妖精の事は妖精に聞いてみよう
「じゃあいくつか聞いてみて欲しいんだけど、まずは今呼んだらすぐ来たよね?
普段から近くに居るのかな?」
あ、それ自分も気になる。
「普段は妖精の城に居るんじゃ無いの?」
「妖精の城?それは何処に有るんですか?
どんな城なのですか?
その城にはどれだけの妖精が居るんですか?
城に居ない妖精は妖精の街などが有るんですか?」
うわー…がっつり食いついて来る…目の色変えて。
『怖い〜〜〜〜!』
それじゃなくてもすぐ泣くピヤが大泣きする。
「ちょっと落ち着いて下さい、妖精が怯えてます」
「あ…あーゴメンゴメン、つい熱くなってしまった」
ニトは落ち着くように深呼吸している。
ピヤは怯えて僕の後頭部に張り付いてるし、ニヤはニヤで
『コイツ攻撃していい?』
とか物騒な事言ってる。何だかなあ、グタグタだ……。
気を取り直して、
「ニヤとピヤ…妖精王と女王は全ての術が使えるから特別なんだそうだよ。
ワープ……瞬間移動で繋がっている人、僕の所へ来れるんだって。
普通の妖精なら繋がっているから、呼ばれたら分かるけど、遠くに居たら直ぐに側に行けないって。
それから城は便宜上そう呼んでるだけで、妖精の住んでいる場所の事だって」
ニヤ達に聞いた事を説明する。
『場所とかは内緒なの、妖精が生まれる特別な場所だから。
綺麗な泉と大きな木が有る場所なんだけど、人には見えないし近づけないの』
聖地みたいなもの?見えなくて近づけないってバリア…隠匿されてるの?
『そんな感じだよ』
この辺りは伝えない方が良いよね?
『うん、秘密なの』
『とうちゃんならいいけど、他の人には内緒だよ』
いや、僕にも言わない方が良かったんじゃ無いの?
『良いの、だってとうちゃん大好きだから』
頭の中の会話は誰にも言わないからね。
『ありがと〜』
「ウチ、どうした?気分でも悪い?」
黙ってしまった僕にニトが聞いてくる。
頭の中の会話中は無言だから訝しく思ったみたいだな。
会話中に黙ったんだからそう思われても仕方ないか。
「いや、何でもない。
それで何だっけ?魔素が薄くなるとどうなるかだったか?
ニヤ、魔素が薄くなると消えるそうだけど、どうなってるのか教えてもらえるか?」
『あのね、魔素が薄くなると自分の身体を作ってる魔素使うの。
それも無くなったら消えちゃうの』
「え?消えるって消滅?」
『うんそう。
魔素が無くなるとボク達空気になっちゃう。
そして代わりのボク達が妖精の城で生まれるんだよ』
どう説明するんだ?
妖精って自然エネルギーみたいな物なのか?
『ボク達以外は増えるけど、ボクとニヤは一人ずつしか居ないんだよ』
火とか水とかはそれなりの数が居ても、全ての術が使える二人は特殊な存在で、王も女王も一人ずつしか存在しない?
『そんな感じなの』
じゃあ魔素が無くなると死んで、新しい妖精が生まれて、その妖精のと祝福を与えた相手との関係もそこで終わるの?
『それぞれだよ。
うーんと好きならまた呼ばれたら行くし、ちょっと好きなら考える。
好きが無くなったらもう行かない』
そりゃあ消滅するまでこき使われたら嫌いになるよな。
『でもそんなの滅多に無いの。
戦ってた時は有ったみたいだけど、今はそんなに沢山術使う事ないの』
それなら安心か。
「だから言葉にしてよ、全然わかんないでしょ」
あ、ニトが怒った。
僕は今聞いた事をニトに説明する。
「そうか、術を使い過ぎると消えると聞いて居たけど、消滅するのか。
まあ今はそんな無茶なほど術を使う事無いし、消滅すると知ったからには王にも申告して、無茶な量を使わないようにさせよう」
「そうしてやって。
妖精達はあくまでも好意で術を使えるようにしてくれてるんだから、死ぬまで搾り取るような事はしないでやって」
僕が告げると真面目な顔でニトは頷く。
あー、空気が重くなったな、話を変えよう。
「他に聞く事有る?」
あまり重苦しい空気は好きじゃないんだよね。




