洞窟の奥にいた者
寒いです
マラカイトの発見で終わらず、ミスリル探索は続いていた、マラカイト鉱脈のあった場所から更に奥に進んでいく、この通路は結構長く続いていて、どんどん進んで行くと縦穴にぶつかった、ルイスが覗き込んだが、当然暗くて底は見えない。
「暗くて何も見えないな、マッテオ、火球を撃って確かめられないか?」
「分かりました、ファイヤーシュート」
下に向かって、火球を放つと20メートルくらいで地面に着弾した、すると火球に反応して巨大な蛇のモンスターが這い出てきた、一斉に全員身を引いて、蛇から見えない位置へ隠れた。
「あれはたぶん、ギガントフィスだ」
ルイスが小声でみんなに伝える。
ギガントフィス
Bランクモンスター
体長10〜13m
Bランクの中でも上位の存在
全身が強靭な筋肉で、巨大な身体の割に素早い、鱗も硬く攻撃が通りにくい。
「毒はないが、あの巨体に巻き付かれたら全身の骨が砕けるぞ…」
「…正直に言いますけど、あいつの相手までは依頼に入ってませんよ、追加報酬もらっても相手したくないですけど」
シーフも小声で答えた。
「もちろんだ、そもそも下に降りる装備もないし、あいつの相手をするには人数も足りない、このルートはここまでだ引き返そう」
そう言って、来た道を戻っていった、開けた場所まで戻った時に、後ろから近づく気配に気づいてマッテオは振り返った、息子が何かに反応したのを見て、ルイスが話しかけてきた。
「どうした?マッテオ」
「何か付いてきています」
シーフも気配に感づいて暗い洞窟の奥を凝視している、やがで暗闇の中から大きな蛇のモンスターの姿が見えてきた、全員、予想外のことに驚き固まってしまった。
「さっきのギガントフィスか…」
ルイスが真っ先に、硬直から溶けて剣を構えた、それに反応して兵士2人も剣を構える、シーフはゆっくり後ずさり、冷静に逃げ道を確認している、ギガントフィスは、まだ広場までは出てきていない。
「皆さん、俺の魔術で蛇の前を塞ぎます、塞いだら全力で走って逃げてください」
「マッテオ、お前は残る気か?」
「はい、残って食い止めます」
「そうか、お前たちはマッテオの言う通りにしろ、戻って別の隊を連れてきてくれ、できればカールとレームスも連れてこい」
「父さんも逃げて下さい」
「ここで言い合いをしてる時間はない、道を塞げマッテオ」
「…ストーンスピア!」
ルイスの指示に従い、魔術を使うと地面と天井から何本も尖った石が突き出し通路を塞いだ、その瞬間ルイスが叫ぶ。
「走れ!」
ルイスが叫んだと同時に兵士とシーフが出口へと走って行ったすぐ後に、石柱を破って大蛇が飛び出してきた、ルイスはその行動を読んでいて、直線上にはいなかった、マッテオはワンテンポ遅れて、大蛇の突進を避けた。
大蛇は壁に当たる直前で止まり、2人に頭を向け反転した、全長10メートル以上ありそうな巨大な蛇だ、こんな巨体でも垂直に近いあの壁を登ってきたのかと思うと恐ろしくなった、2人を見据えた大蛇が口を開けると、その前で石が集まっていき大きくなっていった。
「こいつ魔術を使うのか!」
そうルイスが言った途端に、石の弾がルイスに向かって飛んでいった、その石の弾を躱し、瞬歩のスキルで大蛇の頭に向かって斬り掛かったが、硬い鱗には刃が通らずに弾かれた、ルイスはすぐに離れて距離をとった。
「硬いな、簡単にはダメージが入らんぞ」
離れたルイスに向かって、また石の弾で攻撃してくる、その弾を避けながら、ルイスはどう攻めるか考えている、一方、マッテオはレーヴァテインを抜いて魔力を高めていく、その魔力に気づいた大蛇が標的をマッテオに変えて丸呑みにしようと口を開けて突進してきた。
「ヴァルムボルグ」
大きく開けた口に炎の斬撃を飛ばす、口の中を焼き切られ大蛇は、のけぞり顔を背けた、そして、とぐろを巻いて防御体勢をとった、大蛇が動きを止めたこの隙に、ルイスもマッテオも気を高める、しばらくすると、大蛇は頭を上げて2人を見据えた、マッテオが威圧のスキルを使おうとした時に、今まで以上の速さで大蛇はマッテオに向かってきて、あっという間に巻きつかれてしまった。
(不味い!)
そう思った時には既に遅く、かなりの力で締め上げてきている。
「うぐっ」
一瞬であばらが数本折れた、更に力を込めて締めてくる大蛇にルイスが近づいて斬り掛かった。
「剛剣と強撃の重ねがけだ!喰らえ!」
ルイスは新たに強撃のスキルを習得していたが、剣は大蛇の胴体に食い込んだがすぐに止まった。
「くそっこれでも切断できないのか」
それでも、強撃の威力で体勢を崩して大蛇は壁にぶつかった、胴体に深い傷を負った大蛇の巻き付きが、少し緩んだその隙にマッテオは逃れようとしたが、全身に激痛が走って上手く動けない、何とか這うように大蛇から離れ、ようやく壁に寄りかかった。
ルイスが大蛇を引き付けるように、マッテオから離れていく、大蛇も深手を負わされたルイスに標的を戻して、顔をそちらに向けている、不味い状況だ、ルイスの渾身の一撃で倒せなかった、マッテオは動けないほどのダメージを負わされて、もう魔剣で攻撃はできない、後は、最大魔力で大蛇に攻撃するしかないが、魔力を高めた時に、標的がマッテオの方に向かないかが問題だ。
「やるしかないよな」
覚悟を決めて魔力を高め始めると、やはり大蛇がマッテオの方にに注意を向けた、マッテオは顔をこっちに向けた大蛇に威圧のスキルを使ったが、対して効いてなさそうだ。
マッテオとは大蛇を挟んで反対側にいるルイスは、気を高めている、大蛇はそちらも気になる様子で、今度はルイスの方を向く。
おそらく、ルイスはマッテオのやろうとしていることを読み取って、大蛇の隙を作ってくれている、そのおかげで、最大限まで魔力を高められた。
「くらえっ!セイバーガスト!」
強烈な突風が吹いて大蛇の体を切り裂いて、深く傷を付けたが、致命傷にはならなかった。
「くそ…」
マッテオは激痛に耐えかねて、気を失ってしまった、再び深手を負わせたが、まだ動ける大蛇はマッテオにトドメを刺そうと、今度は石のトゲを魔術で作っている、だが、その僅かな間で、気を最大まで高めたルイスは瞬歩で大蛇に近づき、再び剛剣と強撃の一太刀を放った。
今度はマッテオが魔術で付けた傷に被せて一太刀を加えた、するとバキンッと骨を砕く音がして、大蛇は地面に倒れて動かなくなった。
だが息絶えた訳ではなく、骨折で動けないようだ、何とか石の弾を生成してルイスに飛ばしてきた!
渾身の一太刀の後だったので、隙が大きかったルイスは、石の弾を頭に被弾してしまい気を失ってしまった。
その後、さすがにギガントフィスも力尽きたのか、じっと動けないまま出血のため息絶えた、しかしルイスもマッテオも気を失ったままの状態で時間が過ぎていった。




