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プロローグ~自然な不自然~
人々が不規則に行き交う雑踏。
薄暗い、月明りとぽつぽつと灯りが頼りのか幽かな夜道。
子供たちの明るい声が飛び交う公園。
そんなところに、ほんの少し不自然さが混じっても、さほど気にする人はいない。
例えば、子供たちの歓声で賑わっている公園に、ふらりと子供がひとり後から増えたとしても。
薄暗い夜道を、スマホの画面を眺めてふと顔を上げると、街灯の下に人影がひとつ増えたとしても。
人々がひしめき合う雑踏の中に、突如人が増えたとしても……。
いつからいたんだろう?
あれ? こんなところに人がいたっけ?
どこから来た子なんだろう?
不思議には思う。しかし、口には出さない。出したところでどうしたと言った感じだ。
気が向いていなかっただけで、初めからそこに居たんだ。
そう結論付けるのが至極まともな考え方だ。
そうして誰も気にしない。それが自然な考えだ。
そうして自然に、不自然さが入り混じっていく。
在るはずのないモノが、この世に生れ出る――――。