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闇の覇者  作者: 快良
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学校襲撃

「俺は最強候補!!俺以外の奴らは全員カス!!」

今日もクラスの奴がうるさい。悪魔程度の能力で最強だとかほざけてしまう可哀想な奴。

「開楼君、少しこっちに来てもらえないかい。」

…!昨日の、先生。

「あ、はい。なんですか?」

「その…話しづらいことだから、ちょっと二人きりになれる場所で話そう。」

やはり昨日のことか…?


「その…昨日のあれは、やっぱり開楼君だったんでしょう?通報もしない、人にも言わないから教えてはくれないか…。教師としてではなく、一人の人間として…斉藤 一輝(かずき)として、知りたいんだ。」

どうするべきか。教えていいのか?この先生は信頼に足る人物なのか?

「知ってどうするんですか?揶揄いますか?脅しますか?」

「相談にのりたいんだ。あの様子だと、随分と悩んでそうだったから。」

一人にぐらい、と思うが、噂はどこからどう広まるかわからない。やっぱり言うのは…。

「信用に足りませんか。私では。そうですよね。あなたからすれば私はただの教師。そんな奴に教えてはくれませんか。」

「…やはり言えはしない。けど、そう思うなら勝手にしてください。」

俺が誰かに心を開く時はくるのだろうか?

「あ、あと。一つ質問が」

「…なんですか?」

「その…。そんな力がありながら、どうして高校に?」

それぐらいは答えても良いか。

「今までずっと独学でやってきたから、知識が欲しかっただけです。昨日のように。」

「知識…。そう、ですか。ありがとう」

俺は去った。せっかく好意を向けてくれた人物がいたのに俺はそれを無下にした。

「いたっ…」

誰かにぶつかられた。偶然当たったとかじゃない。これは悪意だ。悪意…悪、は…。殺さなきゃ…でも、今の俺はナイトじゃなくてただの開楼帝人…。

「誰にぶつかってんだぁ?あ?骨折れちまったじゃねぇかよぉ〜」

典型的な悪。この世の悪は、俺が…。

「こんなので骨が折れる脆弱な身体を持つ方が悪いだろ。」

つい言ってしまった。これぐらいなら許されるだろうか。

「あ"ぁ"〜??誰に向かって口聞いてんだゴラ」

「お前こそ誰に向かって口を聞いてる。お前ごとき俺にかかればワンパンだ。」

あ〜!!!やっちまった!!!こんなこと言うつもりなかったし鬼特有の能力、「自分より格下の相手に威圧感を与える」力も発動するつもりなかったのに!!!俺が牛鬼じゃなくて鬼ってバレる!!

「おまっ…この力…牛鬼じゃなかったのかっ…!?」

ついナイトの時のクセがあぁぁあ!!!

「こらそこ、なにをしているんですか」

さっきの先生!マジナイス!

「あぁ、先生。これは、その…。」

「おいセンコー!コイツ、牛鬼じゃねぇ、鬼だ!」

やっぱり気付かれたっ…!

「そんなわけないでしょう。彼は牛鬼です」

「だって、俺は悪魔だぞ!?悪魔にあれほどの威圧感を与えられるのは鬼しかいない!!」

俺の秘密に気付いた悪…。殺さないわけには…。

「…彼は殺さないでいてくれますか。お願いです。これは教師としてのお願いです。」

この先生の頼みなら、と思う気持ちもある一方で、やはりコイツは…。

「考えておきます」

なぜ俺はこんな答えしか返せないのか。


「今日の授業は種族それぞれの特有能力の説明です。例えば、鬼なら『自分より格下の相手に威圧感を与える』とかですかね。これらの…」

この授業の話は大体は知っていたが知らない事もあった。色んな能力を組み合わせれば俺ですら想像がつかないような最強の力を手に入れられるかもしれないこと。昨日言っていた能力の底上げの細かな条件ややるべきこと。

「ところで、みなさんは『ナイト』という存在を知っていますか?世界でも十数人しかいないとされる鬼の能力を持つ日本最凶と謳われる人物を。」

「え?でもナイトってあくまで都市伝説でしょ?それにいたとしてもただの人殺しじゃ?」

ぐうの音もでないな。自分でもそれぐらい気づいているさ。そう言われればそこまでだ。

「たしかに、都市伝説の域を出ていないのは事実ですが、実際にいた場合、どうやって人殺しの元にすぐ行くことができるのでしょうか?」

「え?それは、だって…」

死の臭いがわかるから、なんて、先生はわかるのだろうか?

「少し意地悪でしたね。実はそれはまだよくわかっていないんです。鬼という能力自体稀なものでまだ研究もそんなに進んでいないのです。我々がまだ見つけられていないだけで鬼にはもっとたくさんの特有能力があるかもしれません。」

一般的にはまだ匂いのことはわかってないんだな。教えてやるか…?

「…!死の、匂い…だ」

死の臭いがする。どこから?日本中に張り巡らせているのはあくまで夜だけ。なのにこんな臭いがするということはそれだけ近くということじゃ…。

「先生、少しトイレに行って来てもいいでしょうか?」

「?あ、あぁ。行ってこい。」

…よし。一応人殺しをしてもいいようにナイトの格好にしてから行こう。指輪があってよかった。俺のこの指輪はナイトの格好を保存しておいて、いつでもこうやって呼び出すためのもの。こういった力を持つ指輪等のアクセサリーなら学校にいる時でもつけていていいという校則であるため、昼間でも学校にいる時でも簡単にナイトの格好になれるという訳だ。ナイトの格好は夜に目立たないように黒にしてるだけなのに、全くカモフラージュになっていないがしょうがない。この臭いは、どこから…?俺は窓から飛び降り、臭いの元を探る。

昼間に宙を舞うのはいつぶりだったか。臭いは…3年生の教室、だな。なんだ?テロリストでも入ってきたか?

「…!」

ガチでテロリストか…。まずいな。能力が封じられるアイテムが使われてるみたいだ。これではここの生徒は皆なす術が無い。まあ、俺は違うけどな。

窓を割って入る。

「んなっ…!?お前は…!何者だっ!」

「俺の名なんてどうでもいい。悪は殺す。滅す。それだけだ。」

「で、でも、いくら能力持ちだろうが能力が使えなければただの人間だ!」

「誰がただの人間だって?はっ…それならどれだけよかったか」

仕様の大半は能力の奴らとなんら変わりないがこっちにはオリジナルが住んでるんだ。

「俺にはその手の類のアイテムは効かない。…多少力はいつもよりは劣るがな。」

「ば、バケモノッ…!!」

散々言われてきたさ。

「バケモノで結構。死ね」

殴り殺す。相手が動揺してる最初が一番のチャンス。殴る、殴る。ひたすらに。

「殺す、殺すッ…!!悪は成敗するんだ、悪は滅す!!俺がッ!!なんと言われようとッ!俺が!!」

気付けば馬乗りになってテロリストを殴り殺していた。そういえばテロリストは複数人いるのだろうか。流石に学校襲撃で一人で乗り込んでくるわけない。

「ははっ…見つけた」

二人、三人…。4人組みたいだな。100人でかかっても俺がいる以上ここは安泰だ。

「殺すッ…!!こんな場所で…許さないっ!!殺す…!俺が、俺が裁いてやる…!!」

あれ…気付いたら、もうテロリストの顔に原型はなかった。

「あ、あの…ありがとうございます…?」

「…俺は悪を滅しただけだ。俺の、やるべきことをやっただけだ。おい、飯だぞ」

『こんなのは飯とは言わん。顔が潰れてちゃ不味くて適わん。一応喰ってやるがな。』

「きゃあぁあぁああ!?それはなに…!?」

「鬼だ。」

まあ驚くのも無理はないよな。

俺は…。なにがしたいんだろう。悪を裁くといって悪に成り下がり、己の魂に住む鬼に支配される日々。


「遅かったな。」

「3年生の教室で起きた事件を鎮圧してきた。」

小声で先生に伝えてやった。もう隠す必要もないだろう。

「ッ…!」

ていうか、先生に事件のことが伝わってないなんて、どれだけ報連相がなってないんだ。


またあの先生に呼び出された。

「あの、さっき言ってた事件とは…?」

「テロリストらしき奴がいた。死の臭いがしたから行ったら、テロリストがいたんだ。」

「そんな…。ありがとうございます。なんとお礼をいえば…。」

「言ってるだろ…俺は俺のやるべき事を成しているだけだ。それに人を殺して人を助けても結局マイナスだ。」

「それでも、人を助けた事実は変わりません。」

「そうかよ」

「ところで…死の臭いとは?」

「あぁ…俺だけなのか他の奴もそうなのか知らないが、人の死が臭いでわかる。ちなみに授業で言っていたすぐ人殺しのもとへ行く…というのがそれだ。死の臭いを夜の間だけ敏感にして日本中に張り巡らせる。そして全速力で向かう。本州なら数分で着く。」

「数分…!?どんだけ速いんですか…」


その後順調に授業も進み、これから帰ろうというところだった。

「ねぇ、一緒に帰らない?」

「…誰?」

「私、藍!火南(かなん) (あい)!」

「…藍、か。いいよ、帰ろう」

「やったぁ!」

なんで俺に…?

「ねぇ、なんの能力なの?」

「…牛鬼。」

「牛鬼かぁ…ねえ、それ..嘘でしょ。」

コイツ、なんで気付いて…。

「私さ、見ちゃったの。君が今日、トイレに行くって言って教室から出ていった時に、途中でナイトになるの」

…!

「なんだ。通報するか、脅すか。」

「しない。ただ、友達になってほしいの」

「…断る」

「え!?なんで!?」

俺だって友達ぐらいほしい。でも、それは俺にとっても相手にとっても悪いことだから。

「なんでもなにもない。」

『教えてやってもいいんじゃねぇの?』

お前のせいだろうが

「きゃぁああぁぁっ!?!?」

「おい、でてくるな。驚いてるだろ」

「あの…この人は…?」

『人じゃねぇ。俺は鬼のグリード様だ。』

コイツ名前あったのか。初めて聞いた気がする。

「鬼…!?能力が鬼ってだけじゃなくて…!?」

「…あぁ。俺はコイツの…。」

『奴隷〜♪コイツさぁ、俺の腹を満たす為にナイトとかいうイカれた活動してるんだぜ。なんと健気な奴隷なんだろう』

「おい、誤解を招く物言いをするな。お前がそうさせてるだけだし殺すなら悪人の方がいいと思っただけだ。」

「…な、なんか…大変だね。にしても、会話できるんだ。」

『俺的にはコイツの大切は増えた方が嬉しいぜ?だってその方が壊し甲斐があるってもんだろ?』

「二人は…仲がいいね。」

今、コイツなんつった?

『だってよ〜帝人。仲良いんだってよ俺ら』

「良くない。誰がお前なんかと仲良くするか」

『つーか今日の飯まだ?腹減ったんだけど』

「はいはい。じゃあ、くれぐれもコイツの存在とか話さないでくれ。あんたは殺したくないから。」

「う、うん…。わかった。」


『今日の飯は誰だろな♪女〜子供〜?

殺人するのって大抵男でさぁ、そんなに美味くないんだよなぁ〜。』

「我儘言うな。すぐ用意してやるから」

『とかいいながら筋トレしてるのはどういうこったぁ?』

「事件の発生を待ってるんだ。お、丁度起きたな。えーっと…。ショッピングモールみたいだな。店員同士で殺したか、強盗か…。とりあえず行こう」


「強盗だぁ!手を上げろ!」

強盗か〜、またネチネチ言われそうだ。

とりあえず索敵。敵は5人。まあ5人なら無策で行っても大丈夫だろう。天井がガラス張りになってて助かった。ガラスを割って飛び込む。

「なんだ!?」

「あの黒いマント…顔が見えないお面…ま、まさか…。」

「おい、逃げたほうが…!」

悪と認定した者は逃さない。たとえ誰であろうと。

「抵抗してもしなくても殺す。俺がやりたいようにやるだけだ。」

「う、撃つぞ!!」

日本で銃とはいけないな。そもそもこの今の世界で銃はそんなに強くない気がするんだが。

俺はやろうと思えば全身を鋼のように強くできるわけだし銃は弱くないか?

よしまずはこの真ん中にいる奴だな。

とりあえず正面から殴るか…?

「ああもうめんどくせぇ!死ね!」

おっと、いきなり殴りかかってくるとは物騒な。

しかしまあその姿は滑稽でもはや可哀想なレベルだ。

「死ぬのはお前だ。」

俺はソイツの拳を握ってそのまま力を込めた。

突如、奴の悲鳴が響く。

「おっと…やりすぎたか?まあいい、悪事を働くような奴はできるだけ苦しんで死ねばいい。じゃあ…次にこうなりたい奴は誰だ?出てこないならこちらから行かせてもらうが。先攻は譲ってやるから。」

できるだけ煽って、キレさせて特攻してきたところを返り討ちにする。これが一番効率が良い。

「お前…!なめやがって!殺るぞ!構えろ!」

なるほど、全員で銃を乱反射するつもりか。

四方向から一気に撃ったりしたら仲間を誤射する可能性があることぐらい気付けないものか。

全身を硬化させて近付いて殴るか…。銃弾を全部避けて殴るか…。

「撃てっ…!」

残念。その瞬間にはもうお前らの目の前に俺は居ない。瞬間移動並の速さでリーダーらしき奴の元へ走り、後ろから頭に素早く蹴りをいれる。

「ガハッ…!?」

もうほとんど動けないだろうから、トドメを刺すのは後にしてまずは全員を戦闘不能にすることを最優先にする。動きが鈍くて助かる。俺を目で追えてすらない。

「はぁ!?どこだ!?」

「後ろ。気配にも気付かないし銃を使うなんて…。お前らただの人間か。」

まあ俺も最初はただの人間だった訳だが。

さっきの奴と同様に頭を蹴り飛ばす。

「なんなんだコイツっ…!見えない!!」

ただの人間が俺を目で追えたらそりゃあ奇跡ってヤツだ。

「腑抜けが」

あっ…ていうか頭蹴ったら顔潰れる…また文句言われちまう…。じゃあ腹殴るか。

「ガハッ…!?」

よし…これで全員…あれ?4人じゃなかったっけ?

あぁ…後ろか。こういう時大抵の奴は後ろだ!!とか叫んで自分の場所を晒しながら攻撃を仕掛けるもんだが…そんな余裕もなかったのか。

俺は振りかざされたナイフを手で受け止める。

「なんで、お前…血が出てないんだッ…!?」

「これは能力の一部でな…身体を金棒の様に硬くすることができる。身体というか皮膚というかなんというか…。まあお前が知らなくてもいいことだ。」

コイツの手を捻り、ナイフを奪って刺し返す。

はぁ…これでようやく全員か。

『ようやく飯〜…。って…大半顔潰れてるし男じゃねぇか。あぁ?女は殺さねぇのかよ女はよぉ!』

「別に女を殺さないわけじゃない。というか視線が痛いから早く食べてくれないか。帰りたい。」

『あぁ〜?視線なんざナイトサマが気にしちゃあ終わりだろうよ。』

周りがずっと異質なものを見る目でこっちを見てくる…。

「あ、あの…!ありがとうございました!」

「…礼を言われる筋合いはない。」

「ですが…お礼を…!」

お礼なんてされても辛いだけだ。

「やめてくれ。迷惑だ。」

『お〜、この嬢ちゃんは喰っちゃだめか?』

「なんの罪も犯してない人を喰っていいわけないだろ」

少なくとも、周りの目も気にせず真っ先に俺にお礼を伝えにくるような人は犯罪者ではない。

「ナイト…っていうの?…格好いい。」

「はぁ?…今なんて?」

俺みたいな奴を格好いいだとか、何をほざいてるんだ?嫌味か?

「だから…格好いいなって…。やり方はたしかに荒っぽいかもしれないけど…。でも、警察のやり方じゃ絶対に満足しきる人はいない。ナイトみたいな存在は必要だと思うの。」

「何、言ってるんだ…?」

「私、ナイトをもっと広める。そしたら、もっと悪を…。」

頭がおかしい。…なんだコイツ。

「いや、待ってくれ。俺が有名になることと悪をもっと裁けるようになることの互換性がわからないんだが。」

「とにかく!応援してるから!」

意味わかんねぇ奴…。俺が必要…?そんなわけない…。


『随分と好かれてたじゃねえか』

「あんな意味わからんヤツに好かれても…。」

『俺はいいと思うぜ?あの女。お前がもう殺しをしたくないって言い出すことはなさそうだしな。』

俺は殺しは…したい…のか?したくない…のか?わからない。自分でもよくわからないのに…。あんな奴といたら自分がわからなくなる気がする。そんな気がしてならない。

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