ちょっとそこまででも遠くでも馬車移動
王様から話を聞いた翌々日、僕はユゲ家に向かう事となった。
翌日は準備の為に、という事だったのだが、作ってもらった服などは、メイドさん達や、スイが荷造りしてくれた。
僕の準備は心の準備くらいかな?
夕食は王様達と一緒だった。
そこで王様に言われたのが、
「後見人と言っても難しく考える事はない。
ウチ様自身が幾つであろうと、この国…この世界では見た目の年齢で判断される事となる。
一人で暮らすにせよ、子供の見た目だと色々不都合も生じるであろう。
ましてや召喚された英雄だと分かると身の危険も生じる事となる」
あー、そうだろうな。
今は禁術とされている召喚術で他の世界きら来たとなると、面倒な事になりそうだよな。
ましてや祝福沢山とか、会話が出来るなどバレた日には、怖い事になりそうだよな。
それより何より、それで危ない目に遭ったりしたら、ニヤ達が恐ろしい事しでかしそうだし……。
「なので別の世界から来た事は他に漏らさぬ様お願いしたい」
「勿論です」
「一人で暮らされるにせよ、家の些事を任せる者や、有事の代理などを務める者を選ぶ、そう言った事もこの世界に来られたばかりだと不案内だろう。
家を建てるにせよ、ツテはひつようだ。
そう言った全ての事を任せる者を選ぶと思われれば良い。
勿論気に入った家が有ればそこでその家の者と暮らすのも良い。
どの家でも歓迎される事は間違いないであろうからな」
ん?なぜ断定的なんだろう。
「英雄家系には必ずと言って良いほど魔物やその血を継ぐ者が居るから」
王様が半眼で女王様とルル姫を見る、
その視線に気づいて二人は素知らぬ顔をしているが、ミミが思いっきりこっち向いてる。
成る程、魔物さんやハーフさんには歓迎されるかもな。
でも王子みたいな反応も頭に入れておこう。
王子は相変わらず僕を睨んでいるけど、うん、もう慣れた。
とりあえず八つの家を回ってみてから細かい事は考えよう。
*****
朝、馬車に乗り込んでユゲ家へと向かう。
因みに城門の中は第一層、その外の家臣達の住む辺りは第二層と呼ぶらしい。
そして城下町。
街の外には出た事無いけど、英雄家系の人が治めている街が広がって、この国を成り立たせているそうだ。
到着迄の時間潰しにでも、と案内役のスイが話してくれたのは、他国の事だ。
南の方角には人より魔物の多く住む国、北の方へ行けば行くほど魔物は少なく、北方五大国は人間しか居ないそうだ。
つまり魔物やハーフは住みにくい……どころではなく、入国さえも出来ない国もあると教えてもらった。
この国からその五大国まで、馬で無理をしても最低四ヶ月はかかるそうだ。
途中に山脈や大河が有るので、安全で、さらに馬車の旅となると倍近くの日数がかかるとの事。
なので五大国との諍いは今のところ無いとの事だ。
移動手段が馬か馬車か徒歩しか無いから、遠く離れている国と争いは無いけど、この先交通機関が発達したら……と考えるととても嫌な気分になる。
因みに五大国は妖精も居ないそうだ。
人至上主義で、妖精も魔物も駆除対象とか、聞いただけで気分が悪くなるよな。
でもここ百年程で他の小国では随分考えが変わってきていて、今回の前国王の外交も、この国から半月ほど北に行った所に有る小国に、魔物や妖精との共存を得きに行っていたそうだ。
前国王や外交官が数多くの国を回っていて、今では魔物だからと差別される国も、徐々に減って来ている。
そんな話をしているうちにユゲ家に到着した。
城を出て五分もかかっていない様な……。
まあ宰相や王弟が遠くに住むわけないのか?
でもさ、これくらいの距離なら歩いても良くないか?
きっと歩いても十分そこそこだと思うけど、貴族様はご近所でも馬車移動?
近くのコンビニでも車で行くのと同じ感覚なのかな?




