事件
その人の名は名探偵。名字は名、名前は探偵。文字通りの名探偵である。
彼はある日、殺人予告が来た件で絶海の孤島のある別荘に赴いた。しかし事件は起きてしまった。
「殺されたのは被害者、26歳ですね」
名探偵は、書斎で胸を鋭利な刃物で刺されて倒れている被害者を調べ始める。
「死亡推定時刻は昨夜の11時頃ですかね」と、名探偵の独り言。
「呼びましたか?」
そこに立っていたのは一人のおじいさん。
「あなたは?」と名探偵が尋ねると、おじいさんは答えた。
「死亡推定時刻はわしの名前だが何か?」
「そうでしたが、それは失礼しました」
名探偵は頭を下げる。
「皆さんを大広間に集めてもらえませんか」
大広間にて。
「昨夜の11時頃、被害者が殺されました。そこで皆さんのアリバイを調べたいと思います」
「はい」と、中年の女性が手を上げる。
「私の名前、アリバイって言うんですけど」
「ああ、そうですか、すみません。ああそうだ、殺人現場には入らないで‥‥」
「それ、私の子供の名前です」と中年の男性。その傍らには中学生程度の男の子。
「ああそうですか、すみませんね。しかしこの殺人事件の」
「それは私の名前です」
「はいどうもすみませんね、にしてもこの殺人に使われたトリックは一体‥‥」
「ヘイ、それワタシの名前ネ」
金髪碧眼で背の高い男が手を上げる。
「はい、どうもソーリーですね、ではこの中に犯人はいますか」
名探偵のその問いに、一人の女性が手を上げた。
名探偵は尋ねた。
「被害者を殺したのはあなたですね」
「えっ、どうして分かったんですか」
犯人の問いに名探偵はため息をついて一言。
「いや、なんとなく」