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39話 気配。。

39話 気配。。


バーン!

おら!

ドーン!

ふん!


七瀬と木村のキャッチボールは、何気に白熱してきた。

二人とも、遠投なのにすごい音を出している。


これには、隣のグラウンドで練習を始めた野球部の連中も驚いて見ていた。

「なんだ、あの二人、、」

ランニングをしている1年生も、その様子を走りながら見ていたが、木村の相手をしている生徒にも驚いていた。

「あの木村とキャッチボールしてる奴、、木村より凄い球投げとらん?」

「ああ、確かB組の奴だな、、」


そして、キャッチボールをしている七瀬と木村は、段々と投げる感覚が早くなり距離も詰めていく。

そして、塁間より短くなり、キャッチボールを終えた。


七瀬は、

「おい、お前、、スゲー肩だな、、」

と木村に話しかける。

木村は、照れ笑いをしているだけだった。


そこに、、

一人のジャージを来た女子が、ソフトボールのグラウンドに入って来た。

野球部のマネージャー、長谷川百合だ。

「こらこら!木村君!あなたグラウンド間違えてるわよ!野球部はこっち!」

と、野球部のグラウンドを指差して、木村に大きな声で話しかける。


七瀬は、

『ん?間違えてる?』

と思った。

百合に怒られた木村は、一言、、「あ、、」と言って、少し気まずい顔をした。

そして、野球部のグラウンドに帰る百合の後についていく。


そして、七瀬にも話しかけてきた。

「あなたも間違えてるんじゃない?ソフトボールは部員がいないから、試合に出れないわよ!」

と言って、木村と行ってしまった。


七瀬は、『長谷川 百合だ、、』

と思った。


隣のクラスの長谷川 百合は、男子から注目されていた。

何しろ、入学式から騒がれていたからだ。

なぜか、、

それは、百合が超美人だったからだ。

色も白く、スタイルもいい。鼻立ちも綺麗で、目はパッチリしている。

まるで、どこかの女優さんみたいだ。

その、超美人な百合を見に、男子生徒も騒いでいたので七瀬も、自然と覚えていた。


『美人だけど、気が強そうだな、、野球部のマネージャーなんやな、、』

と思った。。


この時の、七瀬に話しかけた最初の言葉、、

『あなたも間違えてるんじゃない?、、』

のセリフを特に七瀬は気にも止めていなかった。


木村を連れて、野球部のグラウンドに戻る百合。

歩きながら、内心ドキドキしていた。

『七瀬君に話しかけちゃった、、』

グラウンドに戻ると、監督と2年生に木村を紹介する百合。


1年生の、平手が百合に話しかける。

「百合、なんか顔が赤いぞ、、」

百合は、笑ってごまかそうとしている。

「そんな訳ないじゃない!さ、早く次のメニューに行きなさいよ!」

平手は、「おーーこわ、、」

と言って、木村を連れてストレッチをしている仲間の所に戻った。


1年生の神谷は、そんな百合をじっと見ていた。

百合の違和感を感じ取っていた。


ポツーン、、


そう。まさにポツーンの単語がぴったり合う程の一人ぼっちになってしまった七瀬。


それでも、七瀬は逆に都合が良かった。

『よく、プロの自主練習は一人でやってたな、、その方が気楽でいい、、』

と言って、一人グラウンド内にある倉庫に入る。

色々見ると、練習道具は揃っている。

『へー、、部員はいないのにちゃんと道具は揃っているな、、あの丸井ってのが、立ち上げで頑張ったんかな、、』

七瀬はそう呟き、トスマシーンを見つけた。

『これで、トスでもやってよか、、』

そう言って、一人でトスマシーンのセッティングをして、網のネットに向かって一人打ち出していた。


カコン、カコン、、

軽く打つだけのトスバッティング、、

『なんだか、つまらんな、、』

と思いながら、黙々と打っていた。


そして、打つのに飽きた七瀬は、隣のグラウンドの野球部の練習をボーと見ていた。


バッティング練習をしている。

が、大して凄い打球を打っている訳ではない。

『まあ、田舎の高校生だからな、、』

と、思いながら見ていた。

『1年生は、球拾い、、か、、』

そこに、背の高い選手が打席に入る。

守っている2年生は、後ろに下がる。

カキーーン!

打球は、鋭い打球で外野の後ろまで飛んでいく。

カキーーン!

今度は、外野の奥にあるネットにボールを突き刺す。

『お、、一人ぐらいまともなのがおるな、、』

この背の高い選手は、2年生のエースで4番 的場だった。


ボーと見ている七瀬。

そこに丸井が帰ってきた。

「ごめん、ごめん、あれ?もう一人は?」

座っていた七瀬は、立ち上がって答える。

「なんか、野球部と間違えたらしいですよ」

「あーーそっか、、じゃあ君と僕だけか、、えっと、七瀬君だっけ、、じゃあ、当分はとりあえず、適当に自主練習でいいかな、、」

「え、、まあ、はい、丸井、、先輩は、練習どうするんですか?これから、、」

「僕は、実は生徒会やってて、、そっちが忙しいから部活はあんまり顔出せないんだよね、、」

「は??」

耳を疑う七瀬、、

丸井は悪びれることなく話す。

「まあ、正直、部員がいないからお話しにならないからさ、このグラウンドも野球部が使わせろ、とか言うし、、だから、七瀬君も他に移ってもいいし、練習来なくてもいいし、自由でいいよ。」

七瀬は、思った。

『自由、、、それはそれでいい響きだが、、』

そしてこう答える。

「じゃあ、一人で自主練してます。正直に言いますけど、ソフトボールがやりたい訳ではなく、体を動かしたかっただけなので、、」

と、丸井に正直に話した。


「じゃあ、野球部には言っておくよ!休む日があったら野球部に貸すからさ。休む日は放課後までには教えてくれればいいからさ。」

と話し、

「じゃあ今日は解散。自由にしていいよ。」

と言って、去ってしまった。

ここで、七瀬は疑問に思う。

『何故に、ソフトボール部なんてあるんだろう。。』

仕方がなく、適当に体を動かして家に帰った。


七瀬は、爺ちゃん、婆ちゃんの家に下宿していた。

とても、気さくなこの二人は、孫である七瀬が近くの高校

に進学するからお世話になると聞いた時には喜んだ。


野球をやらない、と孫の七瀬から聞いた時も、特に理由は聞かなかった。大らかな夫婦だった。

そんな、爺ちゃん、婆ちゃんが七瀬は大好きであった。


前の世界、、

プロの冬の自主練習、正月を迎える時は、この家に毎年お世話になっていた。


4月も半ばを過ぎた。

七瀬は、誰もいるはずもないソフトボールのグラウンドに毎日顔を出していた。

正直、野球部の連中には悪いと思っていたが、17時を過ぎたら、ソフトボールのグラウンドを使ってもいい、、ということにしていた。

そして、時折野球部の練習をボーと見ている。


『1時間もあれば、体は動かせれるからな、、』

そう思って、野球部にグラウンドを解放していた。


この日も、17時を過ぎると、野球部の連中がグラウンドを使っていた。

気分転換に、外でランニングをしていた七瀬は、ランニングから帰ると遠巻きにソフトボールのグラウンドを見る。

『もう17時過ぎか、、ちょっと遠くまで行ってたからな、、』

そう思った七瀬は、野球部のグラウンド横を通りすぎる。

3塁側には、少し小さめの観客席がある。

『少し見学していくか、、』

と思い、野球部のグラウンドが斜め上から見渡せれる、その3塁側の観客席に座った。


『中々、甲子園に行けるレベルではないな、、』

そう思いながら見ていた。

『ん?木村達1年がいないな、、ソフトのグラウンドか、、』

今、野球部のグラウンドで練習しているのは2年生だ。


ボーと野球部の練習を見ている七瀬。


、、、、、、


しばらくすると、、

後ろの席に、気配を感じた。

そして、、

「君は何故に野球をやらない?」

と、女子の声で話しかけてきた。


びっくりして振り向くと、長谷川百合がいた。

百合は話し続ける。


「君、、東名中学野球部の七瀬 健君だよね?」


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