タイトル未定2026/05/20 07:01
喫茶店を出て、繁華街に向かって歩き出した。
バスには乗らず、マスターと流花はずっと歩き、画材専門店や書店に立ち入った。
書店を出た頃には、夕陽が少しずつ沈み、繁華街は夕陽に包まれていた。
その時、マスターの携帯が鳴った。
画面には、游太の父親の名前が記されていた。
電話で少し話をして、マスターは電話を切った。
側で会話を聞いていた流花は、心配そうに言った。
「大門君に、何かあったんですか?」
「帰りの高速道路で、多重事故があり渋滞にハマったそうです」
「多重事故!大門君は、大丈夫ですか?」
「渋滞にハマっただけです。今夜は、帰れそうにないので、急遽予約をしたホテルに、今夜は泊まると言っていました」
「……良かった」
大門に何事もないことを知った流花は、安堵の息を吐いた。
「今夜は、ボクのところに来ませんか?」
流花は、一度だけマスターのマンションに泊まったことがあった。
その時は、大門がいた。
今夜は、マスターと二人きりだった。
流花は、恐る恐るマスターに聞いた。
「……良いん……ですか?」
「流花が、良ければ」
少しうつむいた流花は、顔を上げた。
「じゃあ、私夕飯を作ります。今から買い出しに、行きませんか?」
「夕飯を、流花が……?」
「はい!」
マスターは嬉しそうな顔をして、流花の肩を抱いて歩いた。
マスターと流花が目指していた繁華街の中にある量販店は、広く大きな建物で、一階は食材を中心に食料品や日用品等が売られていて、二階は衣類や家電等が売られていた。
三階は、立体駐車場になっていた。
量販店に入った流花は、嬉しそうに言った。
「私、ここ初めて!二階に行っても良い?」
「ボクも、初めてです」
マスターと流花はエスカレーターに乗って、二階の階に行った。
マスターと流花は、男性の衣料品コーナーにいた。
男性向けのティーシャツを見て回る流花は、薄い紫色のティーシャツを見つけ手にした。
ティーシャツの左下には、正方形のタグが付いていて、シンプルながらもアクセントになっていた。
流花はティーシャツを、マスターの身体にあてた。
「紫色のティーシャツなんて、初めてです。ボクには、派手じゃないですか?」
「そんなこと、ありません!似合っています」
マスターは近くにあった店の買い物かごを手にすると、流花が選んだティーシャツをカゴの中に入れた。
「私、買いたい物があるので、ちょっと行ってきます」
「わかりました。ボクは、この辺りにいます」
思いがけずマンションに泊まることになった流花は、下着を慌てて購入した。
一階の食料品売り場に行って、マスターはカートを押しながら流花に聞いた。
「何を、作ってくれるんですか?」
「何に、しようかな?」
「簡単な物で良いですよ」
「そんな豪華なものなんて、作れません」
笑い合いながら、マスターと流花は食品売り場を歩いた。




