1章 1話
とある、村のはずれの森で少年が木の下で膝を抱えながら、なにかにおびえるように震えていた。
まるで、目の前になにかがいるかのように。
少年は村では村中の人々から気味悪がられ、嫌悪されていた。
少年がなにかを罪を犯したわけでもない。
少年の両親が世界中で嫌われている犯罪者でもない、むしろどこにでもいる夫婦だ。
なぜ、少年が村の中でこんなにも嫌悪されているのかいうと、なんてことはない。
ただ、普通の人よりすごいことができただけ。
それは記憶能力。
1度見たもの、聞いたものなどを決して忘れることができないこと。
5歳のころは、ただ物覚えがいい普通の子としてそだてられてきた。
10歳からは、さすがに両親が気がついた。
なぜなら、少年がはしゃぎながら、母親のところへ行き、本を指差しながら、こういったのだ。
「お母さん、僕ねこの本全部覚えたんだ!」
さすがに母親もこのときばかりは冗談かとおもった。
しかし、母親のおもいはすぐに打ち砕かれた。
ためしてみたら、すべて合っていたのだ。しかも、1文字も間違えずに。
母親は恐怖した。こいつは何なんだ。これはダレなのだと。
すぐに母親は大急ぎで父親に連絡した。
このえたいのしれないナニカをどうするかを相談した。
村の長と話し合った結果、なにも問題をおこしてなっかたので、追い出すこともできなかった。
親も気味悪い自分の息子を育てたくなくても、育てなくてはいけなかった。
村人たちは、少年を嫌悪し、軽蔑し、差別した。
さらに、ある日少年にとって、悲劇はおきた。
村が突然、自国の兵士たちによって襲われたのだ。
その狙いはどこからか聞きつけてきたか、その少年を狙って。
なぜ狙われたかというと、少年が化け物の類だと思われて、国から狙われたのだ。
そして村人も、化け物をかくまった人間として、殺された。
生き残った村人たちは、少年を見つけ出してなんとか自分たちだけでも助かろうとしていた。
しかし、兵士は待ってくれない。
次々と村人を殺し、殺し、殺しつくそうと、どんどん追ってくる。
そして、残った村人と少年は兵士たちに囲まれた。
村人たちは
「助けてくれ死にたくない!!」
「俺は無関係だ!!全部、こいつのせいなんだ!!!」
「わ、わた、私をたすけて、!なんでもするからっ!」
と、俺のことを指しながら次々と殺されていく。
そして、とうとう自分一人だけになったとき兵士が俺に向かって憎悪を込めた視線で僕に叫んだ。
「この化け物め!!お前たちみたいのがいるから国が襲われて、民たちがつらい思いをしているんだ!」
その言葉を聴いた瞬間、俺の声が喉まででかけた。
(ふざけるな!!俺が今までどんな目にあってきたのかわかっていないくせに!!)
(俺がやったことじゃないのに、俺のせいにして!!)
(お前たちは何にもわかっていない!!)
そんな俺の心の中にある黒くて醜い本心がだんだんと溢れて来る。
そして俺に叫んだ男の兵士が、俺の腹に、剣を刺してくる。そしてこう得意げにこう言った
「お前みたいな化け物は、苦しみながら死ね!!!」
そして俺の右胸に剣を刺してこの男たちは笑う。
「はっははは!!こんなのが化け物かあまりにも脆すぎるぞ。はっはっはは!!」
「あら何をしているのかしら?あなたたちは?」
目の前いきなり、女の声が聞こえておもわず目を見開いた。
そして、だんだんと土の中から女の姿が現れてきた。
兵士たちはいきなりのことで固まってしまっている。
俺は腹と右胸を貫かれて、まさに俺は虫の息だ。
「まったく目の前のこの子は化け物ではないって言うのに。」
「これだから無知は困るわ。」
固まっているとはいえ、囲まれているのに気楽に話しかけているこの女は愚かなのか。
それとも、自分はこの状況をどうにかできるとおもっているのか。
「い、いまのは魔法では無いな!!お、お、お前はいったいなにものだ!!」
兵士の指揮官みたいなやつが取り乱しながらたずねている。
「はぁ、空気を読みなさいよ~。普通この状況でいったら、この子を助けに来たHeroでしょ~~
まあ、Heroではないんだけれどもね。」
「ま、あえて言うなら、Dark Heroかしら~~」
女がしゃべり終わった瞬間、指揮官みたいな男の首がいつのまにか、女の手の中にあった。
そして目の前には、首のない死体がひとつ。
俺は混乱した、なぜ目の前に首のない死体がある?なんで女の手の中に男の首がある??
ようやく理解が追いついたとき、辺りは血の海になっていた。
そして、その血の海の中央には手を血だらけにした女の姿が、俺は確認した瞬間、俺は怯えた。
助けてくれたのに、せっかくたすけてくれたのにと、頭の中ではそう考えていも俺は震えがとまらなっか
た。
そんな自分をみて女は、少しがっくりした様子で自分のことをみていた。
「せっかく、助けてあげようとおもったのに・・・半年ほど前からみていいかんじに染まっていったのに
なぁ~、まぁいいか見捨てれば、じゃあね~~~」
女がしゃべり終わり立ち去ろうとすると、ぼくに我慢の限界が来た。
「ふざけるな!半年ほど前から見ていただと!!ならなんで助けてくれなっかたんだ!
どんな方法でもよかったから助け出してほしかった!それがだれであろうと!たとえ化け物
だとしても!!」
「それに何に染まるっていうんだよ!!可笑しいだろ、ここまで希望を持たせておいて!!『まあいいか
見捨てれば』だって?ふざけんな!!やるんだったら最後までやれ!!」
女は目を見開いて驚き、笑いながらこう言った
「それがどんな方法だとしても?」
「あぁ、いいよ!助かるんだったら!生き延びて!絶対にあいつらを皆殺しにしてやる!!!」
「ふんっ!上等ね、いいわよ助けてあげる。ただし! その言葉を忘れるんじゃないわよ!」
そういって、女はおれの首に口を近付けて、犬歯をだしながらおれの首に噛み付いた。
そしておれの首の中になにかの液体が入ってくる。
その瞬間おれの首に感覚がなくなり、つぎの瞬間、激しい痛みが襲ってきた。
僕が痛みに耐えていると、彼女が僕の耳元に顔を寄せて楽しそうにこう言った。
「あなたはいまから化け物への仲間入りよ。そして私と同じ吸血鬼。
私は吸血鬼の中で特別で最上級といってもいいわ。そしてあなたも血を吸うことで私と同じになる。
血とは魂の通貨よ。死んだ人間の血を吸えばその人間の魂が自分の中に入ってくる。そして吸った生き
物の命の数だけ死ななくなるわ。
不老不死ではないけど、血がある限りあなたは死ぬことはないでしょう。
でも、あなたが『死にたい』と思って永遠と攻撃を受け続け、血を吸わなかったらあなたは死ぬことに
なるわ。まあ、あなたの夢が叶うといいわね。」
そういって、彼女は背を向けて森の奥へと歩いていった。
痛みが抜けて立ち上がったら驚くことに腹と、右胸の傷が治っている。
傷を確認したら、彼女が森の奥にはいりかけていることに気付いた。
「ありがとう!俺にチャンスをくれて!そういえば名前を聞いてないけど名前はなんていうだ!!?」
彼女はとまって振り向き、俺と向き合ってこういった。
「ふふ、お礼を言われたのは、初めてだわ。まぁ、あなたを吸血鬼にしたのも初めてなんだけどね。
ふぅ~~、そういえば名前ね、私の名前はエル、 エル・アイランスよ。
あなたの名前は?」
「俺の名前はアイン、アイン・クーガーだ」
「アイン・クーガーね、よろしくアイン。言い忘れてたけど、
おそらくまた会うのはしばらく先よ」
「なっっ!! そういうことは先に言ってくれないと困るぞアイランス。
聞きたいことがあるのに。」
「自分で答えを見つけなさい。ふふふ、それと私はエルでいいわ。
それと、あなたの夢を楽しみにしているわ。がんばって叶えてね。」
「ふっ、楽しみにしててくれ。なんとしてもこの願いはむしろ悲願といってもいいほどだ。
絶対に叶えてやる楽しみにしている。」
「それは楽しみね、ふふ、楽しみにしているわ。それじゃあ」
「「さようなら」」
彼女は森の奥へ歩いていき、俺は彼女とは逆方向の村の方へ歩いていった。
歩いていると、見えないはずの距離で軍隊の旗とキャンプが見えた。
どうやら、さっそく吸血鬼の力が使えるようになったようだ。
ふん、彼らには俺の力の第一歩になってもらおう。
初投稿なのでぜひお手柔らかに・・・・