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英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第二章
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おやすみなさい

ベルンリグールから戻る時、何かあった時のため(まぁクズ皇帝の監視だけど)遠見の子と遠話の子に残ってもらう事にした。

僕がラグノルに戻っても妖精達が大丈夫な様に、僕の血を内包した水晶を作って、いくつか設置してきた。

……何で僕の血にそんな力があるかなんて深く考えたくないから、そう言うものなんだと周りにゴリ押しした。


そんなこんなでベルンリグールのゴタゴタは終結した。


のだけれど、一月も経たないうちにクズ皇帝から連絡が入り、急遽また北方へ移動する事になる。


宗教国家【ルスプス】が、『神を語る不届き者』と『その偽神を奉る不敬な国』として攻め入ってくると言う情報が入ったとの事。

勿論トモ家からもその情報は入ったのだけれど、戦力として当てにしていたフェンディスが、兵を出すのを拒んだため、ルスプスの神官が武器を持ち攻め入ろうとしたけれど、髭マロがベルンリグールに至る前に殲滅。

その後僕がルスプスのトップの元へ飛び、クズ皇帝の時と同じく、原初の方々に責任を取ってもらった。

2回目だからすんなりと終わったよ。


でも、そこで問題がひとつ……。

クズの時と違い、原初の方々は情に訴える作戦に出た様で、世界の命を生み出した事により力が尽き、僕の力を借りて何とか意思の疎通ができるだけで、元の姿を顕現させることもできない。

などと切々と訴えたそうだ。

………その結果どうなったかって?

宗教国家が認める現人神あらひとかみと呼ばれる様になってしまった………………勘弁して……。


スイとネイは誇らしげだし、ニトは腹を抱えて大笑いするし、王家の一族は【現人神の居る国】なんて近隣諸国に広げちゃうし、僕を召喚したカイも褒め称えられて、微妙な顔だ。

そして各地から僕の顔を見る為に、ラグノルが巡礼地になってしまう……。


僕は普通のおっさんです!

と主張しても誰も納得してくれない……何故だ!


*****


そんなこんなで賑やかに?時は過ぎ、周りの人たちが順に寿命を迎えていく。

100年以上の寿命があったとしても、僕の数千年の寿命に比べるとあっという間だ。

生涯僕の世話をしてくれたスイも、いつも僕をからかっていたニトももういない。


ネイは最期まで独り身を通し、ずっと僕の近くに居た。

そのうち運命の人が現れると思っていたけれど、ネイの運命の人は僕だった様だ。

勿論結婚する訳でも、付き合う訳でもなく、ただ添い遂げただけ。

ネイが亡くなる頃にやっと身長が1メートル10センチほどの僕に、何をどうしてあげることもできず、近衛を引退後僕の家に越してきて、ただただ側に居ただけ…。

なんだろう…僕がこの世界に来てしまったばかりに、ネイに普通の幸せな家庭を持てなくしてしまった様で、落ち込んでしまった。

そんな僕に原初の方々が裏技を教えてくれた。

100年以上共に過ごして、更にパワーアップしたニヤや、他の妖精達の力を使い、ネイの魂を妖精として生まれ変わらせたんだ。

勿論ネイも望んだから出来たことだけど。


他の妖精は【こんな力が欲しい】と願うことで生み出せる。

けれどその場合、それは新たな生命で有って、妖精の個性や性格はそれぞれだ。

でもネイの場合、妖精に転生させたので、ネイの記憶も人格もそのまま、妖精として生まれ変わる事ができた。

ただし、僕との繋がりが強い為、一連托生で、僕の命が尽きる時、ネイも消えてしまう。

その事を伝えてもネイは逆に本望だと転生を選び、僕のそばに居る。


原初の方々にも割とちょくちょく会いに行った。

会えるメンバーは毎回違ったけれど、いつでも歓迎してくれて、楽しい時間を過ごす。


ニヤ達やネイが側に居るからと言って、見知った顔が一人減り、二人減りしていくのを見送るのは、かなりダメージが重なるものだ。

しかも、原初の方々が僕と会話をする事で力を使った為、次第にその意識が薄れて無に還ってしまった。

毎回話をするメンバーが違ったので、まさか消えてしまっているとは思わなかったんだ。

最期に消えた水の人に、僕は泣きながら謝ったけれど、意識はなくなっても、この星に溶け込むだけだし、何より楽しかったんだから、謝らなくていいと慰められてしまう。


それで僕は、召喚されて500年後、キリもいいからと眠りにつく事にした。

一緒に眠りにつくのはニヤとピヤとネイだ。

他の妖精達には世界を見守ってもらい、何かあれば起こしてもらう事になっている。

ヤバイ事が起こるたび、僕は目覚めて問題を起こす人を説得し、説得が無理なら実力行使で排除する。


そうして僕はまた眠りにつく。


眠る僕は夢を見る。


夢の中では懐かしい面々が笑顔で揃っている。

僕の力なのか、夢の中の人々は当時のままの人格があるようで、夢の中だけれど、僕たちは普通に暮らしている。

…………本当に夢なのか、もしかして並行世界なのか…。

ただ皆が笑ってそこで生きている、幸せな世界だ。




日本でちょっと辛いことはあったけれど、子供のイタズラで召喚されてしまったけれど、色々問題もあったけれど、今日も僕は幸せな夢の中だ。



そんな僕の人生を聞いてくれてありがとう。

またいつかどこかで会えるといいね。



おやすみなさい…………。

はい!

長らくお付き合い頂きありがとうございました。

この話はここで終了です。


宗教国家とのいざこざは、ベルンリグールとダブる面が多いので、さらりと流しました。


書き始めた時に、人物設定と神になる事だけを決めて、後は行き当たりばったりに筆の進むがままに任せていたら、こうなりました。

神になると決めていたけれど、眠りにつくのも流れでそうなりました。

いや、実際想像したら、親しい人が次々亡くなっていって、その子供や孫などの顔見知りもどんどん居なくなったら辛いなぁと。

だから普段は眠って、何かヤバイ事が有ると起きて問題解決すると。


書いてて楽しかったです。

番外編の方は、今週の日曜にもう2話アップして終了とします。


2020年2月22日から新作アップします。

簡単に説明すると…死後の世界?

ホラーではありませんけど、残酷な描写も多少あるかも?

こちらもエタらないよう頑張りますので、宜しければご覧ください。


沢山の方々に読んでいただき、とても嬉しかったです。

本当にありがとうございました。

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