オダ家の方々とご対面
城は5階建てで、こちらの世界で見たどの建物よりも高い建物だ。
こちらの世界の建築物は、高さより広さがあるので、王城でも3階建てで、横に広い。
土地の狭い日本だと、横より縦に伸びるのだろうな。
勿論堀で囲まれて居て、櫓もいくつか見える。
些細な違いはあるけど、日本の城だ。
でも、僕が心配して居たことは無く、中は畳敷きの和室半分、板の間半分で、板の間はテーブルや椅子、ベッドもある。
きっとダイニングもあるのだろう。
正座がちょっと…なこの世界の人の事も考えられてるみたいだ。
思わず
「良かったね、スイ」
と声をかけてしまった。
和室と洋室どちらが良いか聞かれたから、僕は和室にしたけどね。
やっぱり家の中では靴を脱ぎたいから。
正直スリッパも要らない。
自宅では家に帰ると、まず靴下を脱いで素足で生活してたから、この開放感が懐かしい。
逆に靴下を履いていると言えども、普段風呂と寝る時以外は靴を履いて生活しているスイなんかは、何だか居心地悪そうだ。
部屋にもスリッパのまま畳に上がってこようとしたから、僕がスイの部屋に出向くことにした。
この町でのスケジュール確認だけして、今日は部屋でゴロゴロさせてもらうことにした。
久々の畳、良いねぇ〜。
ベッドやソファーでゴロゴロするのとは違う、床でゴロゴロするこのなんとも言えない心地よさ。
座布団を枕に気づいたら眠ってしまっていた。
*****
うっかり寝てしまったので、オダ家の人達への挨拶は夕食時になった。
「町長相談役のオダ・アト・モトです」
「私の祖父です」
隣に座るモトさんの補足をするネイ。
白いものはチラホラと混じるけど、艶々の黒髪の、背筋の伸びた着物を着た50代くらいの見た目の男性だ。
ラトさんとそう変わらなく見える。
向かいに座っている男性とも同年代に見えるよなぁ。
「現町長のオダ・モト・ヤクです。
隣が妻のメニです」
「初めまして」
ヤクさんの隣に座っている女性はお子さんかと思った…小さいから。
もしかしてマキさんと同類?と思ったけど、よくよく見ると、ただ小さいだけで、顔は大人だ。
「父の義理の弟で、メニさんはドワーフ族です」
成る程。マキさんとは違うね。
僕が勘違いしてると気づいたかな。
僕はいつもの挨拶をした。
モトさんは最初の奥さんとの間にラトさんを、再婚した女性との間にヤクさんと、嫁に行ったアリさんの三人のお子さんがいて、アリさんは、夫婦で甘味処を城下町で営業しているそうだ。
ヤクさんとメニさんの間にはイルさんと、ユグさんと言う男の兄弟と、チコさんと言う女性の、こちらも三人のお子さんがいて、男性は鍛治師見習いとして、チコさんは細工師見習いとして、それぞれ家を出て独り立ちしているとの事で、今日は来ていない。
その4人には、町に行ったら挨拶をしよう。
「オワリは他の町や他国へ、この国独特の着物や小物を輸出して生計を立てています。
また金物も有名で、鍛治や、細工物も人気があります。
そしてもう一つの名物が、甘味です。
始祖様が甘味好きでいらしたそうで、トモ家の方々や、部下の方々に材料を探させるところから始めて、元の世界の甘味を持ち込んだそうです」
ああ、そう言えば甘いもの好きだったとか、何かで読んだ覚えがあるな。
僕も嫌いでは無いし、甘味と言うことは、こちらの世界で今まで食べた生クリーム系ではなくて、小豆系だろうから、ちょっと楽しみだ。
マモランドとは違って人間やハーフの人が多いみたいだし、あそこまで囲まれることは無いだろうから、ゆっくり回れるかな。
明日は城下町を回って、明後日はトモ家とオダ家の書を見せてもらう予定だ。
その後は……まぁその時になってと言う事で、ふんわりとした予定しかたてていない。
視察とかではなく、その家の雰囲気を感じ取るらのが一番の訪問だからね。
マモランドは予定外だったけど、今回はのんびりといけるだろう。
しかし……トラウマになっているのか、ついつい比べちゃうよな、マモランドと。




