表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第一章
77/150

牧家の書は……

「そうだ、うちの書を持って来たんだけど、読むだろ」

いや、もうお腹いっぱいで読む気無いんだけど……。

大体どんな感じか、牧さんと話してわかったから、もういいよ。

声に出さなくでも態度で読みたく無いのがわかったのか、

「まあまあ、うちの書は他の家の書と比べて一風変わった書なんだ。

見るだけでも見てみなよ」

そう言いながら入り口近くに置いていたワゴンを押して来る。

その上には20冊以上有るだろう冊子が乗っている。

他の家の書は、大体5センチくらいの厚さの辞典っぽかったけど、牧家の書は暑さ1センチくらいで冊数が多い。

「ほう、ユウ様は真面目に書を書いているのですね。

うちの高祖父殿だけですね、書いていないのは」

スイが感心していると、ニトは

「真面目…ねえ。

スイが見たら怒るかもしれないけど、まあウチ以外には見せちゃダメだって言ってたわけじゃ無いし、スイも読んでみる?

なかなかの力作だよ」

えー、こんなに沢山の書付を読まなきゃいけないの?

スイも読む気なのに、ここで僕だけ読みたく無いと言えないじゃないか。

諦めて一番上の冊子を手に取る。


【牧 悠の軌跡〜全てはモフモフの為に〜】


……………………いや、もうこれ読まなくて良くない?

一緒に表紙を見ていたスイの表情も強張る。

半ば嫌々にページを捲ると…中は漫画になっていた。

「え?牧さん漫画描けるの?」

「いや描けないよ。

妖術の無駄遣いだよ」

あー、記録の子と絵の子で、頭に浮かべたものを書き留めてもらってるんだね。

変わった使い方だよな、ある意味妖術の可能性の一つを示したと、言えなくもない……のか?

その漫画は、軽い生い立ちからイベントで倒れてこちらの世界へ喚ばれ、侵略戦争を回避する為、同時に喚ばれた敏和さんと国を回って交渉をした事も描かれている。

敏和さんが戦争におけるデメリットと、同盟を結ぶメリットを、牧さんが魔物との付き合いで得られる事を主に受け持っていたそうだ。

真面目で考え過ぎる敏和さんのフォローや、固くなりがちな話し合いで、オタクの知識をフル活用して和ませながらも話の主導権を取ったりと、思いの外活躍したみたいだ。

どうやらゲームや漫画、小説やアニメの知識が、ファンタジーの世界では大いに役に立ったようだ。

成る程成る程。


漫画なので読み易く、1冊目を読み終えた僕に、スイが聞いてきた。

「すみませんウチ様、これはどうやって読めば宜しいのでしょうか?」

あー、うん、そうね。

四コマ漫画だと上から下へ読めばいいけど、コマ漫画だと、大ゴマが有ったり見開きが有ったり、変形ゴマが有ったりで、読み方がわからないって人、たまーーに居るからね。

しかし説明しようがない。

「基本右上から左へ、右下へ行って最後は左下………、ニュアンスだよ、スイ君」

説明を投げてしまうのも理解して欲しい。

変形ゴマが多いのは初心者に不親切だよ、牧さん。


そんなこんなで2冊目を手に取ったんだけど…………2冊目の途中で書を閉じた。

そして他の書もをパラパラとめくり、そっと閉じてテーブルに置いた。

「スイ、その最初の一冊だけ読んだら、後のは読まなくていいと思うよ」

2冊目から後の20冊近くはどうやらモフモフについて力説しているようだ……。

「いや、ここ大事か?

一冊目の内容をもっと詳しく書くべきだろ!」

思わず声を出して突っ込んでしまったのは仕方ないよな。

「ニト、他の人に見せるのは一冊目だけで十分だ。

二冊目以降は内輪用に保管してなさい」

パラ見しただけだけど、種族によるミミや尻尾の形状、手触り感、触られた時の反応などを事細かく記されていた。

真面目な研究……と言うには無理がある。

漫画だし、相手が皆幼女と言うから、逆に禁書指定されてもおかしくない。

兎に角これは公にしちゃあダメだろう。

……特にスイに見せたらどうなるか…………。


早々に戻して来るようにニトに伝えた僕だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ