家に来た女の子?
2011年――
ここは日本国北海道札幌市....
辺りは暗くなり、車も少なく一瞬静まりかえったように静寂に包まれていた。
20階ほどだろうか...そのビルの屋上に腰まである長い銀髪を風になびかせている者がいた。
見ればまだ子どもではないか...
ビルの端でしゃがみこみ、まるで街並みを眺めているような感じである。
こんな夜中にビルの屋上で何をしているのだろうか...
誰もがそう思うようなシチュエーションだ。
女の子なのだろうか?
その銀髪の子どもが一人言のように...
いや、誰かに話しかけているように口を開いた。
「次は日本!!
ここにいればいいのだが...」
誰かを探しているのだろうか...
やはり声はまだ幼く、しかしよく透き通っている。
「速瀬 悠二...
あの人の息子だもんなぁ~
楽しみだ!」
あの人とは誰かはわからないが、速瀬 悠二という人物を探しているようだ。
誰も知らないであろう銀髪の少女?がビルの屋上にいた日から次の日。
学生が学校から帰る時間であろうか。
一人の男の子が暗い顔をしながら学校から帰っている。
彼が銀髪の少女?が探しているであろう速瀬 悠二だ。
悠二「はぁ...
わけわかんね~な」
高校二年生になった悠二は、少し長めの黒髪で顔はどこにでも居そうな普通の男の子だ。
しかし、そんな普通の彼も悩みがあるようで、ため息をつきながら学校から家に帰っている。
この日、悠二に彼女が出来たらしい。
しかし何故それが悩みなのだろうか。
普通の高校生なら、彼女が出来れば喜びを隠せないほど気持ち悪い笑みを浮かべ、スキップでもして帰るんじゃないかと思うほどテンションが上がるものだ。
それに、どうやら悠二が告白して付き合うことになったようである。
好きになった女の子に告白をして、しかも付き合うことになったのに悠二は少し不満そうである。
それは悠二が告白をして、付き合うことになった時の話である。
峰岸 葵。
悠二はこの女の子を好きになった。
あまり人と一緒にいる姿を見たことがなく、誰かと話しているところもほとんど見ない。
それでも彼女は男子から人気がある。
顔がかわいいと言ってしまえばそれまでだろうが、悠二はそれに加えて彼女の独特な雰囲気にも惹かれた。
どこが好き?
そんな質問をされると正直困ってしまう。
それでも悠二は自信を持って彼女が好きであると言える。
どこがということではない。
彼女を好きになったことは紛れもない事実で、真実なのだ。
今日ようやく少ない勇気を振り絞って告白をした。
その告白に彼女は応えてくれた。
しかし彼女は......
悠二「え?」
葵「付き合うということは了承しましたが、これからあまり私に話しかけないでください」
何を言ってるのだろうか。
付き合うということは恋人同士になるということだ。
あまり話しかけないでください?
悠二は葵が何を言ってるのかわからなかった。
悠二「ちょ...どういうこと?」
悠二が恐る恐る聞いてみるが、葵は指で耳を塞いでいた。
すると葵はおもむろに携帯を取り出し、何やら打ち出して悠二に携帯の画面を見せた。
『話がある時は出来るだけメールで!!』
携帯にはそう書かれていた。
それを見せた葵はすぐに悠二の前からいなくなってしまった。
結局、なんでそんなことになったのかはわからないが...
悠二は葵と付き合ったその日にほとんど葵と喋れなくなってしまった。
悠二がそのことを思いだしていると家に着いた。
悠二は一人暮らしである。
と言ってもマンションやアパートではなく、普通の一軒家に住んでいる。
母は幼い頃に病気で亡くなり、父は放任主義で悠二が中学生になった頃からいろんな所に旅に出ているらしい。
つまり悠二はもう4年ほど父親に会っていない。
兄弟もいない一人っ子なので、一人暮らしを4年もしていた。
誰もいない家に悠二は「ただいま」と言って玄関のドアを開けた。
玄関のドアを開けた悠二の目に飛び込んできたのは、銀髪の女の子だった。
誰もいるはずのない家に、しかもその女の子は宙に浮いている。
「おかえり~」
そう言って女の子は両手を上げながら、宙に浮いたまま悠二に近づいてきた。
悠二「........」
バタン
悠二(なんか宙に浮いた女の子がいたーーーーーーーーーーーー!!?)
悠二は咄嗟に扉を閉めた。
悠二(見間違いか?てか外国人...?
髪が銀髪だったよな?)
悠二がドアの外でいろいろと考えていると、悠二が閉めた玄関のドアが開いた。
「入らないのか?」
見間違いじゃない。
悠二の目の前には先ほどの女の子が宙には浮いていなかったが、確かに存在していた。
するとその女の子は悠二に指を向けながら少し怒っているかのような口調で口を開いた。
「まったく何をしておるのだ!
ここはお前の家だろう」
もっともである。
悠二「え...そうだけど...てか君誰?」
「え?」
悠二は誰もが思う質問をした。
いきなり自分の家に知らない子どもがいるわけだから当たり前の質問である。
その質問にその子どもは胸をはって答えた。
「誰って...
私は“エル・クラフト”に決まっておるだろう」
悠二(いや、誰だよ!!?知らねーよ!!)
悠二は言葉には出さなかったが、心の中で思いっきりつっこんだ。
悠二「俺...君とは初対面だと思うんだけど...」
エル「あ...私も初対面だ!
一緒だな!!」
悠二「一緒じゃない初対面ってあんの?」
そんなわけわかんない会話をしながらも、悠二は先ほど疑問に思ったことを聞いてみた。
悠二「てかさ...俺の見間違いだと思うんだけど、さっき宙に浮いてなかった?」
エルはその質問を待ってましたと言わんばかりにすぐに答えた。
エル「私は10才だが“A・A”(アーム・アビリティ)の適合者だからな!!
あれが私の能力と言ってもいい」
エルは自信満々に言ったが...
悠二「何言ってるか全然わかんないんだけど...」
エル「ええエ!!?」
いきなり何を言ってるのか、だがエルはありえないという感じで驚いている。
エル(アレ~??)
エル「まさか悠二...これ読んでないのか?」
そう言ってエルはポケットから手紙のような物を出してみせた。
エル「この手紙には『A・A』(アーム・アビリティ)のことや『私』のことが“がっかり”と書かれているのだぞ?」
悠二「がっかり!?」
エル「本当に読んでないのか?」
言い間違えたのだろうが、悠二のつっこみを無視してエルは続けた。
しかし、
悠二「いやいや...何で俺が読んでるはずの手紙が君のポケットから出てきたんだ?」
その通りである。
エル「...」
エルは気がついた。
この手紙を出すのを忘れたことに....
くしゃ
くしゃ?
事もあろうにエルは持っていた手紙をくしゃくしゃに丸めて....
そして後ろに放り投げた。
エル「本当に見てないのか!?」
その時丸められた手紙はエルの後方10mぐらいで綺麗な弧を描きながら飛んでいる。
悠二はその手紙を見つめながら
悠二「今...見てる気がする....かも。
内容はわからんが....」
すると丸められた手紙はポトッっという音をたてて床に着地した。
エル「し、仕方がないから私が説明しよう」
明らかに動揺している。
エル「『A・A』(アーム・アビリティ)とはその名の通り、武器能力のことだ」
悠二「武器能力?」
エル「そうだ...しかし...武器と言っても剣や銃のようなものではなく、闘うための武器。
まぁ~超人的な特殊能力のようなものだ」
エル「中には身体から火や水を出す者もいれば、人を操ったり透明になれる者もいるらしい。
その力を得るには『A・A』の媒体となる物とある契約が必要なのだが...」
エルはそう説明すると、今度は自分のことについて話しだした。
エル「そして私も『A・A』の契約者なのだ。私の能力は...」
エルがそこまで言って悠二を見ると、エルを疑いの目で見ていた。
悠二「ハハ....」
エル「わっ私の話を信じていないのか!?」
悠二に信じてもらえないエルは今にも悠二に飛びかかりそうだった。
悠二「信じるわけねぇーだろ!!
勝手に人の部屋に入り込んでわけわかんねーこと言いやがって!」
悠二「てか鍵掛かってんのにどうやって家の中に入ったんだよ!?」
エル「屋根からだけど」
悠二(屋根!!?)
悠二はエルがどうやって屋根から入ったのかを気にはなったが、それを無視して続けた。
悠二「と、とにかく俺は今子どもの遊びに付き合ってる暇はないんだ」
悠二は少しイライラしながら話をしていると、エルが割り込んできた。
エル「まぁ~待て!
あせるでない!!重要な話はこれからなのだぞ!!
最後まで話を聞いてくれ...今悠二は大変なことにイ~」
エルが話始めてから悠二は家を出ていっていた。
つまりエルの前から悠二はいなくなっていたのだ。
エル「どこに行ったのだぁ~ユウジィィィ~」
初投稿です。
台本書きですが....楽しんでくれたら嬉しいです。




