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英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第一章
70/150

アニマルセラピー…かな

始めの二、三日は距離が有った団員さん達とも打ち解けて、色々話をするようになった。

でも、団員さんより先に僕に寄ってきたのは馬達だけどね。


馬と言ってるけれど、地球の馬とは少し違う。

団員さんの乗っている馬は額に縦並びの二本の角が有る。

一本ならユニコーンみたいだよな。

体型は、中間種のスタンダードブレッドに良く似ている。

人を乗せている時は、指示によく従うけど、休憩している時などは、僕に寄ってくる。

馬車を引く馬はふた周り程大きく、ばんえい馬に似ている。

こちらには角は生えて居ない代わり、地球の馬との違いは尻尾が無い事かな。

無いと言うか、カットされたドーベルマンの様な短い尻尾が、お尻の上にちょこんと有るだけで、馬特有のフサフサ尻尾は無い。

そんな馬達がわらわらと僕を取り囲む光景は、自分としては慣れたものなのだけれど、団員さん達にしてみれば、主人の自分以外に擦り寄るのは珍しい事だと言われた。


「とても臆病な性質だから、パートナー以外には懐かないんだよ」

「そうだよ、まだパートナーになってない個体なら、厩舎の人達の世話も受けるけど、角が生えたら他の奴に体を触らせるのも嫌がるのにな」

「そう言えば厩舎に行った時居た馬って角生えてなかったけど、同じ種類の馬だよね?」

あそこに居た馬の額に角なんか生えていなかったけど。

「ああ、あいつらは契約前だから角が無いんだよ」

「馬車を引く馬は脚は遅いけど力があって、こうして馬車を引いたり、開拓に使ったりする種類なんだ。

あいつらは性質も温厚で人懐こいんだけどね、俺達の馬…ピケット種って言うんだけど、パートナーと契約すると、成体になって角が生えるんだよ」

「そうなるとパートナー以外はその背に乗せないし、世話も受けない。

死ぬまでずっと一人のパートナーと添い遂げる…夫婦みたいなもんだね、雄でも雌でも」

ずっと一人の主人に仕えるのか…うん、主人と言うよりパートナーと言う方が似合うよな。

でも馬の寿命って長くて30年くらいじゃないの?

この世界って祝福持ちだと3桁の寿命はザラだから、長寿の人だと何頭ともパートナーを組む事になるのかな。

『あのね、この子達ってワタシ達と同じなの。

好きーって思ったら契約して、命が繋がるの。

だから好きが居ない子達はうーーんと生きるけど、契約した子は好きな人と一緒に死んじゃうの』

『そうそう、ボク達は好きな人が死んじゃう時、生きててって言われたら死なない事も有るけど、この子達は寂しさに負けちゃうから、死んじゃうんだよ。

でも次に生まれ変わっても同じ人を好きになるんだけどね』

輪廻転生か?

でも寿命まで左右する契約って、ロマンチックなのかもしれないけど、怖いよ。

「だからこうしてこいつが貴方に撫でられてるこの光景が、不思議に思えるんだよね」

擦り寄せてきた頭を撫でている馬のパートナーが、ため息つきながら、その背を撫でている。

「だよな、なんだか目の前で浮気されている気分だ」

僕の背後に座り込む馬のパートナーがボヤく。

他の団員さん達も全くだと言うように頷く。

あー、これも良くあったパターンだよな。

ペットが飼い主の自分より僕に懐くって腹を立てた友達が、何人僕から離れて行ったことやら……。

その事に関していじめられた事も苦い思い出だ。

まあ団員さん達がそんな事しないのは、やっぱりこの幼児な見た目のお陰もあると思う。

幼児体形で良かった。


見守って居てくれる周りの人や、ずっとその小さな体温で温もりをくれる熊澤さんや、繋がった心で色々フォローを入れてくれるニヤとピヤ、そして大きな温もりの馬達のお陰もあって、心の痛みは癒されていった。


そして予定通りに魔物の国へと到着した。


あ、馬の話だけで終わってしまった……。

次の話へのワンクッションだと思って下さい。


明日もよろしくお願いします。

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