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死んでしまう系SNS男子の恋(600文字)

作者: かげる

 夢ならどれだけよかったか。ぼくは彼女に恋をしてしまった。死にたい。ぼくは、明日ぐらいには死んでしまうような弱小生物だ。それが、なぜ恋なんて一過性の感情にうつつを抜かす余裕がでてくるのだろう。


 ぼくは死にたい。


 それでも彼女がこの世界のどこかで今も生きているのなら、その間だけでも生き延びてやろうか、なんて感情が芽生えては、ぼくの心を苦しめる。


 毎日、恋愛としての興味関心の起きにくいSNS上での細い繋がりでしかないという現実に失望したり、時には絶望的に落ち込む。


 もう死んでしまおうかなんて思う。


 ふと思い直し、まだ望みはあって、彼女だって、ぼくのことを少しは好いてくれるんじゃないだろうか、なんて淡い期待を予想するけれど。


 そんなわけがなくて。


 ぼくは、決してイケメンではないし、社交性が欠落している。こんな弱小生物、生まれたことが間違いなんじゃないかと思う気持ちが昔からあった。








 ある日、さすがに死なないとまずいだろう、と意を決した。天井に吊るしたロープの輪っかに首を掛けようとした矢先、スマホの画面の反応に気づいた。見ると、彼女のアカウントから『イイね』が表示されているのだ。







 あれがこの虫ケラ命を救った。浅はかにだけどわかっている。ぼくは、彼女に好意を抱いている単純明快な生き物なのだった。


 生きる希望を与えられて、仕方なしに生きている。好きな人が生きている明日くらいなら生きられそうだとぼんやり、ぼくが想った。

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