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英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第二章
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代行者……ヤメテ

「それで?国民への演説はうまくいったんだろ」

ソファーにうつぶせてふて寝をしている僕に、にやにや笑いながら問いかけてくるニト。

「どうせスイに聞いたんでしょ?」

「まぁね〜。

でも人伝と当事者から聞くのとでは違うだろ」

完全におもちゃ状態だ。

思い出したくもないんだよね、あのクズの暴走は……。


*****


城の前の大広場に集まった群衆の前でクズ皇帝の演説はなされた。

広間を埋め尽くす人々に声が届くように、音の子の拡声の術をかけてもらい、すべての人々に声が届くようにした。

人々へ、集まったことに対する言葉と時候の言葉の後に本題だ。

「この地は原初の神々の降り立った地である事は間違いはない。

しかし、我々は……我はいくつかの思い違いがあった事がこの度判明した。

その一つが、この地の生きる全てのもの、空を飛ぶ鳥や大地を駆ける動物、水中を泳ぐ魚や、我らと異なる姿の魔物、その全てが等しく我らと同じであるという事を」

『俺たちが動物と同じ?』『魔物と一緒だとか何を言っているんだ?』

騒めく民衆の声が聞こえてくる。

「静粛に。

我は先日原初の神々の住まう場所へ誘われた」

更に騒めきが大きくなる。

「そこで神々の記憶を見せられたのだ。

五柱の神々の神話は現実にあった事を我は知った。

そこでもう一つ知った事柄が、我らは他の生物と同じく、神々により造られたに過ぎず、神々の血を引いていないことを」

それから今回の事を、直接的な事は伏せて、異世界から召喚をする為に魔物の人を攫ったこと、その人達に酷い目に遭わせたこと、それを南方の国の人々に止められたこと、賛同した重臣達は既に処分されたこと、そして神々に記憶を見せられたことを順に説明した。

騒めいていた民衆は、次第に静かになっていく。

更に【神の血を引く国の民】と言う選民意識を無くさなければ、神罰が降り、国ごと粛正されてしまうということを告げた。


「直ぐに考えを変えるのは難しい事だと思う。

しかし変わらなければ我らに待つのは破滅のみである事を理解し、意識を改めて欲しい。

特にこれからを担う子供達には徹底し、正しき事を教えて欲しい。

全ては各々のためである事を理解してくれ。

そしてこの国を良くして行くことに力を貸して欲しい」


そんな感じに話は終わった…と思ったら、まだ続いていたのだけれど、それがいかんかったですわ。


「それに我らには力強き協力者がいる」

僕たちラグノルの国の事かな?なんて思っていたら、大間違いだった。

クズ皇帝の言葉を合図に、重臣達に囲まれて担ぎ上げられ、クズ皇帝の隣に連れていかれた。

敵意も無いし、あっという間の出来事だったから、僕の後ろに居たネイも反応が遅れたようだ。

「神々の代行者、トウ・ドウ・ウチ様である。

我の暴走を止め、神々の元へと誘い、我らの行く先を示す方である」

おおおー!と、湧き上がる群衆、ドヤ顔のクズ皇帝、振り向くとネイまでドヤ顔をしている。

いやいやいや、ちょっと待て!

何だよ神の代行者って!

行く先を示すって!

そりゃあどうすればいいかなとか考えたよ?

でもこの国をどうするかなんて、自分達で考えろよ、僕はこの国の民じゃあないんだからね!

頭の中で叫び声を上げても、それを表に出すのは憚れて、この場は仕方なく、にっこり微笑んで片手を挙げた。

その後、クズ皇帝が何やら僕が凄いとか、素晴らしいとか延々と述べてたけれど、心の耳を塞いで聞いていないよ。

どうやらこの一週間僕と繋がっていた事により、僕がこの国について色々考えていた事も、全部垂れ流し状況であったらしい。

それでほぼ洗脳かよ!って状態で、まるで新興宗教の教祖状態になってしまったと……。

勘弁して、神の代行者とか。

僕は普通のおっさんです。

例え見た目が幼児でも、妖精達に好かれまくってても、変なフェロモン出してるようでも、ちょーっと神々の領域へ自力で行けたとしても、僕は普通のおっさんです。

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