表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第一章
48/150

熊澤さんとブージェ

「いや〜、待ってたよ!」

僕はヤギ家の居間で寝転がって居た所、取り囲まれて飛び起きた。

「ホントホント、家に来るって聞いて、今か今かと待ってたんだよ!」

どうやら熱烈大歓迎を受けている。

「本当によく来て下さった。

ずーっとここに居てくれて良いからね」

そう、思いもよらぬ大歓迎だ……

「ささ、こちらへ来て下さい」


「クマザワサン!」


熊澤さんが、ね………。


*****


農家にとって、厄介な害獣が居る。

小さくて素早しっこく、頑丈な歯で木箱も土壁も穴を開け、収穫した作物だけではなく、刈り入れ間近な野菜や、下手すると果実の実った樹木さえ倒してしまう、ブージェと言う小動物の事だ。

めっちゃアゴの強いネズミみたいなものか?

勿論辺り一面のブージェは退治してから、ここを農地に切り拓いたのだけど、最近何処からかやって来て、畑を荒らすそうだ。

「ブージェは一匹居たら30匹居るって言われてるからな」

ゴキブリかよ。

「頭が良いから罠にも掛からないし、毒入りの餌を撒いても食わないし」

「他の動物けしかけても返り討ちになるだけだし」

「そこでこのタタンジュ様よ!」

ずずずいっとヤギ家の人達が詰め寄って来る。

「素早くて小回りが利き、本体スリムだから狭い隙間も大丈夫!」

掃除機の宣伝か何かですか?

「ささ、パパっと追いかけて、その鋭い爪でバシッとやって、カプッとやって毒でコロリ、その後は俺らがチャチャっと回収」

擬音だらけだな。

「さぁさぁ、タタンジュ様、宜しく頼みますよ」

目をギラギラ……キラキラさせた、鼻息の荒いおじさん達がさらに距離を詰める。

怯えた熊澤さんが身をすくめる……首に巻きついて居るから、必然的に首が締まるんどけど……。

苦しいよ熊澤さん。

首から取り外して抱っこする。

あー、凄い期待されてるけど、言わなきゃダメだよね……言いづらいなぁ………。

「なーに無茶な事言ってんだ、そりゃあタタンジュはブージェの天敵だけとな」

へー、そうなんだ。

「タタンジュの即効性の神経毒が有れば、ブージェ被害を防げるじゃないか」

「だがクマザワサンはウチ様のペットだぞ、貸してもらえる訳無いだろ」

ベエさんが家族の人達に諦めるよう説得してくれてるけど、

「あのー、そのブージェってタタンジュの毒が有効なんですか?」

ハイって右手を小さく挙げて聞く。

「ああそうさ。

タタンジュの毒は効きが早いからな」

あー、やっぱりハッキリ言わないといけないよな。

「すみません、熊澤さん毒抜きしているので、毒を期待してるなら無理だと思います」

僕の言葉におじさん達の目から、キラキラが消えたけど、僕悪く無いよね?


*****


熊澤さんは無理だけど、困っているのは放っておけない。

僕はピアを読んで熊澤の通訳を頼んだ。


こちらの要求はブージェを退治して欲しい事。

人は襲わない事。


熊澤さんからは、人がタタンジュに危害を与えない事。

捕獲したブージェはタタンジュ達の食糧とする事。

ブージェが居なくなったら解放する事。


それが守れるなら、同族にここでブージェ退治をする事を頼んでくれると。


ヤギ家はこの条件に更に、ブージェが獲れようと獲れまいと、毎日の食事、さらには退治終了後に報酬として肉を渡す事を上乗せした。

本当に困って居たようだ。

これに了承した熊澤さんから頼まれて、音の子をタタンジュの生息地に飛んでもらい、熊澤さんが間に入る事によって、交渉は成立した。

良かった良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ