したりすることもなかった。
少しだけ童顔の、優しそうな顔。ゆるいパーマをかけていて、多分彼女はいない。部活は帰宅部だけど、運動は得意。
高校に入学して、二ヶ月だか三ヶ月だかでこれだけ、私は先輩について知ることができた。
でも逆に、これだけしか知ることができなかった。
仲良くなれればいいな。なんて、妄想してみたり。そんな毎日。
「それじゃあ、ゴミ捨ててくる。」
重いし。なんで、毎日毎日こんなにゴミがでるわけ。
今日はたまたま、月に一回回ってくる雑用係だった。
強制的に回ってくるため、サボることもできず、また1日だけで、とくに手を抜いていても怒られることもなかったので、多少面倒でもそれぞれ皆、雑用係をやっていた。
「あー、これもお願いね?」
クラスの担任から渡されたのは、ビニール縄で縛られた大量のプリントだった。
「先生ー、重いから無理だよー。」
勘弁してくれ。って様子で担任を見ると、担任はシレッとこんなことを言った。
「二回に分けて持っていけばいいでしょ。」
「はーい。」
とは言ったものの、はやく帰りたいし多少無理があるものの片手にプリント、片手にごみ袋を持って、ひょこひょこと歩き出した。
手痛いし、はやく帰りたいな。
そう思いながら歩いていると、バサーッ!と音がして、右手に持っていたプリントが急に軽くなった。止めが悪かったのか、途中でビニールが外れてしまったらしい。
「最悪。」
黙って、プリントを集めていると、前から誰か来た。
うわ。恥ずかしいからやめてほしい。
そう思ったけれど、足音は近づくばかり。
目の前で足音は止まり上から声が聞こえる。
「大丈夫?」
「すみません。大丈夫です。」
なんだかばつが悪くて、顔をあげられずにいた。
「手伝うよ。一人じゃ重いでしょ?」
青だから、2つ上の先輩だ。ここの学校は、三色の色を使い回ししていて私たちの代は赤で、2つ上の学年は青色だった。
「いや、平気です。」
素直に好意を受け取っておけばいいのに、なかなかこういうとこは苦手だった。
まーまー、一人で持ってけるし。
「平気じゃないから、こんなことになってるんでしょ」
笑いながら、そう言われた。
「はい。集まった。じゃあ持ってくね。」
ひょい。っとプリントと、ゴミ袋をもってもらった。
さすがに、2つは悪いって。
「いや、あの、ほんとに、いいです。」
パッと、前を向くと、あの憧れていた先輩だった。
「それじゃあ、持っていっちゃうね。」
信じられないけど、本当にあったことなんだ。あ頭がふわふわして、顔が火照って、もう、心がドキドキして仕方なかった。
どうしよ。お礼も言えなかった。
ていうか、先輩すっごいかっこよかった。もう、どうしよ。
二回目のお話。
最初は気の強そうな女だって、おもった。
身長は高めで、我が儘そう。あんまり人とはつるまないし、何て言うか絡みにくそうだって思った。