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英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第一章
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初代様の記録〜その五〜

協力するにも、我等は何も知らぬ。

この地の事も敵の事も何一つ知らぬでは策の建てようよない。

近隣の地形などを示した図を見ながら、相手の布陣なども聞くが、やはり一つ処に集まっておるだけの様だ。

これで戦さと呼べるのであろうか。

余程これまで戦さとは無縁だったと言うところなのであろうな。


「して、先程の術とやらは我等も使えるのか?」

「【人に祝福を与えし妖精の術】ですか?

種類は違いますが、祝福さえ受けていれば、その祝福をもたらす妖精の【人に祝福を与えし妖精の術】を使う事が出来ます」

「……長いのう、妖術で良かろう」

我が言うと、先程術を放ってみせた男が息を飲む。

「長いとか短いとかの問題ではありません!

妖精の協力無くして我々には魔物に立ち向かうすべは無いのですよ!

不興を買ってしまうでは無いですか!」

「煩いのう、不興も何も此奴ら愉快そうに笑いながら舞っておるでは無いか」

我の周りを漂う小さき者を指すと、その男は驚いた顔をして詰め寄って来る。

「あ……貴方は妖精の姿が見えるとでも言うのですか⁉︎」

「見えるも何も、そなたにはこの羽を生やして飛んでおる男と女が見えぬのか?」

他の者共を見てみるが、どうやら我以外にはこの小さき者は光の塊にしか見えぬ様だ。

「王以外に見える者が居るとは……」

男の呟きに伴が口を挟む。

「上様は日の本を統べるべき方ですからね。

俗民の見えぬものを見るのも当然の事です」

何故か此奴が誇らしげな顔をする。

しかし話が進まぬでは無いか。

先程の事を思い起こしてみれば、小さき者の力を引き出すとの事であろう。

使える妖術は千差万別みたいだが、どうやって推し量るべきかと考えておると、周りを漂う赤き者が肩に乗り、こちらを見上げる。

言葉は通じずど、何やら想いが伝わって来るような気がする。

身体の奥底に熱い何かが感じられ、我は窓辺へ歩み寄り、右手を差し出し心のままに動いてみる。

「……火よ…」

右手を突き出し、身体の中の熱を撃ち放つ。

掌の上に現れた火の玉は、前方へと飛び出して行った。

ふむ、感覚はわかった。

なれば熱いものとは別に感じる弾ける様なこの感覚は…。

手を天空に翳し感覚のまま、感じる力を振るう。

いかずちよ」

天空より雷光と共に雷が空を割く。

面白いのう、なれば次は、

「闇よ」

指す方角が闇に包まれる。

「ほほぅ、これは面白い、全ては思うままか。

まだ別の力も感じるが、それが何かはわからぬの。

わからぬものはどうすれば良い?」

問いながら振り向くと、皆一様に顔色を無くしておる。

先程我に難癖をつけてきた男などは、蒼白になり震えておる。

「ほ……他にもですって?」

「ああ、後二つ程力を感じるのお」

我の言葉に更に酷く震えたかと思うと、今度は顔を真っ赤にして怒鳴りだした。

「なんなのですかこれは!

私は王と同じ二つもの祝福を受けた一番の術師ですよ!

それなのに何故こんな異世界の得体の知れぬ者が、この私より祝福を受けるのですか!

神が私を認めたから二つも祝福を貰ったのでしょう?

何故その私より……こんなふざけた話納得いきません!

私が一番なのです!

私が誰よりも優れていなければ可笑しいでしょう!

私が……私が……」

「…此奴何を言っておる?」

様子のおかしくなった男に言うと、男は更に赤くなり、声を張り上げる。

「この異界人が!

我に祝福を与えし妖精よ!我のプライドをコケにするこの男に裁きを!

ウインドアロー!」

目に見えぬ風の矢を放って来るが、身体の動くまま、術を放ってみる。

「時よ」

我が術を発すると、喚いておった男と共に、風の矢はその動きを止めた。

ふむ、不明な術の一つは時を操るものか。

我が納得しておると、意識を取り直した王が指示し、止まったままの男を部屋の外へと連れ出させた。

部屋の中はしんと静まり返っておる。

煩くなくなり良い事だ。

本日もお付き合い頂きありがとうございます。


14日からの連続更新は今日まで……なのですが、本編では無い初代様の話が続いていますので、このまま初代様の話が終わるまで連続更新とさせていただきます。


主人公どこ行った?状態が終わるまで、もう暫く初代様にお付き合い下さい。


ではまた明日……


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