町に帰ろう
台風が来るそうです
皆さんお気をつけて
マッテオがアンドリューサルクスの死亡を確認してミュラーやクリューガーは、ほっと胸を撫で下ろした。
「それにしてもこの雷撃は…」
ミュラーが辺りを見回すと、頭から血を流しているノアが立っているのが見えた。
「ノア君、君の魔術か!」
「すみません、やつの魔術にやられて少し気を失っていました」
「あんた、頭から凄い出血してるじゃないか!」
ハンナが慌てて駆け寄って支えた、ハンナに支えられながらノアは聖霊術で自身の傷を癒し始めた。
「あんた聖霊術も使えるのかい?」
「はい、まだ初級程度ですけど」
「それでも十分さ、ターヒルを診てやってくれよ、一緒に来たプリーストも気を失ってしまって、傷を癒せないんだよ」
「はい、もちろんです」
ターヒルの元に行って治癒を始めるが、深く牙にえぐられて、初級の聖霊術では治せないかもしれないと考え、事前に買っていた中級治癒ポーションをかけてみた、傷は小さくなっていき、なんとか助かりそうなくらいには回復していった。
グスタフとベティがマッテオの方に近づいて来て話しかける。
「倒したみたいだな」
「ええなんとか、グスタフさんの攻撃のおかげでもあります」
「役に立てたならよかったよ」
「その筒も魔導兵器ですか?」
「そうだ、まだまだ試作段階だから全然思い通りにならなかったがな」
「照準に難アリって事ですかね?」
「分かるか、どうも発射時の反動が大きくてな上手く狙い通りに行かないんだ」
転生前の世界の大砲を思い浮かべて思い付いた事を伝えてみる事にした。
「それなら、発射時に後方へも風が出るようにすれば、反動を抑えられるんじゃないですかね」
「!!」
グスタフは目を丸くして驚いたような顔でマッテオの方を見た。
「そうか!それは1つの手だな」
「もちろんそうなると、後方に誰もいない事を確認しないと撃てないですけどね」
「ふむ、なるほど…」
などと2人で話しているとミュラーが近寄ってきた。
「この方がマッテオの言っていた知人かな?」
「そうです、グスタフさんとベティさんです、こちらはアンドリューサルクス討伐パーティのリーダーでミュラーさんです」
グスタフとベティにミュラーの事を紹介すると、ミュラーも話に加わった。
「お2人は、あの洞窟に避難していたのですか?」
「ああそうだ、やつがうちの小屋を漁っている間に何とか逃げ込めたが入口に居座られて、途方に暮れていたんだ、お前さん達が来てくれて本当に助かったよ」
「よく洞窟に侵入されませんでしたね」
「それなら、ベティが入口にモンスター避けの魔導陣を描いてくれたからな、何とか持ちこたえていたんだ」
「ほう!アンドリューサルクスも退ける魔導陣が施せるなんて、腕がいいんですね」
「あら、ありがとうございます」
ミュラーも交えて話していると、ハンナとノアがやってきた。
「ミュラー、そろそろこいつを解体して、町に戻ろうよ、日が暮れちまう」
「あぁそうだね、とは言っても解体も一苦労だ…」
「それなら僕のアイテムボックスに格納して、町まで運びましょう」
「あんたこのサイズが入るのかい?」
「うーん、ギリギリ入ると思いますけど半分くらいに解体できるなら、マッテオと分けて運べると思いますよ」
「マッテオもアイテムボックスを持っているのか!そう言えばさっき魔術を使っていたな、分かった半分にするくらいなら、そんなに時間もかからないだろう」
そう言ってミュラーとハンナ、クリューガーは解体を始めた、解体を待っている間に、意識を取り戻したターヒルがノアに近づいてきた。
「ノア、お前が治療してくれたんだってな、助かったよありがとう」
「いえいえ、ターヒルさんが前衛で戦ってくれたから、僕も強い魔術が撃てたんです、治療するのは当たり前ですよ」
「そうですよ、ターヒルさんが隙を作ってくれなかったら、俺だって大した事できなかったです」
マッテオもターヒルに話しに加わり互いに労をねぎらう、しばらく話していると解体が終わったようだ。
「これくらいで大丈夫かな?」
「はい、大丈夫ですね、マッテオもこれくらいなら入るよね」
「ああ大丈夫だよ」
ノアとマッテオでアンドリューサルクスを格納した後、町に戻る準備を始める。
「グスタフさんとベティさんも、一旦町に行きませんか?」
マッテオが2人に声をかけた。
「うーんそうだな、小屋も壊れちまったし、今日は町に行って休むとするか、なあベティ」
「そうですね、さすがに疲れましたし、町でゆっくりしましょうか」
アンドリューサルクス討伐を終えて、一行は町へと引き返した。




