青春は幼馴染と共に
今回コメディ色強めです。楽しんでいってください
エピソード6 〰〰〰青春は日常と共に〰〰〰
「―――てへぺろっ」
授業に遅刻したと思ったら妹ができてました・・・
いや簡潔に頭を整理しても到底理解できる内容ではないだろう。どうしてこうなってるんだ・・・
――そもそも教室に戻った時に玲奈と天子が仲良くなってた事が驚きだ。
そこに追い打ち妹などと言われても頭が理解を投げ出すのも当然であろう。
美少女が、舌を出すしぐさは可愛らしいのは間違いない。通常の状態なら魅力的だった。
実際に一度目は僕でも可愛いなと思った。
――しかしやはり腹黒天子・・・テメーはダメだ!
天子による二度目の某洋菓子屋のマスコットのような顔に
張り手をお見舞いしてやりたいがグッと堪える。
「おい、てn―――」
「あ~やっぱちょー私好み!いいなあ~私ブルべだし青系統以外似合わないから、イエベも合う人はちょっとうらやましいかも」
天子に話を聞こうとしたが玲奈が間に話しかける。
そのせいで上手くタイミングが取れない。
「でも玲奈さんの腕ならなんとかなるんじゃないですか?」
「いやダメダメ!私は絶対ブルべコスメなの―――誰かさんの好みでもあるし」
「ぶ、ブルべ?イエベ?」
ブルべにイエベ?何かの暗号だろうか?
流行りのギャル用語はよくわからない。
「おい、幸秀」
そんな状況を見兼ねて光莉から声がかかる。
「玲奈たちとはアタシが話す。お前は教室の外へ天子と話に行け」
察してくれた光莉が助けてくれるらしい。
ありがたい申し出だ。
視線を移すと天子もこちらを見ていた。
外に出ろとアイコンタクトをすると頷いたので大丈夫だろう。
「あ、あー、玲奈~!タナカ~!」
「ど、どうしたの光莉ちゃん」
「そのメイクはどうやったのだ?教えてくれないかーーー(棒)」
≪・・・光莉お前・・・演技がど下手すぎる・・・≫
余りに酷い棒読みに悲しみ、そんな自己犠牲の光莉に涙が出る
みれば恥ずかしいのかぷるぷる震えている。
―――しかしそんな演技でも上手くいったようだ。
二人とも光莉へ注目がいき、
「えっ光莉ちゃんメイクまじ!?」
「ぴかりが!?ロリギャルに!?」
など盛り上がっている。後和弘お前死ぬぞ。
耐える光莉に「ありがとう」と小声で伝え、
先生に言って僕は言って席を離れた――
・
教室から出て少し待つと天子も出てくる。
意外とこういうところは抜け目ないらしい。
ひとまず並んで歩き生徒会室まで案内し中に入る。
この時間は勿論生徒会はない。
普通は使えない生徒会室だが光莉との勝負―
――とある賭けで勝ち鍵を貰っている。
「はあ天子。色々聞きたいことは山済みだけど―――」
入ってすぐ飛び掛かって壁際に押された。
「な!?」
「もおおおおお!幸秀くん!!ひどいです!!!」
ひどい?何だ。何かしたであろうか?
凄い怒ってそうでもあり、天子は涙目だ。
「・・・え、はい?」
「折角幸秀くんにサプライズしようと思ったのに!!なんであんなに冷たかったんですか!」
「いや天子さんちゃんと驚きましヨ?死ぬほど」
≪あれはサプライズだったのか・・・ある意味成功だが≫
「でも!冷たすぎます!!!」
・・・確かに僕の態度は冷たかったかもしれない。
しかしそれは【入江が何か企んでいるのでは?】
と思ってしまい色々と警戒しすぎた結果だ。
そもそも何故初対面の僕にここまで心が許せるのだろうか?
「天子・・・それは悪かった。でもなんで僕の事を?」
意図を組み取るように僕を見つめると少し微笑みながら話してくれる。
「天使の時に"調べた"って言ったじゃないですか。もちろん全知という訳にはいかないですけれど、幸秀くんの経歴であったり優しい所も含めて全部知ってますから」
≪家の事など関係ない、とそう言ってくれてるのか≫
でも言い方が怖い。全部って・・・
「それはそれで怖いんだが・・・じゃあなんだあの妹っていうのは」
「玲奈さんの事を考えて妹って言っといたんです」
「玲奈の事を?どういうことだ?」
玲奈のために妹になったとはどういう意味だ?
「ほ、本当に分からないんです?もしかしてボケてます!?」
「もしかして家に住んでるって言い出したら厄介になりそうだと思ったのか?」
ナンパして一回玲奈が大騒ぎした事がある。
とあるOLさんに家に来て頂いた時だ。
ただあの時のOLさんは僕を哀れに思って料理して頂いただけなのだが・・・
「そうです!なんだ焦りましたよ~私の幸秀くんには幸せになって欲しいですし」
天子は話す。少なくとも天子の物になった覚えはないが・・・
「ナンパした訳じゃないし今回は説明すれば大丈夫じゃないか?」
「・・・それマジ卍です?」
今風キャラに変わってますよ天子さん。少し古いか?
メイクに引っ張られでもしているのだろうか?
「・・・やっぱりボケはボケでも相当の物でした・・・幸秀くんいいですか?入江という名前にしたのも色々便利だと思ったからですよ」
かなり馬鹿にされてる気がするのは気のせいであろうか?
「便利―――か」
嫌な思い出が浮かび上がるが言いたいことはそれとは別だろう。
「そうです。一緒に住むなら名前を統一すれば他から見た混乱は減らせます。私は外国から来たということでエンジェル・天子でも良かったんですが一応考えたんです」
「エンジェル・天子ってお前・・・」
ネーミングセンスが力こそパワーと同レベルだ。
「兎に角です。玲奈さんに誤解させたくなかったからですので――」
「――従妹もしくは はとこという事にでもしましょう」
なるほどなと思う。
確かに一緒に暮らすにあたり別々の苗字は面倒だろう。
入江姓であれば近隣への理解も早そうだ。
勿論僕から色々と説明もしやすくなるかもしれない。
≪意外と突拍子なく思えて、しっかり考えたな≫
「なら はとこ にしよう。従妹はダメだ」
「なんでです?」
「少し面倒な家なのは知ってるだろ?」
「相馬先生ですか?幸秀くんの叔父さんですよね」
その通りだ。従妹なら相馬先生の娘という事になってしまうのだ。
間違いなくあの人は怒らないがこれ以上面倒は押し付けたくない。
はとこでたまたま姓が同じであったくらいでいいだろう。
「あっ!気づいてしまいました!!」
「何がだ!?」
「これでは私と幸秀くんが結婚しても違和感がありません!」
・・・何か重大なミスかと思ったが僕が馬鹿だった様だ。
「天子・・・お前可哀そうな奴だな・・・」
「な、なんですかその馬鹿にした目は!私は知り合いが幸秀くんしかいなくてホームシックなんです!」
ホームシックは意味が違うだろと思うのだが・・・
しかし誰も味方がいないのは心細かったかもしれない。
≪まあその本来味方の僕は敵視してたのはあるからな≫
「・・・幸秀さん。私は寂しかったので怒っています!」
「あ、ああ。申し訳なかった」
さっきもそうだが普通に感情をぶつけられると申し訳なくなる。
「放置プレイは趣味じゃないんです!!」
「好みの問題かっ!?」
「お腹がすきました!!」
「それは関係ないだろ!!」
とりあえずこのままでは埒があきそうにない。
真剣に謝ろう。
「天子色々と冷たくした。寂しかったと思う。すまない」
「・・・」
実際に寂しくて怒りが出てきたのだと思う。
後で何かしらの謝罪もいるかと思っていたが天子は微笑む。
「ふふっ私は幸秀くんを許してあげます」
「天子ありが――」
「と言ってあげたいですけど要求があります!」
言葉をさえぎって天子が話す。
要求ってなんだ?ま、まさか!?
「天子本当にすまない。お金だけは・・・」
「幸秀くんの中の私はどんなイメージですか・・・」
「違いますよ」と言って天子は窓際に移動する。
太陽の光が反射し本当に幻想的だ。
≪まるで―――天使だ≫
「私は温かい心を扱う天使でしたので冷たいのは嫌いです」
「そんな話があったな・・・」
確かにそんな話だった・・・
「僕が心の温かさを分けて天子の今があるんだったか?」
「そうですね―――なので」
「なので?」
また手袋でも欲しいのだろうか?
そんな風に考えていると天子はこちらを振り向き叫ぶ。
「冷たくした責任としてっ!!私を温めてくださいっ!!」
「・・・ん?」
温める?どういうことだろう。
心温まるエピソードでも考えればいいのだろうか?
天子はそんな考えをしている僕を見つめため息をつき、
そして「ふふっ」と笑ったと思うと勢いよく胸元に飛び込んでくる。
「しょうがないですね、こうです!!!ほら幸秀くんも!!」
「お、おい天子。これは流石に意味が違うんじゃ・・・」
いわゆる抱き着かれた形だが天子は僕にも腕を回せと要求してくる。
「違いませんよ~、うりゃうりゃ~」
正直恥ずかしい。
ナンパは普通にできる。
だが正直店のためでありお金のためだ。
しかも基本何かするという事はないし恥ずかしいと思ってない。
同級生である女の子からというのは胸がドキドキする。
それに見た目が―――
「幸秀さん心臓の音早くなってないです?」
「・・・気のせいだ」
悲しいかな嬉しく感じてしまう。
男子高校生の性が憎い・・・
「い、いつまでやるんだよ!!」
おそらく10秒程だが既に気恥ずかしさなどで心臓が痛い。
「冷たくなった心が温かくなるまでですので・・・そうですね」
「どれくらいだ?」
「さんじゅう・・」
天子≪こいつ≫の事なのでここは釘を刺さないといつまでも抱き着かれそうだ。
「三十秒か?三十分とか言うなよ」
「・・・三十年分?」
「いや長いわっ!!!」
「何言ってるんですか!神様の部屋ならすぐですよ!」
「それ精神と時の部屋のことなのか!?」
同じ物があったのだろうか?凄いな天界・・・
「それで考えれば一日一年ですから・・・えっと」
「約一か月だ!人間界でも単位間違えてるだろ!」
はあ、と幸秀が息を吐くと天子は腕の力を緩めていく。
「ふふっ、そのツッコミに免じて許しましょう!」
実際に時間一分ほどだろうか?
天子から感じていた柔らかさと温かみが離れていく。
少し残念に思う自分がいることに驚いた。
それに気恥ずかしさで天子の顔が見れない。
「はあ、やっと終わりか」
「幸秀さん・・・・・・顔赤いですよ」
「・・・」
そんな事気づいても言わないでほしかった・・・
「やはりこの見た目だからこその反応っぽいですよね?つまり性癖は白ギャ――――」
「うわああああああああああああ!!分かったから!!照れましたよ!?それは認めるから!」
≪やっぱりこいつはダメだ!!≫
そんなやり取りに満足した天子と部屋から出る。
腕を引っ張られているので仕方なく並んで教室まで歩く。
その天子の横顔はほんの少し赤くなっている気がした。
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授業が終わりチャイムが鳴る直前。
時刻は丁度昼休憩に差し掛かり多くの亡者達が準備を整える。
この学校ではここからは自らの願いをかなえるために戦いが始まる。
その名は 聖飯戦争 。
購買・食堂は普段から空いているが昼は特別だ。
食堂のおばちゃん(ミチコ58歳)による特別なランチセット
【通称:ミチコスペシャル58】
これは値段良し、味良し、愛情良しと三拍子揃った一品であだ。
特にその量の多さが愛情として表れているのだ。
学生からすると競い合ってまで食べたいが、ただ個数限定のためかならず競争になるのだ。
そんな昼だが基本興味がない者もいる。
弁当を持参する者、
購買でパンを買う者、
そもそも普通のメニューで満足してるものだ。
かくいう幸秀はというと弁当組に入る。
周りからは愛妻弁当などと揶揄される幼馴染の弁当を貰って食べるのがお決まりなのだ。
この弁当は玲奈自身から提案してくれた物だ。
玲奈はギャル仲間と食べることも多くそこでいじられたらしい。
色々ごめんねと玲奈は言うがお金がない幸秀には嬉しいのだ。
それに玲奈は僕の好物を多く入れてくれるので食堂に行く意味が感じられない。
その弁当を学食のテーブルで和弘・光莉の3人。
又は玲奈の4人で揃って食べるのがいつもの事だ。
しかしその日だけは違った。
「幸秀くん!!頼みましたよ!!絶対限定ランチですよ!!」
「ヒデ・・・骨は拾ってやるからな・・・」
「幸秀!いいか!?アタシの友人が情けなく敗北するなど許されたことではない!」
「ゆ、ユキ・・ホントーにやるの?」
そんな個性溢れる4人は僕を見守っている。
かくいう僕は教室のドアというスタートラインにいるのだ。
――丁度先程の出来事だ。
幸秀が弁当をいつも通り玲奈から受け取った時だ。
「そういえば天子ちゃんはお昼どうするの?」
そう玲奈が訪ねたのがきっかけだ。
色々と話したと所、天子が言ったのは
「私!!そのミチコスペシャルがいいです!!」
と言い出したのだ。
今日の学校で冷たくした事のお詫びも兼ねるぞということで僕が行くこととなった。
そして―――
「ヒデ!!後30秒で鳴る!準備しておけ!」
「和弘ありがとう。大丈夫だ」
「おい!!お前ら入江を止めろ!!俺が天子ちゃんに奢って一緒に食うんだ!!」
「一人で抜け駆けする気じゃねーか!!ざけんなっ!!」
「そうよふざけないで!!私たちが天子ちゃんと限定ランチを食べる!!!」
「ふっ、悪いけど例え"あの"入江君でも容赦はしないわ」
話を聞きつけたクラスメイトによって
「ミチコスペシャル食べたいの天子ちゃん!俺が買ってやるぜ!」
「ふざけないで私が奢って一緒に食べるのよ!!!」
奢ったら天子とランチが同行できるという条件に捻じ曲がり、
限定ランチ【天子とミチコスペシャル58】争奪戦に発展したのだ。
正直奢ってくれるなら誰でもいいかとも思った。
しかし天子は悪い顔で
「これはお詫びなので死ぬ気で幸秀くんは頑張ってください」
という話になった訳だ。やはり悪魔か――
「5、4、3、2―――」
ヒデのカウントダウンが始まり皆緊張感に溢れ気合を入れている。
―――が今回は残念だったな。
「1―――――0!!!」
昼の合図をするチャイムが学校全体に鳴り響くのと同時に――
「「「「!!!」」」」
一斉に走り出す!!
他のクラスからも一斉だ。
食堂は別校舎だまともにいけばまず渋滞コースだ。
残念ながらこれではクラスメイトがミチコスペシャルを買えるかやはり怪しい。
しかし―――
「い、入江早すぎないか!!!どこからあんな力が!!」
「天子の胃袋考えたら限定ランチしかないだろうがあああああああああああああああああ!!!」
朝の天子をみれば普通のセットでは満足できまい。
例えそれ以外なら天子は僕に奢らせるつもりだろう。そんな悪魔の目だった。
つまり金がかかる。おそらく3食分は絶対にかかる。
――そうこれは幸秀の金が関わっている。
≪僕は金が絡むなら全身輝く配管工よろしく負ける気がしない!!≫
「くっ、不味いわね!!やはりあの"金色の亡者"が現れてしまった。剛田君たち!!連絡通りラグビー部の活躍を見せてちょうだい!!」
「剛田ああああ頼んだぞ!」
「おう、任せろおおおおお」
≪なに!?別のクラスのラグビー部だと?小賢しい真似をする≫
「僕をやってもお前らが手に入れれるとは限らないぞ!!!」
「うるさあああいイチャイチャしやがって羨ましいんじゃボケがああああ」
「ふっ、玲奈ちゃんがありながら・・・死ぬのよ入江くん」
完全に私怨だ。しかしそれなら通らせてもらおう。
誰もが通る階段前で待ち伏せしていたのだろう、だが無意味だ!!
「ここで会ったが100年目!!入江、今日こそ年貢の納め時だあああああ!!」
「ハハハハ!甘いな!」
横一列に並ぶ形はいわゆるスクラムだ。耐久性はある。だが――
「だにぃ!?俺を踏み台にしたぁだとぉ!?」
「そんな密度はバーゲンセールのおば様方に比べればまだまだ素人だな!!」
ラグビー部のスクラムなど壁ですらない。
これでは都知事から密認定もされないだろう。
踏み台もある上に上が空いているではないか。おば様方は空も飛ぶぞ。
そのまま勢いよく手すりを掴んで降りる。
渋滞もある。階段は使わない方がいいのだ。
手すり横のスペースを落ちるのが効率的だ。
「ちきしょおおおおおバスケ部追いかけろおお!!!」
「任せろ剛田、インターハイ校バスケ部の力を見せてやるさ!」
「!!」
次はバスケ部か!?速い!!階段を飛び降りてくる。忍者かこいつら!?
別校舎行きの昇降口から出て最後の直線だ。
丁度外に同時にでたタイミングでバスケ部の二人が行く手を阻む。
「ごめん入江君・・・でも――」
「俺はつえーやつと戦いてぇんだ!!」
「くっ!?こいつら!!ディフェンスが上手い!!」
よく見たらこいつらは両隣のバスケコンビだ。
なにやら奇跡のなんとからしい。
「当たり前だ!!俺たち 白子と水神は光と影!!ただの突進には負けねぇよ!!」
こいつらは強い。認めよう。
―――だが甘い!!こんなこともあろうかと準備は万端だ!!!
「テツコ!こい!」
「―――ワンっ!!」
紹介しよう。学校に住み着いた テツコ(雌犬) だ。
玲奈が手なづけたこいつは呼べば来てくれる。
そして水神、僕は知っている。お前の弱点を!
「犬っ!?こっち来るな!!!」
「み、水神君!?ダメだ!!」
「残念だ、これで終わりだ」
「なっ、入江君」
水神が突然現れた 犬に気を取られている。
それにこれはバスケではない。
二人で一人なら今は戦力は半分以下だ。勝てる。
「今の僕に勝てるのは僕だけだ」
「っ!」
勝った――第一部完―――
ではまだない。食堂にいるミチコさんまで見えている。
驚いくことにおばちゃんが一人の生徒と話しているのが見える。
しかし流石に一人くらいなら売り切れることはないだろう。
これで我が家のエンゲル係数は一時的な解決に―――
「おっ、幸秀こっちだ。ずいぶん遅かったな」
「なっ!ひ、光莉!?」
何故光莉がいる。見送る時、確かにいたはずだ。
それに光莉はスタートする準備や素振りなど全くなかったのを覚えている。
「うむ。天子の転入祝いだ!それにアタシも少し冷たくしたかもしれない」
光莉が「幸秀も金がないのだろ?」と言うがその通りではある。
「なのでアタシがお詫びに奢ってやろうと思ってな」
奢ってくれるのは正直言って嬉しい。
大食いである天子の戦闘力は未知数でもあるのだ。
お金は申し訳ないがまた今度光莉の下で働いて返すしかない。
「ここまでどうやって来たんだ?」
そして落ち着いたので疑問を口にする。
正直僕より早いものなどいないと思っていた。
「皆が飛び出た後、天子がアタシの謝罪も受けると言ったのでな」
「あ、ああそれで?」
「アタシは窓から飛び降りて来たんだ。それが早いからな!」
「なん、だと・・・」
うちの教室は2年7組で3階にある。
そこから飛び降りるとはどこぞの 格闘家≪グラップラー≫ だろうか?
≪――いや違うっ―――≫
そういえば風の噂で聞いたことがある。
天下原親子は娘、母親ともにカリスマ及び何かの才能があると・・・
これが噂に聞く天下原光莉の――――
「皇 帝 の 身 体 か!!」
そして僕は光莉から飛び蹴りを貰い負けた。
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「んんんんんんんんやっぱり人間界はおいしーです!!」
「「「「・・・」」」」
「あれ?みなさんどうしたんですか?」
先についた幸秀と光莉だったがすぐに他の生徒も集まってきた。
あの後僕らはミチコさんに注文して席を取り3人を待っていたのだ。
和弘と玲奈と現在注目の的のもう一人はその後すぐに駆け付け、
食べ始めたのだが―――
しかし天子以外は手が止まっている。
それを見た僕に関しては顔が引き吊っているだろう。
それもそうだろう。
僕は二度目なので知っていた。
しかし見た目が可憐な少女である天子の全く可憐ではない食欲を見れば誰だってこんな反応になる。
「て、天子さんって滅茶苦茶食べるんですねー」
「田中さんどうしたんですか?さっきから少しよそよそしいです」
この様な感じであの田中ですら一歩引いている程だ。
凄まじさは分かっていただけるだろうか。
「い、いや!!俺は食べる女の子好きだよ!?あー!!!そんな女の子と結婚したいなあ!!」
「頑張ってください。田中さんならきっといい人が見つかりますよ」
「・・・」
復活したのに残念だったな|和弘≪変態≫。
しかし天子と結婚したなら家計が緊急事態だ。
悪いことは言わない。やめとけ
「ゆ、ユキ。アンタこれからどうするの?」
玲奈のこれからという一言には間違いなく出費的意味合いを含んでいるのだろう。
「一応考えがある。ソーマ先生にも話した内容だ。光莉いいか?」
「な、なんだ藪から棒に。アタシはこういうお金は絶対出さないからな!!労働なくして対価がもらえると思うな」
何やら勘違いしてそうだがちゃんと労働はするつもりだ。
「いや違うぞ・・・僕はどんなイメージなんだ・・・」
「うむ。お前の将来の夢が養ってくれる女と番いになるという時点で語らずとも分かるだろ」
「ユキのバカ!!またそんな事言ってたの!?」
光莉め。玲奈がいる前でいらぬこと。
「い、いや違う。今回は天子に関しての話を聞いて欲しい!」
「私―――ですか?」
食べるのに夢中で話聞いてなかったのだろう。
天子は名前を呼ばれてこちらに反応する。
僕は「ああ、」と小さく答え、
これから天子をどうするかという考えを話した。
「天子。僕はお前にその体で支払ってもらおうと思う」
「「「「・・・」」」」
そして食堂中にいた生徒たちによって
悲鳴と怒鳴り声と歓声で包まれ
ミチコさんに怒られた。
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LIME レオン
10月4日
10時5分【おいレオン。
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エピソード6 青春は出費と共に
続く
どうもしめ鯖ルイです。
今回少し風変りかもしれません。如何でしたか?
パロすぎて頭バグりませんでしたか?大丈夫?
ならよかったです。
主な天子とのコミュニケーションは幸秀とこれから仲良くなる前触れに見えます。
お互いにはそんなに恋愛対象ではように見えますね。
いるかわかりませんが和弘をもっと出して欲しいと思う方にはすみません。
いつか出ます。
それでは皆様ごきげんよう