父の訓練
書き溜めていた分2
3日後、町はずれの平原に
父と息子3人の姿があった
「では、稽古を始める」
息子たち「はい!お願いします!」
まずは長男ポールから
父に向かって切り込んでいく
カンッカンッと木剣同士のぶつかる音が響く
ポールは、剣の才能を受け継いだらしく動きがいい。
間合いをみつつ、斬り込んでいく、攻撃を止められれば距離を取る、スキが見えるとすかさず父が打ち込む。
父の木剣をポールが受け止める。
そんな稽古が10分ほど続いたところで
父がポールに一撃を与え、膝をついたところで、稽古は終了。
「ポール、また少し腕を上げたな。打ち込みも力強く早くなったし、正確性があがっている。このまま努力を続ければ、いい剣士になれるだろう」
「はぁ…はぁ…あ、ありがとう。父さん」
汗だくで息を切らせながらポールが答える
「うむ、次、ヘンリー」
「はい!」
次男ヘンリーが木剣を構える。
慎重間合いを詰めていく、兄と違いジリジリと静かに詰め寄っていき、大上段で振りかぶり大きく一歩踏み出し斬りかかる。
あっという間に木剣を弾かれ、そのまま倒れる。
「いてて、もう一本お願いします!父さん」
「うむ、来い!」
また、ジリジリと詰め寄り一定の距離まで近づくと
いっきに詰め寄り今度は横薙ぎに斬りかかる
が、受け止められ木剣を弾かれ倒れる。
この後も似たような展開が5分ほど続いて
ヘンリーは瞬く間に砂まみれになっていった。
「ヘンリー、お前はえらく慎重だな。まぁそれも悪くはないし、打ち込む間合いも間違ってないと思うが、すぐに倒れる癖を無くさないと戦場ではすぐに死ぬぞ、足腰を鍛えなおし、胆力をつけろ。」
「はぁ…はぁ…」
かなり疲れた様子のヘンリーは、息も絶え絶え父のアドバイスに頷く。
「下がって休んでいろ。次、マッテオ」
「はい!よろしくお願いします!」
いよいよ自分の番だ、父と正面に対峙し、木剣を握る。
姿勢を低くして、いっきに間合いを詰め下から上に突き上げる、当然、防がれる。
すぐに間合いを取る、父の左側に回り込んで、今度も姿勢を低くして下から上へ斬り上げる。
が、身をよじって躱される。
振り上げた腕をそのまま振り下ろす
が、また受け止められる。
一歩引いてから突きの連撃を繰り出す
全て受け流される。
と、あれやこれやと5分ほどやってみが、どれも通用せず、体力が限界を迎え、動けなくなり終了。
5才児のスタミナにしては、よくやったんじゃないかと
自分では思うのだが…
父は少しも疲れていない様子だ
こちらををじっと見つめている
「マッテオ、お前は何故、俺の左側へ回り込もうとしたんだ?」
「それは、父さんは右手に剣をもっているので
左側に打ち込めば、対応が遅れるかと思い…」
「ふむ、5歳にしてそのように考えつくとは、確かに見どころがある、トムや他の兵士に、これからも稽古をつけてもらえるよう言っておこう」
「はい!今日はありがとうございました。」
こうして父さんとの稽古は終わった。
帰りに4人で公衆浴場によって汚れを落として帰った、そのまま帰ると母さんに怒られる未来が見えたので俺が提案しておいた。
父さんもハッとして褒めてくれた、どこの世界でも母は強し
まだまだ慣れてません。
生温かく見守っていただければと思います。