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其ノ四

雑な夕食を食べ終えてしまうと僕たちは不健康な色をした部屋の灯の下で、僕は一人ライブ映像を見せられていた。僕がギターのことを話したら、彼女は思い出したかのように、瓦礫の山からDVDを持ってきて、デッキに入れて僕に見せた。

「あれはジャガーっていうギターなんだよ。あの人はね、新聞でそれを見つけて買ったんだ。そんでね、あのつまみをダクトテープで潰してね…」彼女の目には僕が見ているものとは違うものが写っているようだった。まるでスクリーンの中に入って、目の前で演奏を聴いているようだった。あんなに夢中な彼女は初めてだった。生きることに脱力しているいつもの姿とは違う。今の彼女には力がこもっていて、熱を発している。僕はそんな彼女に見惚れていた。でも、その熱がすぐに覚めてしまうと、彼女はスクリーンの中から帰ってきた。そして全てを思い出し、自分が自分であることを確認すると、話すのをやめた。そして彼女はタバコに火をつけて、重い息を吐いた。そして「ちょっと涼んでくる」と言って雨戸を開けてベランダに出て行ってしまった。

 僕は彼女の後ろ姿を見ていた。ただでさえよくわからない彼女がさらにわからなくなった気がした。とりあえず、僕は映像を見る。すると、ステージの上で叫び、長髪を掻き乱しながら、ギターを弾いている男が、彼女の姿と重なった。


彼女はこうあるべきなんだ

 

 僕はそう思った。彼女の言うホンモノはこれを指すのかもしれない。僕は画面の中の彼が何を歌っているのか、何を訴えているのかはわからない。でも、そんなもの重要じゃなかった。僕は見ているだけで、彼と一緒に暴れたくなるし、叫びたくなる。彼女があの時言った“いい音楽”とはこういうのを言うのかもしれない。

 僕がその一つの答えに辿り着いた時、ベランダから声がした。「ねぇ、花火やってるよ」僕が声の方を見ると、薄暗くて、表情のよく見えない中で歯を見せて笑っているのが見えた。僕は「そんなわけないだろ」と聞いた。実際、花火の音なんて聞こえなかったし、こんなご時世に花火大会なんか開催されるはずがないと思っていた。

 でも彼女はベランダから戻ってくると「屋上に行こうか」と言って、窓を閉めた。「見えるわけないよ」僕はそう言って、ゴミをビニール袋に入れてその口を結ぶ。でも気がつくと、彼女は僕の腕を持ち上げて、玄関の方まで引きずっていっていた。

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