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英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第二章
138/150

いや……スイは反則でしょ…

そして最後はスイと髭だ。

「閣下、また鍛錬場壊さないでくださいよ!」

「その兄ちゃんも壊すなよ」

「いや、閣下の相手したら壊れるだろう」

「どっちの相手だよ」

下品な笑いと罵声が飛び交っているけれど、スイは平常運転だ。

僕をからかわれた時は、かなり怒っていたけれど、自分の事ならスルー出来るようだね。

流石アラエイ……ゲフンゲフン。


前の二試合は髭が審判していたけれど、今回は本人が戦うので、クマ将軍が審判だ。

「体格差があり過ぎるなぁ、武器でも術ってやつ使っても良いんだぞ」

二人とも武器を持っていない。

体術勝負の様だ。

「いえ、私は戦う事を生業としていませんから、武器は使った事がありませんので結構です」

まぁスイが武器を持っているのなんて見た事ないけどね。

髭はスイの返答に楽しそうに笑い、両手を打ち付ける。

「んじゃまあ、お相手してもらおうか」

こう言う人って戦闘狂って言うんだよね、めっちゃ嬉しそうだ。


「………………始め!」

開始の合図があがっても、二人とも動かない。

動かないけれど、戦いは始まっている。

何ていうの?覇気?を飛ばしあっているのがわかる。

いや、見えないよ。

妖精達のお陰で感じ取れるだけ。

スイが凄いのは知ってるけれど、髭もなかなか凄い。

ニヤの視線を借りて見ると、体を包み込むオーラ?ってやつが見える。

それをお互いに向けて飛ばしあっている。

髭も伊達に国のトップじゃあないって事だよな。

しかし普通の人間には、こんな不可視の戦いなんてわからないから、至る所からヤジが飛ぶ。

見えないにしても感じ取れる人は、息を詰め二人の戦いを見ている。

ラグノルの面々は、見えないにしても、妖精との感覚共有で感じ取れているようだ。

凄いだろ、ラグノルの民は!

ドヤ顔でフェンディスの人達を見ていたら、状況は動いたようだ。

髭がスイに走り寄り、上段蹴りを繰り出す。

身を引きそのまま回し蹴り……その後も、一見互角にやり合っている様に見えた。

けれど、よくよく見ているとわかる、攻撃を繰り出すのは髭で、スイはそれをいなす感じだ。

薄っすら汗が浮き出した髭に比べて、スイは息一つ乱していない。

と言うより、全然力を出していない。

まぁ、いくら強者と言えども、人間相手にドラゴンハーフのスイが力を出せるわけがない。


髭は攻撃をやめ、拳を下ろした。

「ふー、強いと思ってたけど、全く相手にされないとはね。

埒があかないから俺の最高の一撃を出してやる、それを防いだらあんたの勝ちだ。

つーよりも、そいつを防がれちまったら、こっちの手は尽きるからな」

そう言って髭は深く息を吸い込み足に力を溜める。

正しいよな、渾身の一撃って拳の力じゃなく、どれだけその拳に力を乗せられるかだから……なーんてわかった風な事を考えるうちに、髭の拳がスイに向かって繰り出される。

スイはその場で避けもせず、髭の一撃を、左手で受けた……って、そりゃあ無いよ、せめてこう…クロスした腕で受けるとかさー。

利き手でも無い掌で受けるとか、髭の立場はどうなのよ。

受け止められた髭はニヤリと笑い、

「あー負けた負けた。

勝てると思ってなかったけど、一発も入れられないなんて思ってなかったよ」

負けたのに嬉しそうに笑うとは、脳筋ならではなんだろうね。

「どうする?あんたこの国を治めるかい?」

あー、そうか。この国は一番強い奴がトップになるんだから、今この時点で、スイがこの国の頂点に立つ資格があるのか。

「結構です。

私はウチ様の従者ですから、国なんて要りません」

「んじゃま、俺がこの国のトップ据え置きでいいか?」

どうぞご自由にと、興味無さそうに僕の元へと戻ってくる。

本当にスイだけは怒らせない様にしないとな。

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