表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スパダリ物神様はATM!  作者: 輪形月
2/2

年齢歴=彼氏ナシ歴女子の場合(その2)

 独り身の気楽さはさみしさとバーターだと思ってた。強盗とかと出くわす危険なんて、この日本でそんなにあるわけないと高をくくってた部分はあると思う。

 だけど目の前でにこにこしてる不審者(?)の存在に、悲鳴を上げる気にはなれなかった。

 ゆるっとした白いローブ……っていうんだろうか?でもバスローブとはぜんぜん違う、ドレープの多い服をまとっていたのが、アイドルグループ花鳥風月の花くんにそっくりな、でももっと優しい表情の華やかな顔の男性だったせいはあると思う。(面食いで悪かったね!)

 声に一聞き惚れした声優の雪yu-kiさんより深みのある、穏やかな声のせいもあるとは思う。

 でも宙に浮けるところ見ちゃったら、人間じゃないって納得しちゃうじゃない?

 

 うっかり浮遊霊とかに間違えそうにも、その雰囲気がねー。

 悪意が欠片も感じられないのは、まあ当然なのかもしれないけど。

 ……なんていうか、見ているだけでこっちが陽だまりにヘソ天な猫状態になるというか。ずっと撫でててください側にいてください気分。


藤菱(ふじびし)緋梅(ひめ)さん。あ、緋梅さんでいいかな?話したこと、覚えてるかな?」

「ごめんなさいすいませんまったく欠片も覚えてません!」


 あたしは即行土下座した。

 なんというスカポンタンなんだあたしは!たとえ人間じゃなくてもこんなイケメンと話をしたことを忘れてるとか! 

 ここは切腹すべきだろう。


「ああ、気にしなくていいから。というかいきなり切腹はしないでくださいお願いします」

「はい!」


 生きろというなら喜んでー!お前は美しいまで言われたら、むしろ死ねますー!

 

「……えーと。もう一度最初から説明するね?」

「はい、ぜひともお願いします!」

 

 ぶんぶん首を振ると、苦笑したイケメンさんは(その苦笑すら魅力的すぎる!)信じられないようなことを説明してくれた。

 自分が夢の中の真っ白オーブと同一存在で、神様だということ。

 ただし、あまり力はないということ。

 寝落ち間際のあたしが、うっかりスマホの画面をタッチしちゃったせいで、神様憑きになったということ。


 ……即座に信じろと言われても無理案件だと思う。

 だけど、目の前でオーブに戻って見せられるとね。信じるしかないでしょ。

 なんてこったい。そんな幸運を寝落ちしてたとか。

 に、しても。

 

「あの、ひとつ聞いて…伺ってもよろしいですか?」

「どうぞ。それと、しゃべりやすい話し方でいいよ」

「なんで、その顔とその声なんでしょう?!」

「好きじゃなかった?「いえ素敵すぎます!」……あ、そう。喜んでくれてよかった」


 いやほんと、花くんは外見こそ好みだが、声はツヤがあまりないし、しかも高すぎる。雪yu-kiさんの声は好きだけど、…うん、顔はちょっとごめん。

 

「むしろいいとこハイブリッドさらにアドバンスとか。なにこの好みドストライク過ぎてつらい存在。まさしく神!」

「そこは神ですから」

 

 口からダダ漏れだった本心にもかかわらず、神様はどん引きもせずにこにこと笑ってくれた。

 なんという神対応。

 いや、神なら当然なのかもしれないけれども。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ