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餅は餅屋、金属はドワーフ

 ゴツゴツした木のベッドの上で目を覚ます。ここは俺の領主館……という名の、ほこり臭い屋敷の一室だ。


「……うわ、まだちょっとカビ臭い。掃除、後でしないとな」


 寝起き早々にそんなことを考えていると、扉の向こうから聞き慣れた声が飛んできた。


「おはようございます、アルス様。朝ごはん、できてますよ!」


 扉を開けると、エプロン姿のテレジアが慌ただしくキッチンで干し肉を炒めていた。朝からメイド服のコルセットをバッチリ締めているあたり、相変わらず仕事熱心だ。


 手早く作ってくれた黒パンと干し肉の簡易サンドを片手に、俺は散歩に出ることにした。


 外に出ると、春特有の乾いた風が肌を撫でてくる。砂ぼこりが舞っていて、目にも少し痛い。……慣れるしかないな、こういうのも。


「おはようございます、領主様!」


 明るく声をかけてきたのは、ジャガイモ農家のジーナさん。昨夜、ふかし芋を持ってきてくれた人だ。


「おはよう。朝から働き者だね」


 そう返してみたけど……ん? なんか引っかかる。


 次に出会ったのはウェルナー。昨日と違い、今日は腰に短剣を下げていた。


「よっす」


「お、今日は狩りか?」


「んー、まあな。けどさ、最近このナイフの切れ味がひでぇんだよ。もう錆びてきててさ……」


 その言葉で、ふと周囲に目を向けた。


 農具。刃物。工具。

 どれもこれも、錆びてるか、木の柄が欠けてるか、どう見ても限界ギリギリ。


(なるほど……これは深刻だ)


 どうやらこの村、農具や武器の整備状況がかなり悪いらしい。おそらく、ろくな業者から買えていない。もしくは、そもそも買う金がない。


 とにかく、これじゃ農業も狩りも満足にできやしない。




 「ふむ……金属製の道具の質が悪いですか……」

 館にてテレジアがつぶやく。

 いつものように冷静な表情をしているが、わずかに眉根を寄せているのが見える。


 「鉄が足りてないんですよ。精錬施設もないですし……加工も雑ですね。正直、見ていて危なっかしいです」


 俺は改めて辺りを見渡した。山と森に囲まれた、辺境のこの村。

土の質は悪いが。耕せる場所はあるし、何より今の状態では人という大切な資源の無駄遣いだ。


 「……金属となると、やっぱりドワーフですかね?」


 テレジアの言葉に、俺は顎に手を添えて考える。


 ――ドワーフか。確か、この村の北西。山脈を越えた岩の谷に彼らの集落があると聞いている。


 金属加工といえばドワーフ族。あの頑固で偏屈な連中は、腕は確かだが、気難しくて滅多に人里には下りてこない。

 だが……だからこそ。もし彼らを味方につけられれば、村の成長は一気に加速する。


「よし決めた。ドワーフの集落に行ってスカウトと行こうじゃないか」

今日は夜にもう1話投稿予定です!

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