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英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第一章
76/150

マモランドでの滞在……ストレス爆発

マモランドに到着した翌日、町へ出た………。


3日目、城の中を散策した………………。


4日目……部屋に閉じ篭った…………………………。


*****


「おーーい、ウチ、どうしたんだよ」

ドアの外からニトが声をかけてくるけど、僕はベッドの上で頭から布団を被っている。

「ホラ、飯持って来てやったぞ〜。

食わないと大っきくなれないぞ〜〜」

どうせ大人サイズになるのに何百年もかかるんだから、一二食抜いたって変わんないだろ。

「ドア開けないとスイが怒ってるぞ〜〜〜」

……………………僕はドアを封鎖している力の妖精に、ドアを開けるように伝えた……。


「一体どうなされたのですか?」

嘘つき、スイ怒ってないじゃん。

「昨日も一昨日も、俺は身内に挨拶回りに行ってたから知らないけど、スイは一緒じゃなかったん?」

「いえ、私はネイ団長と次からの打ち合わせや、国への連絡、こちらの大臣との会議で離れていまして。

なかなかこちらまで来られませんので、色々仕事をしていました。

近衛の方々に護衛を頼んだのですが、ウチ様がとても人気があったとしか、報告はありませんでしたけど……」

…そう、僕は町でも城内でも人気者だった。

大人気だった……空港でファンに囲まれるハリウッドスターより、セクハラが発覚して報道陣に囲まれる政治家より…。


2日目、スイもニトもどちらも付いて来られないと分かった時に、外出はやめるべきだった。

自分の体質をもっと良く考えるべきだった……。

ええ、ええ、囲まれましたとも。

抱っこされまくりましたとも。

触られまくりましたとも…。


最初は一人二人と、ふら〜と寄って来て、

「何だかソワソワする」

「私はドキドキする」

「尊い〜〜」

「ヤバイよ、ヤバイ!」

などと言いながら、頭を撫でるくらいだったけど、2人が5人、5人が10人、10人が……と増えていき、身動きが取れなくなった。

護衛の団員さん達は、

「流石ウチ様、人気者ですね」

と、人垣の向こうでニコニコ笑顔で、ちっとも助けてくれない。

一緒に居るのがニトなら、何か上手いこと言って助け出してくれただろう。

スイとなら……そもそも取り囲まれなかったと思う。


そんなわけで、精も根も尽き果ててしまった僕は、次の日は城内を案内してもらったり、庭園を散策したりしたんだけど、正直言って町より酷かった……。


メイドさんの間で、誰が僕を抱っこして城の中を案内するかでバトル勃発。

それを止めに来た筈の兵士さんの間で取り合い、そこへたまたま通りかかったお偉いさんの奥さんに拉致られ、部屋に連れ込まれ、抱きすくめられているところに旦那さん来訪。

あわや夫婦喧嘩勃発か?と思いきや、旦那さん(モニモニメタボのイノシシの魔物……オークって言うんだっけ?)にむぎゅむぎゅされて。

そのまま2人に連れられて、別のお偉いさんの部屋へ。

そこで自慢するオーク夫婦。

自慢された鹿の角の生えた魔物は、

「こちらへもよこせ」

「嫌なこった」

わたくしにも抱かせなさいよ」

「オホホホホ、ご冗談を」

と、諍いが……。

騒ぎを聞きつけた別のお偉いさん夫婦も交えて………………。


「ニト…この国どうなってんの?」

「いや〜、国民の9割以上が魔物だからねぇ。

しかもその内の半数以上が純粋な魔物だから、仕方ないっちゃあ仕方ない事かも」

「じゃあこうなる事がわかってた?」

「ん〜、ある程度は?」

ヘラっと言うニトに枕を投げるが、悲しいかな幼児の筋肉は、ベッドの横に立つニトに枕を当てることさえ出来ない。

「いや、俺ハーフじゃん?だからウチの事抱っこしたいな〜とか、グリグリしたいな〜とか思っても、そこまでガチ触る!とまでは思わないから、大丈夫だと思ったんだけど……甘かった?」

「甘いよ!激甘だよ!僕のライフゲージはマイナスだよ!」

「それにスイが一緒だと思ってたし。

ほら、スイってドラゴンハーフじゃん、だから他の奴らって気軽にそばに近づけないから、問題起きないだろうって思ってたんだよ」

「何?スイって群衆避けになるの?」

「知らなかった?

ハーフとは言え、最強種族のうちの一つのドラゴンの血が流れてるからね。

滲み出るものがあるみたいで、近寄り難いんだよ。

特に純粋な魔物にとっては、なるべくなら視界にも入りたくないらしいよ」

知らなかった、スイにそんな魔物避けの効果があるなんて。

「……否定はしませんが、少々大袈裟なのでは?」

「いやいや、ご謙遜を」

いつものように2人で言い合ってるけど、そんな事よりもスイの新たな可能性に考えが向かう。


そうして3人で話しているうちに、少しはストレスも薄らぎ、ニトの持って来てくれた朝食を食べながらも、今日は一日部屋で過ごすことにした。

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