ユゲ家の息子さんと会う
レンに色々と話を聞いていると、「荷物の片付けが終わりました」とスイが呼びに来たので、滞在させてもらえる部屋で一旦休む事にした。
案内された部屋でそう言えば、と思い、スイに聞いてみる。
「スイは一緒にここで滞在するの?」
スイはお茶を淹れながら答える。
「そうですね、私としてはどちらでも構いませんが、各家にはそれぞれ使用人がおります。
なので身の回りの世話は不自由しませんでしょうし、他家の者が居ると邪魔になるかもしれません。
しかしウチ様が、慣れて居ない者の世話になるのを厭われるなら、引き続き私が側に控えさせていただきます」
どうされますか?と逆に聞かれた。
正直本音を言うと、この世界に来てから色んな人と顔も合わせはしたけど、一番気安いのはやっぱりニトだ。
二人だと口調も砕けるので、特に気が楽に感じる。
その次はやはり始終側にいるスイになる。
堅苦しいし、厳しいところも有るけど、いつも僕の事を考えてくれてるのも分かる。
それならやっぱり、
「出来るならこれから他の家を回る時も付いて来て欲しいと思うんだけど、お願い出来るかなあ」
そう聞くと、スイはニッコリ微笑んで頷いてくれた。
「こちらこそよろしくお願い致します」
スイの微笑みは上品なんだよな。……怒って居ない時は、だけどね。
*****
昼食時、レンの息子と顔合わせをした。
「こんにちは、トウ・ドウ・ウチです」
「初めましてウチ様、ユゲ・レン・ナチです。
ようこそおいで下さいました」
カイ王子より一つ年上だと言うナチは、レンと同じく金髪で、青い目をしている。
ん?金髪?
確か英雄家系を継ぐのは黒髪が条件だったよな?
他に子供さん居ないようだし、良いのかな?
「来年から学園に通うんだってね。
さっきちょっと聞いたけど、皆寮生活になんでしょ?
両親と離れるのはちょっと不安になりそうだけど、大丈夫?」
僕がそんな小さな頃親元から離れろって言われたら、絶対無理だと泣いてたかもしれない。
「そうですね、やはり少しばかりの不安と、正直申しますと寂しくも有ります。
しかし、私だけではなく、条件は皆同じですし、将来の為にも若いうちから多くの人と関わると言うのは、大切な事だと思います」
じ……11歳だよね?大人だなぁ。
「あー…言葉は崩しても大丈夫だよ。
中身が幾つでも、見た目はこんなだからね」
「……いえ、父と同年代の方だと伺っております。
実年齢より見た目と言われておりますが、やはり失礼にあたりますから」
おおおー、しっかりしてますねと、レンに言うと、
「少々融通が利かない所が有りますが、その辺りも学園で良い方向に向かうと思います」
と少しばかりの苦笑いを浮かべながらも、誇らしげでも有る。
話の流れで聞いてみても良いかなあ。
「将来は宰相を継がれるのですか?」
「いえ、宰相の仕事は五男が、ユゲ家は妻の次男が継ぎます。
この子は次期王となりますから」
えええ?
カイ王子居るのに?
いや、それよりこれってこんな所であっさり聞いて良いの?
てか、次男が家継いで五男が仕事継ぐ?
ナチ君長男で…あ、前の旦那さんの子か。
それでもやっぱり昼食時の話で聞く事じゃないよね?




