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青春(てんし)はエンゲル係数と共に。  作者: しめ鯖ルイ
第一天:青春(てんし)は突然やってくる。
4/10

青春は学校と共に

続きです。

エピソード4  〰〰〰青春は学校と共に〰〰〰



「わたしは 入江いりえ 天子てんし といいます」


突然の転校生。名乗った少女は間違いなく昨日の晩。

そして今日の朝に死ぬほど悩まされた天子本人。


和弘かずひろ達と話して全部本当は頭がおかしくなった僕の妄想なのかもしれないとも思ったがその考えこそ全て僕に都合のいい現実逃避だったのであろう。


≪何が目的なんだ?どうやってここまで来た?・・・≫


僕は確かに天子が家に住むことは認めた。


知られたくない、いや知るはずのない情報を持つ天子は神の使いか何かは分からないが 入江(家)の人間の可能性が捨てきれなかったからだ。


「うわーすごく可愛い!」

「彼女に――いやまずはLIME交換してぇ」

「お前じゃ相手にされないだろ」

「マジ!?ウチらのクラスラッキーじゃね!?」

「アイエエエエ!!僕ちんのテンシ!?ナンデ!?」


など様々なクラスメイトが天子の登場に歓喜しているのが聞こえる。


変な忍者が紛れてはいるがクラス中の生徒が歓声を上げる中、

脂汗を滲ませる幸秀と不思議そうに見てくる友人が二人。


「なあヒデ?お前兄妹か何かいたか?」

「そうだな。アタシも気になった。入江って言ってた気がするぞ?」

「いやシラナイヨ?マッタク全然」

「「???」」


不思議そうに見つめられても困る。不思議なのは僕の方だ。


二人の友人である和弘かずひろ光莉ひかりの問いかけにぎこちなく答えるが本当に知らないのだ。


天子が【入江】などと名乗った理由も分からない。

そこはアイツにも後でみっちり聞く必要があるだろう


≪しかしこの学校にどうやって入った・・・≫


幸秀は受験の成績と今までの行いで授業料などを免除して貰っている。


―――しかし本来それは受験での話だ。


転校生ともなると特別な才能でもない限りは転入は難しいだろう。

それに身元が不明ではないだろうか?


実は天使の力とやらで学校側を洗脳でもしたんじゃないか?

そう思っていると天下原あまがはら理事長が話し始めた。


「ふむ。皆喜んでくれていそうでよかった。彼女は諸事情により最近外国から引っ越してきたらしい」

「理事長センセー少しだけいいですかー!天子ちゃんに質問でーす。天子ちゃんは外国人と日本のハーフとかですか?」

「はい、そんなところですよ」

「じゃあ次はオレ!!!入江さん!!彼氏はいますか!!!!」

「いいえ、今のところ残念ながら」


おおおおと男子生徒が賑わうのは分かる。

あのビジュアルだ。天子を狙いたい物は大勢出るだろう。


「うむ、もう質問はいいか?この調子なら天子君も日本でやっていけそうだな」


一呼吸置いた後 「では、話を続けるぞ」 と理事長の言葉が続く。


「彼女は今朝、訪ねて来て門前払いされる所だったが丁度私が居合わせてな。普通の人間ではない才能の匂いがしたんで話を聞き簡単なテストをさせて頂いた」


心の底から喜ばしいことだったと語る理事長の目には心の底から才能を愛する彼女が垣間見える。


「彼女は素晴らしい芸術の才能がある!!それは私のこの目ではっきり見させて頂いた!」


芸術の才能なんてあったのか天子アイツ

そんな話は聞いていなかったが実際に理事長自身のテストをこなしたなら相当のものなんだろう。


「よって本日より仮入学という事で彼女の希望もありこのクラスで過ごしてもらうことにした」

「はいっ。皆さんどうぞよろしくお願いします!!」


天子の自己紹介に生徒から拍手が鳴り響く。


それに合わせて言う事は言ったと理事長は教室から去っていった・・・




\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\




早朝の喫茶店は忙しがしい。


その店では母親と娘によってモーニングセットの準備が行われる。


パパは夜遅くまで仕事をしていたので寝ている。

かくゆう娘も夕べはあまり寝れず朝の仕事終わりに寝てしまった。


理由は完璧に彼の事だとわかっているし、

仕事の負担もあるので少しの二度寝を許してあげたのだけど・・・


「流石に二限目には行ってほしいわ~」


玲奈の母―――椰子内やしない あずさ は


目の前で寝ている娘を起こすべきかと悩む。


娘は言葉と見た目は今風になってしまったが母親として根の真面目さが変わらないことを知っている。こうなった理由も大変可愛らしいものだ。


天下原さんの学校では一限目を休んでも申請さえすれば補習で何とかしてくれるらしいけど、

二限目以降は特別な理由がない限り普通のサボりになってしまう。娘はそれは望まないだろう。


「玲奈~?もう少しで二限目始まっちゃうよ~?」

「…」


すうすうと静かに寝息をたてている娘の肩を揺らしてみるが反応しない。

仕方なく力を少しずつ強めていく。


「う~、うーん」

「おっ、起きるか?」

「むにゃむにゃ、ユキその子小学生だよ~ナンパダメだってぇzzz」


・・・ママ、我が娘の幸秀くんに抱くイメージが知りたいわ。


「ほら玲奈~起きないとママが制服着て学校行っちゃうぞ☆」

「・・・キッつ」

「は?☆」


今でもぴちぴちの38歳だぞ?

この小娘め。絶対起こす。


多少、怒りの感情が表に出てしまったがいい方法がある。

後で怒られてもママ知らないもん。


「玲奈!幸秀くんが来たわよっ!!戦闘態勢よ!!」


「ええ!?ちょ、いまはむりだから!!すっぴんだからちょっと待ってて!ママ悪いけどカフェで待たせといて!!」


慌てて目を覚ます。ああなんて可哀そうな娘なの。そして―――


そのまま起き、洗面所へ駆け込む哀れな娘を見送り


そっと微笑む梓ママでした☆




                           ・




理事長が去った後、心底だるそうな表情でソーマ先生が教壇に上がる。


「え~と、とりあえず席はどうすっかな・・・」


新しく配置された机と椅子などない。

40個ある席のうち空いている席は確かにある。


しかしこれらは玲奈を除き部活動などでこれない生徒の席だ。


天子のために用意された物ではない。勿論僕の両隣もだ。


「私の横に椅子置きなよ」「俺のココ空いてますよ」


など様々な声が飛び交うが別にそれなら問題はない。


僕としてはとりあえず離れてさえいれば面倒がなくていい。


「・・・」


ソーマ先生はそんな僕を見つめて嫌そうな顔をしている。

おそらくあの様子はそんな僕の事を色々とわかっているのだろう。


「先生、さっきのお話通りでいいですね?」

「・・・ああ」

「ありがとうございます♪」


かなり嫌な予感がする。

傍からみれば天使の微笑みだが僕からすれば悪魔の笑顔だ。


幸秀が願っていたささやかな希望はこちらへ向かってくる天子によって叶わなかった。


「ああ入江 天子さんは入江の遠い親戚らしい。本人の希望で幸秀の隣で授業は受けてもらう。あと名前がややこしいので"天子"と呼んでくれとのことだ」

「ソーマ先生…」


「すまんな幸秀」 と呟きながらこちらに手を合わせてくるソーマ先生。

天子が目の前に来ると一緒に話を聞いていた和弘と光莉までソワソワしだした。


「うっわ!マジで!?近くで見ると超カワイイじゃん、ヒデお前も知ってるなら言ってくれたらよかったのにぃ~」

「不味いな。よりによって玲奈がいない日に・・しかし親戚ならアタシの心配は杞憂か?」

「・・・」


二人はそれぞれの感想があるらしいが僕は一つだ。

そう黙っていると心情を見透かされたのか天子から話しかけてくる。


「田中さん天下原さんこれからよろしくお願いします。」

「ええ!天子ちゃん俺の名前何で知ってるの!?」

「幸秀さんがよく話してますよ~。僕の愛する友人だって」


おい嘘をいえ。そんな話はなかったぞ。

そう思ったら案の定、変態がうざい。


「おい///ヒデこんにゃろ~、そんな風に思ってたのかよ~」

「チッ・・・とりあえず光莉。ヤレ」

「あいあいさー!!」

「うぐ、ごがああああああああああああああああああ」


強烈なアッパーカットで邪魔な和弘は戦闘不能になってもらった。


幸秀の席は両隣とも空いているため少し迷った素振りがあった天子だが、

左側の窓際に座ることにしたらしくそこに着席する際に―――


「幸秀さんこれでずっと一緒にいれますね♪」


――そう耳元で囁かれ心臓が飛ぼ出るかと思った。なんてことをするんだ。


その後はソーマ先生の注意により暴れていた友人二人が席に戻りそのまま授業が始まった・・・






一限目終了の合図であるチャイムが鳴りました。

すると幸秀さんは即座にソーマ先生のもとに行ってしまいました・・・


折角のサプライズですから本当はもっと喜んでほしかったのです。

でもあれで幸秀さんも男子高校生ですから照れているんでしょうか?


私自身追いかけたかったのですが転校生のお決まりである質問攻めが来てしまい席から立つことができませんでした…


「天子さん私色々聞きたいんだけどいい!?」

「俺も話がし~た~いぃ!」

「アンタは黙ってな!!先に女の子同士で話すから!」


皆さん私と話をするために来てれました。

その中での表情には悪い印象はないみたいでちょっぴり安心です。


「あのっ、私が話せることでしたらなんでも聞いてくださって大丈夫ですので少し待っててくださいね?」

「天使すぎる。マジかよ惚れたわ」

「まあこいつはほっといてさ、天子さんって―――」


そのまま女の子達には


「どこの国からきたの?」 

「名前は日本名なんだね~」 

「部活ってやっぱり芸術部なの~?」


など色々聞かれました。

そうしてるうちに途中でキラキラした目に女の子達が変わりました。


「じゃあさ!!入江くんとどんな関係なの!?」

「あ、それワタシも聞きた~い!」


来ました。絶対来るとは思ってましたが用意はあります。


「えっと・・・親戚と言っても血はつながってないんです。幸秀くんと入江姓が同じなのは日本に来るときに都合がいいからって理由で名乗っているだけなんですよ」

「へ~そうなんだ。まあそれは置いといてさ!ワタシ的にはもっと詳しいとこまで聞きたい感じ!!」

「く、詳しいところですか?」

「そそ!天子ちゃんさっきまで入江君のこと見てたでしょ?でで、どうなんよ~?」


困りました・・・おそらく期待していることは何もありません。

別に付き合っているわけじゃないですし今後そうなる事もなさそうです。


しかし何と答えましょうか?


「別になんともないですよ?幸秀くんは私の恩人なだけです」

「恩人?入江君が天子ちゃんの?」

「はいっ!!私が今こうしてここにいられるのも幸秀くんのおかげなんです!!!」

「うおっと、天子ちゃんすんごい語りだしたねぇ~!じゃあもっと語っちゃいなよ!YOU」


思わず前のめりになってしまった。

でも天使の私に存在意義をくれた幸秀くんへの感謝は100光年語れます。


「私はある事情で消えそう・・・死にそうになってたんです」

「ええええ!?どんな事情!?」


少し突拍子過ぎました。

簡潔に結論を言った方がいいかもしれないですね。


「そんな私を助けてくれて生きる力をくれたのが幸秀くんなんです!!」

「ははーん、じゃあ天子ちゃんにとってその幸秀くんは白馬の王子ってわけだ!?」

「アンタ言葉のセンスくさすぎ(笑)」

「う、うるっさい。乙女はいつだって自分だけの王子を求めてるものよっ!」


女の子たちが盛り上がっていますが白馬の王子なんでしょうか?

7畳アパートの部屋の王子という感じですかね?


「王子かはわからないですけど困ってる私と話し合い・・・して一緒に暮らすことを許してくれた上にご飯まで食べさせてくれた私にとってご主人様という感じでしょうか?」

「「「え゛っ?」」」


間違ってないですよね?

話し合い・・・しましたし仲良くしたいとも言ってくれました。

私が元天使として考えるなら王子様よりご主人様ですよね?


「ちょっとまったああああああああああ!天子ちゃん今なんて言った!?俺の聞き間違いだろうけどもう一回頼む!」

「あ、あんた邪魔!!どけっ!!天子ちゃん"一緒に暮らしてる"って言った!?そこ詳しく!」

「え、ええっ!?」


今度はみんなが前のめりに話し始めました。


変に誤解をさせては幸秀くんに"また"怒られます。


こういう時は一旦話さずに時間を置いた方がいいと聞きます。

幸秀くんとの相談してからの方が良さそうです・・・

これの先は言わずにいましょう!!


「すみません。これ以上は幸秀くんに聞いてみないことにはなんとも・・・」

「ええ!?ちょっと!入江君どこっ!?」

「そういや俺さっきソーマ先生と出ていくの見かけたわ!!」

「急いで!みんなで探すのよ!!!間に合わなくなっても知らないわよっ!!」

「うおおおおおお、いりええええええええええ」

「・・・」


そう言うとみんな出て行ってしまいました。

あんなに叫びながら行ったら他のクラスの人が驚くのではないでしょうか?


「―――――おいっ―――」




\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\




転入生―――天子の周りには人が多すぎる。


体格の小さいアタシでは席は見えず近づけない。


でも話し声は聞こえた上に幸秀との話をしていた。

それに名前の事もある。気になってしょうがなかった。


そんな時に蜘蛛の子を散らすよう男女揃い教室から出て行ってくれた。

何やら騒がしく出ていったがアタシに話すチャンスができた。


「さっきは自己紹介がまだだったな。アタシは天下原 光莉という、光莉でいい。これからよろしく頼む」


急な挨拶で変かもしれないが幸秀関連だ。

聞きたいこともあるので少し焦ってしまったかもしれない。


「はい、光莉さんよろしくお願いします」

「さっき幸秀について話していたが―――」

「あっ、そうです光莉さんについても聞きましたよ」


どんな話か聞きたいがグッと堪える。


「ああ、ありがとう。そうではなくてだな・・・」


なんと聞けばいいのだろう?同棲してるのか!?は直球だろうし・・・


「なんというか・・・住まいを共にしているとも聞こえたんだが」

「そうですね~う~ん・・・」

「すまない、内容的に話ずらかったか?」

「いえ・・・そうですね。幸秀くんの友達なら大丈夫でしょうか」


天子はしばらく迷っていたが光莉に話し始めた。


「はい、そうです。幸秀くんに了解をもらって一緒に暮らしてますね」

「・・っ!」

「あっ、これ他の人には幸秀くんがいいって言うまで秘密ですよ?」


天子は平然と言う。

だがそれを聞いたアタシの心は一瞬で内心穏やかでなくなる。


≪こんなの玲奈にどう話せばいいんだっ!!アタシでもなだめきれないぞ幸秀!!≫


とりあえずの話で今はまだいない少女の事を考えながら苦しくなった。

しかしまだ話を聞かなくてはいけないと思い苦くなった口の中で一度唾液を飲み込んで話す。


「・・・お前は幸秀の彼女なのか?それとも・・・家の人間か?」

「・・・」


さあどうなる。ここが重要だ。もし天子が彼女であるなら終わり。

家の人間なら・・・アタシが幸秀を守ってやらねばいけない。


緊張で汗が出る中で天子が光莉を見つめながら言葉を発する。


「いえ。実は幸秀くんの親戚というのは全くの嘘です。入江というのも一緒に暮らすならその方が都合がいいかなーと思って作っただけなんです」

「じゃあ家の人間とはかかわりはないんだな?」

「はい!光莉さんが心配していることは"何も"問題ありませんよ!」

「そうか・・・」


とりあえず一安心だ。この子の言葉には嘘はない。

なら入江の人間でも彼女でもないんだろう。


様々な人間を見てきた私はそこら辺の人間の嘘は簡単にわかる。

アタシに腹芸など意味はない。


「一応確認しときたいんだが・・・一緒に暮らしているんだよな?」

「そうですね~でも昨日からですよ?」

「そうか、まあ何だアタシが悪かったよ」

「大丈夫です。それににしても光莉さん。さっきと様子が違いすぎますっ!幸秀くんが見たら驚きますよ!」

「そ、そうか?」

「そうですよ。こんなカワイイのに勿体ないです」


そういいながらこちらに近づいてきたかと思うと手を伸ばしてくる。


「ぐへへ~可愛いですね~」

「な、なんだ!?なんだかキャラが違うぞ天子!?」


背の小さいアタシは天子の丁度胸辺りに抱きかかえられる形だ。


「で、でかい・・・うらやま―――じゃなくてだな!!」


教室には少ないとはいえまだ生徒は残っている。

それに例え同性であってもこの格好は恥ずかしいのだ。


「や、やめろっ!天子!く、苦しい!」

「ほ~ら光莉ちゃんはこんなにちっちゃくて可愛いんですから」

「ちゃん付けするな!!ちっちゃいって言うな!!」


本来であれば力は光莉の方があるだろう。

しかし態勢が態勢だ。0距離の今は抜け出せない。


「こんなに可愛かったら幸秀くんがギュってしたいって言ってたのも分かりますね~」

「ゆ、ゆきひでがそんなこと言ってたのか!?アタシの友人はどいつも変態かっ!!」

「その友人に私も入れてくれますか~?」

「わ、わかった!わかったから離せ!!天子む、胸が苦しい!!」


やっと解放してくれた天子の先程まで呼吸を止められた一部を見ながら息を整えていく。


「光莉ちゃん胸がくるしいんですか!?病院いきますか?」

「行くのはお前だ!!お前のむ、むねで息が苦しかったんだ!!」


いい小児科があるんですけど・・・

などと言う天子をぶっ飛ばしてやりたい気持ちになる。


しかしそれよりもさっき連絡を入れた玲奈が来る時間だ。

幸秀がいた方がいいかはわからないがどう説得するか相談しときたい。


≪なんでアタシがここまで悩まなければいかんのだ・・・≫

「はあ~」 と深いため息をつきながら光莉は穏便に済ませるため、幸秀を探しに行った。




「ええまじっ!?パパ早く!!飛ばして!!!!」

「無茶を言うなレーナ、俺は寝起きだぞ!」


昨日夜あまり眠れず朝二度寝してしまうポカをやらかした。

一限目はもう間に合わない。

しかし今そんなことは私にはどーでもいい。

とにかく光莉から届いたLIMEの内容だけが気になってしょうがない。


「ああああああ何でこんな日に遅刻しちゃうの!!!」

「それはお前が昨日ゆきひ―――」

「うっさい!!パパは前だけみといてっ!」


車で送ってもらっていることには感謝してる。

でも内心の焦りのせいでついキつくなってしまう。


「ほら着いたぞ」

「ありがとパパ――」


感謝を告げながら、人生でこここまで速く動いたことあったかというスピードで飛び出しパパの「ドア閉めてけ~」という声はスルーしていく。


申し訳ないが乙女の一大事なのだ。

校門を通り靴を履き替えて走る。

途中走るなという声があったが今回ばっかりは許してほしい。


「やっと着いた!!どーして2-7は遠いのっ!!」


3階にあるため階段も駆け上った。少し汗がにじみ服が乱れてしまった。

教室の前で息を吸い込み、髪を整えドアを開け――





「ヒカリ!!!!!間に合った!?ユキは!?」


玲奈は焦りと共に教室に入って行った―――








---



LIME       光莉


       10月4日

9時12分【おい玲奈!遅刻するのも結構だが幸秀に一大事実だ】


             9時15分【光莉ちゃんおっはー!今起きた!!

                 えっ何?またナンパでもしてるのー?】 既読


9時16分【阿呆!!そんなこと言ってる場合じゃないぞ!!】


               【またまた~ユキの事だしそんな

                 大したことじゃないでしょ~?】 既読


9時17分【もう、アタシはしらんからな】


                  【ごめっ!でもメイクしたらすぐいく!!】既読







9時50分【玲奈・・・幸秀が天子という美少女転校生と

     一緒に暮らしてると

     聞いたんだが何か知ってるか?】


                   【ええええええええええ!!

                    ちょっとヒカリちゃんそれくわしく!!!】 既読  


9時51分【おっ!ちょうど話せそうだから行ってくる!】


                  【ヒカリちゃん!!!!おーーーーい!!

                   私が悪かったから教えてええええええええ!!】 

              



      

                           9時59分【今どうなってる!?】 

                           10時00分【ひかりちゃあああん!】 

                            10時01分【今どうなってり!?】 

              

              10時3分【今ついたからっ!!ちょっと待ってて!!】    




---





エピソード4  青春はLIMEと共に        


                                  続く



ゆっくり過ぎたかもしれない。


これだけ終わって2限前・・・


細かいツッコミはなしとしまして


楽しんでいただけましたか??


4話まで読んでくださってありがとうございます。しめ鯖ルイです。


今回は光莉ちゃんに少しスポットしてもらえると嬉しいです。


のちのちいい感じなるかも?


それではみなさんごきげんよう




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