3年経って
春ですね
王都に移り住み3年が経ち、マッテオは16歳になっていた。
訓練を重ね武術、魔術の腕前は、近衛師団の中でも上位の兵士とも肩を並べるくらいになった。
正式な近衛師団は50人程いて3つの小隊がある。
師団長には、オリバーが就いていて、副師団長はヴィクトルだ。
この3年で近衛師団と3人大隊長、何人かの中隊長には気功術を教えても問題ないと判断して、限られた人数で訓練をしている。
そんな中、最近南の国境付近が騒がしくなっているようだ、ベルツ王国の南には幾つかの小国群があり、数多くのドワーフの国あるのだが、最近そのドワーフの国の一つがこちらに侵攻し始めている節がある、南の国境付近はガスパールの領地もあり、小規模ではあるが何度か戦にもなっている。
クラウスの下にもガスパールから報告と応援の要請が届いていて、アルムガルトへ状況を伝える事にした。
「陛下、ガスパール様から私の下へ手紙が来ておりまして、それによると、我が国の南に隣接しているドワーフの国がどうやら侵攻してきているようです、ここは現地に兵を派遣し援助と状況の確認を行うべきかと思いますが…」
「ドワーフの国が…昔からあまり国交が盛んではなかったが、まさか侵攻してくるとは意外だな」
アルムガルトも19歳になり、周りからも認められ始めていた、この3年の間に2回ほど俺マッテオとノアと3人でBランクでも上位モンスターの討伐を成功させて、見事に武勇で周りからの信頼を得ていた。
また、アルムガルトの提案でガスパール、ヴェルナー、エバーハルトの3領地から、領主が信頼できる兵士何人かをテオバルト領に派遣して、気功術を習わせている、これで各地での防衛力強化ができて、アルムガルトの地盤も固くなっている。
「ガスパールには援軍を向けるとして、我が国の南側は全面ドワーフの国と接している、他の領主にも状況を確認しよう、まだ小規模だからと報告していない可能性もある、こちらもそれなりに準備をしておかないとな」
「承知しました、それと幾つかのドワーフの国に対して密偵に探らせますか?」
「それは南側の領主に状況確認してからでいいだろう、それぞれ独自にドワーフの国について探っているかもしない、情報を集め不十分ならこちらから送り込もう」
「承知しました」
ガスパールからは援軍に100人ほど来てほしいと記してあったので、王都から200人送ることにした。
一時、前大臣が国政を担っていた頃、国内は衰退し国王兵団も1000人を切る程に減っていたが、現大臣や大隊長たちのおかげで今では、2000人を超えるまで回復した。
数日後に、南側の状況を確認してきた兵士たちが戻ってきた、調べによると、南側の全ての領地で最近ドワーフの国による侵略行為が確認でき、内数件は小規模な戦闘をしていた、ガスパール領だけは独自にドワーフの国について調べていて、ちょうど密偵が戻ってきたタイミングだったらしく、調査内容も持ち帰ってきていた。
「さすがガスパールだな、調査の内容を聞かせてくれ」
ベルツ王国の南側には、ドワーフが治めている小国が多くあり、国境が隣接しているのは1つの国ではなかったはずだが、報告では、そんな小国の中の1つが周りの国を侵略し始めていて、既に小国群の北半分程を併合していると言う事だった。
「南ではそんな事になっていたのか…国交が少ないとは言え、全然知らなかったな…」
「不覚にも我々も知りませんでした、いつの間にそんな事態になっていたのだ」
ハインツやクラウスも南側の事には、気づいていなかったようで、報告した兵士に尋ねる。
「どうやらここ1年の間に10の国を取り込んだみたいです、我が国の南側は全てその新勢力の国に面しています」
「1年で10国!?」
思わずアルムガルトが聞き返す。
「それはちょっと異常ですね、単純に武力で制圧していったなら、噂が流れてこないのも不自然ですし、調略したのなら時間が短すぎる、何か情報に過ちがあるのかもしれませんね」
ハインツは情報を、鵜呑みにはせず分析を始める。
「これは、我々も情報を集める必要がありますね、陛下、私も現地に向かおうかと考えておりますが、よろしいですかな?」
「そうだな、頼めるかハインツ」
「それならば、ガスパール様より相談を受けたのは私ですので、私が向います」
クラウスも事態があまりにも異様なので、自ら調べるつもりのようだ。
両大臣が王都から離れるというのは、やはり良い事ではないが、アルムガルトはこれを良しとした。
「では、クラウスは南東のガスパール領へ、ハインツは南西のゲルトルート領へ行ってくれ、何も成果がなくても10日後には戻ってくるように」
「承知しました」
ハインツとクラウスはその日の内に、それぞれ調査へと向かった、アルムガルトは自室にマッテオとノアを呼んだ。
「2人ともよく来てくれた、実はさっき興味深い報告を受けたんだ」
「興味深い報告ですか?」
ノアが不思議そうに聞き返す。
「そうだ、実は南のドワーフの国が国境侵犯をしてきているという情報だ」
「えっ!本当ですか?と言うか、そんな重要な事、僕達に話して大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ、それで自分たちで現場を確かめたくないか?」
アルムガルトの行動力には感心するが、ここは落ち着かせないと、と考えマッテオは懸念を伝える。
「んーまぁそれは興味と言うか気にはなりますけど、ハインツさんもクラウスさんも、陛下自ら行くなんて許さないでしょう」
「それは大丈夫だ、奴らはそれぞれ南東と南西の領へ向かわせた、だから俺達は王都直轄領の南端へ行こう、あの2人は10日後に帰ってくる、直轄領なら片道1日程だし、じっくり調査できるな」
どうやら現地に向うことは決定事項のようだ。
半ば強引に、アルムガルトはマッテオとノアを連れて王都直轄領の南端へ向かった。




