表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

漫画原作(未作画)

Missing... SA・I・KA 【シナリオ形式】

作者: 阿僧祇

■解説>

 某サイトの要素別評価で「作画しやすさ:満点」を『どきどき☆バレン

タインデー』で達成できたので(笑)、次は「全評価オール1でも内容は

それなりに面白い原作シナリオ」という目標で書いた漫画原作です。(笑)


■あらすじ>

 中堅アイドルの彩香(SAIKA)が失踪!? 

 彼女は旧知の行孝の元に現れた。追いつめられた心情を聞いた行孝は彩香を庇お

うとするがマスコミにすっぱ抜かれてしまう。行孝は自分から記者会見の場を設け、

そこでカッときてやらかした言動により、災い転じて福となる。


■登場人物>

行孝:富樫行孝(とがしゆきたか)。24才。体格大きめ。サッパリした雰囲気で、どち

 らかといえば外見的には普通の若者。正直で、頼られるとがんばってしまう性格。


彩香(サイカ):本名・時田彩香(ときたあやか)、22才。盛りを過ぎて落ち目になって

 きたアイドル。外見はやや派手ながら性格のおとなしさも空気で漂うという感じの

 美少女(?)。でも決断力はある。


理音:富樫理音(とがしことね)。22才。行孝と新婚1年目でまだラブラブ中。(笑)

 ときどき暴走する行孝にハラハラしてる?


マネージャ:彩香のマネージャ。痩せ気味で目付きが鋭い。遣り手っぽい雰囲気は

 あるけれど、器はあまり大きくなさそう。


カメラマン:すっぱ抜きのカメラマン。顔はシルエットだけにした方がよいと思い

 ます。


リポーター:芸能記者。かなり無神経だが、耳も発言も鋭い。



 ○町中

  雨。

  町を濡らす雨が、シャワーのように降り続けている。

  彩香は、濡れた服で震えながら雨宿り中。携帯電話を見ていたが、ふと憂鬱な

  表情で天を仰ぐ。


T「Missing... SAIKA」


 ○行孝のマンション

  TVに彩香の写真が写っている。

文字「サイカ、謎の失踪!!」

  行孝は会社員の若者。リビングでコーヒーカップを手に、心配そうな顔。

  そこへやってきたのは、こちらもコーヒーを手にした理音。

理音「彩香(SAIKA)が失踪?」

行孝「ん~……らしいね]

  理音、となりに腰を下ろしながら

理音「(ユキ)くんって、彩香の出演する番組があればたいてい録画するし、ファン

 クラブにまで……」

  壁には「SAIKA」のポスターも。

行孝「だから心配してるんだ。急に失踪だなんて。」

理音「でも私はいやだわ。行くんを彩香に取られてるみたいで。」

  行孝、理音の肩を抱き寄せて

行孝「馬鹿だなあ……応援してる芸能人ってだけだろ。愛してるのは理音(コトネ)

 け。だから結婚したんじゃないか。」

理音「あん…」

  行孝、理音とキスしようとすると……


  突然、携帯が鳴る。


  焦って離れた理音、

理音「なに?」

行孝「メール。急用かもしれないし……でも、この着メロは……」

  行孝は、残念そうにしてる理音を無視してメールを読む。

行孝「……!?」(戸惑いの混ざる驚愕)


  (時間経過)


  リビングに、バスタオルをかぶっている彩香が(シャワー上がり?)。

  理音はふくれっ面。

理音「……で、二人はメアドを知ってるような間柄だったわけ?」

行孝(焦)「いや、その…」

彩香(淋しそうに)「昔は行孝…富樫さんと……。でも今は完全に切れてますから。」

理音(昂奮して涙ぐみ)「つ、つ、つ、つきあってたの、行くんと彩香が!?」

行孝「理音と知合う前の話! 彩香(あやか)がアイドルになって売れはじめたから、

 別れることになったんだよ!」

  彩香、さびしそうに微笑む…。

  理音はふてくされて

理音「で…その完全に切れてる元彼女が、元彼の新婚家庭に何の用ですか?」

行孝「理音! やめろよ!」

理音「だって……」

  理音、涙ぐんでいる。

行孝「やましい気持ちがあるんなら家に来たりするわけないだろ?」

理音(困)「それは……」

行孝「それより。」

  行孝、姿勢を変えて、彩香に。

行孝「いきなり失踪って、どういうこと?」

彩香「…………。」

  彩香、どう答えるべきか迷ってる様子。

行孝「あのさ、事情によっては、この家に何日いてもいいよ?」

理音(角生やして)「行くんっっっ!」

  行孝、理音を無視して真面目な顔で続ける。

行孝「ファンの1人として力になるから。でも理由(わけ)くらい教えてくれないか?」

  (「ファンの1人として」を傍点か太字フォントなどで強調)

綾香「私……」


 ○芸能事務所(回想)

マネージャー「イヤだとぉ? これは仕事だぞッ、わがままは認めん!」

  彩香、泣きそうになってる。


 ○行孝のマンション

行孝「…それでもプロかよ! 俺より仕事を選んだ彩香だろ!?」

彩香「行孝には感謝してる…身を引いてからも応援してくれて。でも、今度の仕事は

 ファンのみんなを裏切ることになるから! それだけはしたくないから!!」

行孝「裏切る? CF出演を拒絶するほうがファンヘの裏切りじゃないか。」

彩香「だって……焼き肉のコマーシャルなのよ!」

行孝(焦)「え…!?」

理音「???」

  行孝、困りきった顔で理音を見て

行孝「彩香ってね、完全なベジタリアンなんだ。」

彩香「プロフィールにもハッキリ書いてるはずなのに……」

行孝「ファンはたいてい知ってるはずだけど、広告主(クライアント)は見落としたん

 だろうな……人選する側なんて、そんなもんだ。」

  彩香、下を向いてすすり泣きを始めてしまう。

  理音、考え込みながら

理音「……たしかに、CFを見た人はイメージで商品を買うことになるから、嫌いな

 ものの宣伝をしたらファンヘの裏切りかもね?」

行孝「でも大■巨■なんかは、仕事と割り切って、嫌いなブランドのCFにも出たって

 聞いたぜ?」

  彩香、困った顔で行孝を見る。

  行孝、立ち上がりながら

行孝「どっちが本当のプロの態度かなんて俺にはわかんないげど……でも、逃げ隠れ

 しても解決にはならないことはたしかだ。」

理音「どうするの?」

  行孝外出の支度をしながら、

行孝「彩香をプロダクションまで送ってくる。失踪するほどの強い意志があるのなら、

 その勢いでもういちど話し合ってみるべきだ。」

彩香(泣き顔)「でもっ……行孝っ!!」

行孝「もちろん俺も一緒に行く。ファンの要望は会社もスポンサーも無視できないだろ

 うさ。」

  行孝、ウィンク。

  驚いてる2人。


 ○夜、雨の駐車場

  傘をさした行孝に促されて彩香が車に乗り込もうとする。

行孝「さ、早く」

彩香「うん…」

  と、その時、はげしいフラッシュ光が。

行孝「!!」

  行孝、反射的に彩香を庇う。

  フラッシュがたてつづけに。

声「スクープ・ゲット!」「落ち目のアイドル・彩香、失踪の原因は不倫ッ!!」

行孝(焦って怒号)「ちがう! 俺は……」

  カメラマン、足音を残して走って逃げる。

行孝「待ってくれ!」

  行孝が気がつくと、彩香は腰を抜かして座り込んでしまっている。

彩香「行孝…わたし…わたし…」

  彩香はほとんど虚脱状態。

行孝「くそっ!!」

  壁を叩く。

  行孝、決心したように顔を上げ

行孝「先手を打つしかない!」

彩香「ど、どうするの…?」

行孝「隠すから誤解されるんだ、真実をみんなぶちまけちまえ!」「…俺を信じて

 くれるよな?」

  彩香、だまって、力強い表情で肯く。


 ○記者会見会場

  彩香、行孝、それに困った顔をしたマネージャーなどがテーブルについてる。

リポーター「なるほどねぇ…筋は通ってるように聞こえますが。」「でもねえ、|彩香(SAIKA)

 さん、失踪して男のところに転がり込んだことは確かでしょ?」

彩香「さきほども説明しましたとおり、富樫行孝さんとは…デビュー前に交際してた

 ことがありますけれど、今はただの知り合いにすぎません。」

リポーター「またまたぁ……男と女ですよ? そんな説明で納得できるわけないじゃ

 ないですか。」「出演のトラブルを口実に、ヨリを戻したんじゃないんですか?」

  行孝、ムッとして。

行孝「僕には妻があります。まだ結婚1年めだ。変な言いがかりはやめてください。」

リポーター「あなたも正直じゃないですねぇ…彼女を庇いたい気持ちは理解できます

 けれど、ファンは真実を求めているのですよ。」

行孝「僕は真実以外、なにも言ってません。」

声「納得できるか!」「恥を知れ!」「この女の敵!」「男の敵!」

  形勢が悪くなり、行孝も怯む。

彩香(心配そうに)「行孝……」

リポーター「ほら! いま呼び捨てにした! 二人がただならぬ仲だってことの証拠

 じゃないですか!?」

  ワーッと湧く会場。

  行孝、顔をひきつらせながらマイクを手に掴んで

行孝「あの……話を聞いてください!」

  マネージャー、厳しい表情で彩香に

マネージャー「イメージダウンで大損害だ……この責任は取ってもらうからな!」

  行孝、記者たちに向かい

行孝(必死)「みなさん、話を聞いてください!」

  しかし、喧燥は収まらない。

  行孝、ふと視線を。

  会場の隅で、ものすごく心配そうに、拳を胸で握りしめてこちらを見ている

  理音が。

  行孝、大きく息を吸い、


  テーブルに足をドン!と叩きつけ、マイクに


行孝(大絶叫)「テメエら、話を聞けェッ!!!!!!!!」


  スピーカーからの大音量が会場の人々の耳をつんざき、全員が驚いてショック。

  行孝、記者たちの波の間をモーゼの如く、ツカツカと理音の方に進みながら

行孝「俺が彩香(あやか)の元彼で、今もファンだってことは認める。けれど、今、

 愛してる女は1人だけだ。」

  行孝、理音を腕を取り

理音「え?」

行孝「これが証拠だ! よく見ろ!」

  行孝、驚いてる理音を抱きしめてものすごく情熱的なキス。

  一同(理音も)、驚愕。

  一人が思わずフラッシュを焚くと、

  次々とその写真を取る人が。TVカメラもまわる。

  行孝、そんな中で理音を抱きしめてキスし続ける。理音も、

  最初は驚いていたが、やがてウットリと行孝の頭に手を廻す。

  テーブルで、彩香は溜息をつき、寂しそうに微笑しつつ

彩香(つぶやき)「……そう、結婚しちゃったんだもんね、行孝は。」

  リポーター、耳ざとくそれを聞きつけた。


 ○ファミレス

  ざわつくお客さんの視線を浴びて、

  会社員姿の行孝と、彩香、それにマネージャーがお茶してる。

行孝(汗)「予想外の結果ですね。」

マネージャー「ええ、ファンに通そうとした義理と失恋イメージへの同情感とで、

 彩香の人気が完全に再燃しましたからね。」

  広げた雑誌の見出しは「|彩香(SAIKA)、失踪事件の全貌」「『ファンを裏切りたく

  ないから…』」「過去の失恋話が露見!」「美談! 愛妻家の元彼が友情で復帰を

  後押し」

マネージャー「不倫話をでっち上げて足を引っ張るより、こうした方がマスコミも

 儲かる……そういうことなんでしょうね。」

  彩香はなんだか嬉しそう。

彩香「そのおかけで、こうして行孝と、なんの隠し事もなく会えるようになったし。」

マネージャー「それはそれとして……富樫さん、またTVに出ませんか?」

行孝「は? 記者会見はあれで充分でしょ。」

マネージャー「違うんです。TVドラマへの出演です。」

行孝「はぁぁぁあ? ドラマぁ!?」

彩香「私がね、仕事のために恋を諦めたところから、今回の事件までを脚色した

 ドラマの企画が出てるの。」

マネージャー「でね。あれだけ衝撃映像を世に流れさせたんですから、本人が演じたら

 きっと話題性が、と……あ、これ脚本です。」

  脚本のタイトルは「Missing... SA・I・KA」。

行孝「じょ、冗談じゃない、絶対ダメです!!」

  行孝、焦りながら

行孝「僕は素人だし……それに彩香(あやか)を利用して名前を売ったなんて思われたく

 ない! どうか、平凡ないちファンでいさせてください。」

  行孝、息をついて頭を下げつつ

行孝「それに……理音もいやがるでしょうから。」(苦笑)

  彩香とマネージャーは、ともにがっかりしつつも、微笑。


 ○夜、彩香のマンション前

  行孝と彩香が二人で歩いてる。

行孝「…本当にゴメン。」

彩香「いいよ。だって、行孝のそういう正直なところが好きだったんだもん。」

  彩香、ふと、手の中に何かを隠してるように出して、

彩香「そうだ! 行孝、ちょっとこれ見て。」

行孝「え、何?」

  行孝が彩香の手の中を覗き込もうとかがむと、

  彩香、いきなり顔を寄せ唇を触れさせる。

  行孝は驚いて言葉を失う。

彩香(微笑)「ドラマでできなかったから、これが行孝との最後のキスかな……じゃあ、

 今度こそ本当にさよなら。」

  彩香、呆然としてる行孝を残し、そのまま顔は見せずにマンションの中へ走り去っ

  てしまう。


 ○行孝のマンション

行孝「ただいま…」

  理音、エプロン姿。

理音「あ、今帰り?」

  理音、なぜか上機嫌。

理音「今夜は行くんの好物、米粉のどんどん焼きよ♪」

  行孝、いきなり後ろから理音を抱きしめる。

理音「行孝……?」

行孝「理音…愛してるよ」

  理音、目をつぶって行孝に寄りかかり、微笑む。

理音「うん、私も……」

  行孝も目をつぶっている。が、眉間に皺がよっている。

行孝(心の声)「俺が愛してるのは、理音なんだ……理音だけ、なん……だ……」



  ~ 完 ~


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ