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若葉色  作者:
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若葉色


 山々が若葉色に順々に染まっていく様を一番心待ちにしていたのは、初夏を楽しみにしていた木の精たちでした。


 だって爽やかな涼やかなやわらかな黄緑色は、木の精たちにとっても、いちばん心がふわふわ浮き立つ時だからです。



 風が、ずっともっと爽やかな気がしてきます。木の幹からは、まだ芽吹いたばかりの葉たちが顔を出し、山々が若々しく活気づくのです。


 どこもかしこも、爽やかな生命力に満ちているような気がします。


 木の精たちは、うきうきした気持ちで、芽吹いたばかりの若葉に寄り添って、ふわふわとやわらかな笑い声をあげながら、そっと葉の隙間から下を見つめました。


 そこには、困ったように思案する小さな子がいました。



 むぅ。と、可愛らしいぷっくりした頬を思案顔で強張らせて、ひょっとしたら、もうすこしで、泣いてしまうかもしれないくらい、なにかを我慢しているように、木の精には、そう、見えてしまいました。


 木の精は、なんだか放っておけない気持ちになって、その子の傍に寄り添ってみました。


 その子は何にも気づきません。どうしてあげることも出来ないのですけれど、木の精は、その子のフードの中に飛び込んで遊んでみることにしました。よく解らないなりに、木の精が楽しければその子も楽しい気持ちになるかもしれないと思ったのでした。


 しばらく楽しく遊んでいたら、そのうち、その子は、眠くなってしまったようでした。木の精は、その子の耳上で、一緒に眠ることにしました。


 木の精の寝息は、まるで、木の葉のささやきです。風は、やわらかくその子を包み込み、やわらかな

ひだまりがその子を守るように包み込むようにふわりとそこだけ守られているようでした。


 その子はその日、夢を見ました。自分が、小さなやわらかな若葉のベッドに乗ってふわふわふわふわハンモックの上に横たわっているかのように漂っているのです。


 その子の周りには、やわらかな木の葉のささやきが響いていました。その子はその日、とてもリラックスして、やわらかな夢を深くむさぼりました。


 目を覚ました時、まだ、その子の耳上で木の精は眠っていたのですけれど、その子は全く気付かなくて、

それでも、どこかすっきりした顔で、その子はぐっと伸びをしました。


 その時、その子の耳上から木の精が寝ぼけたまま滑り落ちたことなど、夢にも知らないままで。


 木の精の様子を若葉が芽吹いたばかりの木々たちはさらさらとからかうように笑い、

 寝ぼけた木の精は赤い顔をして


 

 

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