どうしたものか
温かいそして眠い
クラウスの部屋に着いて、ドアをノックする。
「クラウスさん、マッテオです、いらっしゃいますか?」
「開いているぞ、入れ」
「失礼します」
「お疲れさん、どうした?ベクターの実戦訓練はもう終わったのか?」
「あっはい、そっちは滞りなく、クラウスさんとベクターさんの推薦のお陰で冒険者ランクもCランクになりました」
「おお、ランクアップできたか!それは良かった、その礼でも言いに来たのか?」
「いえ、実は別件で…以前、テオバルト領の兵士が強い事について話題に上がったと思うのですが、その事でご相談に来ました」
「そう言うことか、それでまずは強い理由から聞いてもいいか?」
「はい、テオバルト領では以前、東方の大陸から来た旅人に学んだ気功術という技術を取り入れてます」
「気功術?聞いたことがないな、一体どんな効果がある技なんだ?」
「平たく言えば、身体強化、攻撃スキルの効果アップとかですかね」
「スキルの身体強化とは違うのか?」
「違いますね、スキルの身体強化は強化倍率が一定ですが、気功術は高めた気の強さに比例します。それに気の扱いに慣れてくれば、右腕だけに気を集めて瞬間的に強力な力を発揮するなんて事もできます、こんな風に」
そう言って、マッテオは3人掛けソファを右手1本で持ち上げて頭の上に掲げた、それを見たクラウスは驚いて言葉が出ないでいる、マッテオはソファを元の位置に戻して話を続けた。
「見てもらったように強力な技術です、教えてくれた東方の旅人は、集中した気自体を飛ばして攻撃してました、俺はまだその技は使えませませんが、気功術自体が強力です、王都の兵士団に教えれば、全体の強化になる事は明白ですが、不特定多数に教えるのは、躊躇する技術です、テオバルト領も新しい兵士には、まだ教えてないそうです」
「うーん確かに塩梅が難しい問題だな、ハインツも呼んで話し合ってみよう」
そう言って、クラウスは念話でハインツへ連絡を取っている。
しばらくすると、誰かがドアをノックした。
「開いているぞ」
「失礼する」
挨拶をしながら、ハインツが入ってきた。
「なんだ突然呼び出して」
「まぁ座れよ、ちょっと興味深い話があるんだ」
「興味深い?」
「前に話に上がった、テオバルト領の兵士の話だ、マッテオ説明を頼む」
マッテオはハインツにも気功術の説明をして、もう一度3人掛けのソファを持ち上げてみせた。
「おぉ確かに興味深い…」
「お前を呼んだのは、この力をどこまで広めるかという問題について相談したくてな」
「……難しいな、私は正直まだ大隊長達でさえ信用しきってはいない、気功術を習得したベクター、ゲイル、ラーシュの3人が反乱を起した場合、今度こそ国が転覆しかねない」
「そうだな…まだまだ陛下の実力不足が否めないな、家臣達が陛下を、心底信頼している感じがしないのは事実だな」
うーん唸りながら3人で悩むこと数分、マッテオが思いついたことを、2人に話してみた。
「まずアルムガルト様に習得してもらって、武術面だけでも信頼が集まるようにしてみてはいかがでしょうか?」
「うーんそれも1つの考えだな…魔槍もお持ちだし、より上手く扱えるようになってもらう事が良策か」
「うむ、マッテオよノアにも教えてもらえるか、いざという時に、戦力として頼れるようにしておかないとな」
「分かりました、ではその方向で行きましょう」
「私達は、誰を気功術の訓練に参加さるべきか、そうでないかの選別をしていくことにしよう、いいなハインツ、陛下を裏切る裏切らないじゃないからな、力を悪用しない人間を選ぶんだぞ」
「分かっとるわ!」
「…よろしくお願いします」
こうして、一旦話し合いは終えて、次の日に早速アルムガルトへ気功術を教える事になった。




