表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第一章
63/150

キシ家は怪しい?

いつものように馬車に乗り、スイと共にキシ家へ。

外務大臣のルツさんは、昼間は仕事なので、迎えてくれたのはルツさんの父親だ。

「ようこそキシ家へ。

ルツの父のキシ・カズ・ソウです」

ルツさんの息子さんで、キシ家の跡取りは出かけていて、夜には戻って来るそうだ。

「明日には父も家に着くそうなので、今日はゆっくりと過ごして下さい」

部屋に通されての荷物整理、と言っても五軒目だと慣れたもんだ。

スイにお茶を淹れてもらって寛ぐ。

「夜までまだ時間あるし、屋敷の中とか案内してもらえないかな」

僕が言うと、硬い表情でスイが答える。

「…無理かと思われます」

「え?なんで?」

「実はルツ大臣より、来訪時間は執務の終わる時間にして欲しい、もしくは明日以降にしてくれと要望がありました。

しかし此方にも都合が有りますし、遅い時間に他家を訪れるのは問題外だと断りました」

「明日以降って何かあるのかなぁ?」

明日なら昼でも良いって事なんだよね?

「多分なのですけど、明日だとキシ家の初代が戻って来るからかと思われます。

本来なら先週戻って来る予定だったので、訪れる順番を決めたのですが、帰宅予定が遅れた様ですので、此方の来訪を変更してくれと。

当初の予定を変更させたのはキシ家ですので断りました」

「何かあるのかなぁ」

「そう思われても仕方がありませんよね」

でもこのままここで閉じこもっているのって、何だかモヤモヤするし…

「この近辺の町をウロつくならOK貰えると思う?」

「外なら大丈夫なのではないでしょうか。

聞いて参ります」

スイがソウさんに直に聞いて来てくれて、了承を貰ったので外出する事となった。


*****


「何か隠してるのかな〜」

屋台で買ってもらった串焼きを、熊澤さんにあげながら食べる。

「そう思われても仕方ないですよね」

「でもニトが言うには真面目な人って事だったけど」

「真面目だからと言って、隠し事が無いと言うわけではありませんからね」

そうだよなー、案外真面目な人程…って事もあるもんな。

「気を揉んでも仕方ありません、町の散策を楽しんでください」

「それもそうだね」

あれこれ想像してても仕方ないので、切り替えよう。

お店や屋台を冷やかしながら、時間を潰して、陽が傾く頃キシ家へ戻った。


*****


「改めまして、キシ・ソウ・ルツです。

遅くなってすみませんでした」

「初めまして、キシ・ルツ・ネジです」

仕事から戻ったルツさんと、外出から戻った息子さんと、顔合わせをしたのは夕食の席だ。

「こんばんは、ジウ・ルツ・エミよ、宜しくね」

そして近所に嫁いだと言う娘さんも同席だ。

息子さんのネジさんも、ルツさん同様、真面目そうで影が薄い。

エミさんは対照的に陽気だ。

ネジさんは見た目スイより一回りくらい上かな。

エミさんはその少し下くらいに見える。

「折角いらしたのに、父も兄も不在で失礼しました。

しかも祖父が放置してたって聞いてらビックリして飛んで来たの。

もう本当、うちの男性陣ときたら……」

「いえ、放置と言いますか、のんびりしてくれと言われただけですよ」

フォローを入れておく。

「お優しいですね。

でも始めて訪れた家で、案内も付けずにのんびりしてとは、放置と同じですよ。

後で厳しく叱っておきますね」

握り拳を作ってニッコリ笑うエミさんに対し、男性陣は黙々と食事を進めるだけだ。

ルツさんの奥さんは亡くなったと聞いていたけど、ネジさんは独身なのかな。

たった一人の女性のエミさんが居なければ、この場はお通夜の様に静まり返って居たかもしれない。

そう思う程、ソウさゆもルツさんもネジさんも静かだ。


その後もエミさんのお陰で、気詰まり無く食事は進んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ