表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第一章
78/150

もしかして僕ってぼんやりさん?

「うちの書は不評か〜、曾祖父さんに引いてたって伝えとくわ」

「最初の一冊だけで充分だよ」

僕達のやりとりに、中身を見ていないスイが、あまりよろしくない内容だと察して、冷たい視線をニトに送る。

「家系の恥になるような書は封印させた方がいいでしょう」

「いや〜、曾祖父さん二冊目からの方がノリノリだからなぁ。

それならこっちはどうだ?」

ワゴンの上に残っていた、他と違う一冊を手渡された。


【異世界の考察】


表紙にそう書かれた古い大学ノート。

うん、日本の良くある大学ノートだ。

今までの書はこちらの世界で作られたであろう、目の荒い紙…わら半紙に近いかな?にペンで書かれていたものだけど、これはどう見ても普通のノートにボールペンで書かれているよな。

「これ、曾祖父さんの私物だけど、見せてやれって預かったんだ」

「ちょっと良いですか」

と、スイが僕からノートを受け取り、パラパラとめくって声を上げる。

「これは…こんなに白い紙を初めて見ました。

それになぜインクがカラルフなんですか?」

覗いてみると、成る程カラーペンだね、赤や青のペンを使って書かれている。

それに変色しているけど、蛍光マーカーでラインを引いただろう箇所もある。

んん?染料は有るけど、カラーインクは無いのか?

文字は黒で、と言うのが常識なら、色付きの文字は驚きなのかな?

「それに…見たことのない文字ですね。

ウチ様の世界の文字なのですか?」

ええ⁈……あれ、確かに普通に日本語で書かれているよな。

あれ?ちょっと待て、今までの書とか、本とか書類とか、店の看板とかってこちらの世界の文字じゃなかったか?

普通に読めてたけど、何で?

「え?何だかビックリした顔してるけど、もしかして文字の違いに気がついてなかったとか?」

ニトに言い当てられて頷く。

「多分祝福の影響だろうけど、後で妖精に聞いてみるといい。

しかし疑問に思っていなかったって方が驚きだよ」

「そう言えばうちへいらした時も似たような事を高祖父殿に言われていましたね。

……ウチ様はもう少しこちらと元の世界との違いを理解した方が宜しいかと思われます」

あ〜、そうね。

きっと山田さんとか牧さんみたいなオタクの方なら、異世界あるあるとか言いながら、二つの世界の違いに驚いたり、元学者さんとか、元医者とかなら、なぜ違う世界なのに通じるものがあるのか熟考するんだろうな。

何も考えずに受け入れてる僕って……ヤバイのか?

これからはもっと細かい事にも注意を払おう。


*****


大学ノートの内容は、牧さんの覚え書きの様なものだった。

他の英雄の人達と会って話した事柄などを纏めたり、自分なりの考えを書いたりしている。


内容は…

・妖精を取り込む事で波動が変わり世界に馴染む

・異物だった召喚者が世界の一部とみなされる

・取り込んだ妖精の魔法を使える

・取り込む数が多い程使える魔法が増える

・寿命も増える

・感情が伝わる

・妖精の術は魔法と別扱いらしいが、詳細不明

・妖精については会話が成り立たないので、解明不能

・日本との間にゲートが有るのでは?

・他国も召喚しているそうだが、成功しないのは何故なのか

・近隣国とのパワーバランス

・北方大国の暗躍?

・魔物の現状

・王家の石…………


牧さんから想像つかないんだけど……。

めっちゃ色々考えていたんだな。

ぼんやりと流されてる自分と大違いだ。

そう言えば城で見た歴史書は牧さんが書いたんだよな。

何で牧家の書はあんなのなんだろう……。

それにあのネットスラング?

わざとやってるのか?キャラ作りなのか?

もう一度きちんと話をしたいな。

そう思わすには充分な内容だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ