表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第二章
122/150

2回目の会議

他の面々も会議室を出ようとしたところに、一人の男性が部屋に入って来た。

「ハル様」

どうやらトモ家の人のようだ。

小声で何かを告げながら、紙っぽい物を手渡して、部屋を出て行く。

手渡された紙を、ハルさんは牧さんに手渡す。

渡された紙を見た牧さんの表情が固まった。

そのまま動かないのが心配になって、側に寄って行くと、牧さんは口を開いて話し出した。


「この世界に来て二百年以上経つけど、こんな事件イベ初めてだよ。

ストーリー的に良くあるパターンだけどね。

エロ貴族に拉致られて、おもちゃにされるケモ女性、使い捨ての労働力にされる獣人男性、変態おっさんのコレクションにされる子供達……。

あるあるだなぁって、有りがち設定乙とか、ゲームやラノベで見て思ってたけどさ、自分の周りでやられると、ふざけんなとしか言いようが無いよな」

やっぱり牧さんも……いや、きっと皆攫われた魔物の人達の辿る道は、同じ行く末を思い浮かべているだろうな。

「この国って、小さないざこざはあっても、鉄板な横暴貴族や、ワイロ塗れの腐った司祭とか、そんな悪役ポジの奴居ないし、お綺麗で刺激の少ない世界だなぁ、なんて思った事も正直あるよ。

でもさ、日々の暮らしだっていろんな出来事が有るんだから、真剣に生きてたら退屈なんて感じる暇無いんだから、刺激が少ないなんで思う事じゃ無いよな。

妄想は得意だけど、想像が足りなかった。

平和?退屈?そんな日常が大事なんだよな」

言いながら手にしていた紙を見せてくれる。

写真…絵の子の写し絵に映し出されていたのは、倒れた馬車と、二人の魔物の女性……事故現場の風景を、取り急ぎ伝えて来た物なのだろう。

一人の女性には見覚えがあった。

「この…右側の人って……」

「ああ……【俺の嫁】の一人だ。

運命の人と出会ったからって、先週マモランドを出て、相手の元に向かった筈なんだけど……何でこんな所で寝てるんだろうね」

二人とも虚ろな表情で横たわっているけれど、そのハラワタは無残に食い荒らされている……。

「結婚式には呼んでくれるって……、子供が産まれたら名前を付けて下さいって…………また二人で遊びに来ますって……………今までも幸せだったけど、もっともっと幸せになりますって……笑っていたんだよ………」

牧さんはハルさんに深々と頭を下げる。

「お願いします、何が起こっているのか、誰が何の為に魔物を攫っているのか、詳しく調べて下さい」

「勿論一族の総力を挙げ、即急に調べます」

真摯に受け止めたハルさんが、強く頷く。

僕にできる事は無いのか考えながら、解散となった会議室を出て部屋へ戻った。


次の会議が開かれたのは三ヶ月後の事であった。


*****


三ヶ月の間にも、兵士の人達が見回りを強化しているにも関わらず、三人の魔物の人が行方知れずとなった。

ラグノルだから三人で済んでいるのであって、他の国では二桁の魔物の人が姿を消している。

行方不明者を出さないためと言って、兵士を差し出すのは越権行為になってしまうので、他国の事はどうしようも無い。

魔物の人達は家から出ないようになり、マモランドへ移住する人も増えて来た。

今は魔物の人だけだけど、いつハーフの人や、人間が被害者になるのかわからない状況で、国への出入りは厳しくチェックするようになり、国内の雰囲気がギスギスして来ている。


そんな中、ハルさんからの通達で、二回目の会議が行われることとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ