ギルド職員募集中!
フアンは何回か出入りして、それぞれの山を自分のデスクに置いた。
三つの山が、フアンのデスクに積み上がる。
「それは何の山?」
「最近ギルドメンバー向けに始まった託児所の認可の書類と、託児所を希望する子持ちの冒険者の申請書と、冒険者メンバーの傷病手当の申請の書類。」
「回復魔法があるのに傷病手当なんて必要あるの?」
「何やら最近の状態異常に変なのがあるらしくて。体力と精神力がずっと回復しないとか。」
「厄介だね。」
「そういう種類の状態異常を治療できる魔法院への紹介状を、彼らには送付してるんだ。それに伴ってパーティ離脱が必要になるから、手当も必要だろう? しかも、離脱者だけじゃなくて、パーティ自体にも次のチームメンバーを探すための広告を確保しないといけないから、そのための広告費用も、うちらのギルドが負担しているんだ。」
「よくそれでこのギルド、保つね。」
「ギルドのメンバーの中には、ほとんど冒険しないでのんびりしている人もいるんだけど、ものすごい稼ぎ屋もいて、一日にドラゴンを三千体狩る人もいるから、彼らがいるおかげでギルドの運営が保っている部分もあるんだよ。」
「そんな人、マジでいるの?」
「うん。なんでも、大樹ユグドラシルの階層を闇魔法スレイプニルで10階層ぶん丸ごと破壊したらしい。それで、階にいたドラゴンのアイテムを全部持っていったんだとか。」
ユグドラシルといえば、どれだけ攻略してもダンジョンが無限に成長するために無限に階層が続く無限ダンジョンで知られる有名な大樹様のダンジョンだった。
「ちょっと待って、それユグドラシルは壊れなかったのかい? あと、その階にいた人で巻き添えを食った人はいなかったのかい?」
「その階にいた冒険者を全員ワープさせてやっていたから、安全に行われたと聞いた。ただ、影響でユグドラシルの長さが縮んだらしい。」エティナが言った。
「いやあ、あのときはもう大変だったよ。前例のない魔法だから、専門の術師を派遣して、ユグドラシルにも補正予算を組まなくちゃいけなかった。もっともユグドラシルは再生力が強いから、三日で元どおりになっていたけどね。」フアン。
「今でも彼らが未開拓の階層のところでユグドラシルを破壊しまくっていると聞いている。そのパーティはエグゼドライブという名前で、ワープと回復をやるエリシオンという司祭と、魔法スレイプニルで階層を破壊する役割のグラハムという魔術師と、あとアイテムを拾う等他の雑用をやるエリアーデという盗賊で構成されていて、時々経験値を稼ぎたい見学者がそのパーティに加わるとか。その盗賊のエリアーデは、敏捷に物凄いスキルを振っていて、エリア全域のアイテムを瞬時に回収できる俊足を持っているらしい。」エティナ。
「それはすごいな。もはやそのレベルまで行くと、冒険者というよりはテロリストだな。」レーベン。
「そういうことがあってから、ユグドラシル以外では階層ごと破壊する魔法は制限されているんだよ。」フアン。
「でも違反したメンバーへの処罰を加えるのも、我々ギルドの仕事でしょ?」レーベン。
「まあ、そうだな。」フアン。
「やっぱり、人員増やしましょうよ。ギルド職員、メンバー募集中って。」レーベン。
「でも、下手にメンバーが増えても、給料が減るからそれはそれで困る。メンバーを増やすのに、広告宣伝費も必要。」エティナ。
「まあ、そりゃそうだけど。」レーベン。
「一応、看板のところに貼ってあるんだけどね。」フアンが言う。「ただ、託児所の案内とかに比べると、あんまり目立たないんだよなあ。」
そう、異世界の街の一角にあるこのギルドの入り口には、託児所の案内やら、お尋ね者の似顔絵やら、『ストップ! パーティ内暴力!』と書かれた貼り紙に混じって、ひっそりと「ギルド職員募集中!」という紙が貼ってあった。
もっとも、ほとんどの人にはそんな小さなお知らせ、知られてもいないのだが。
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