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英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第二章
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日本から来た…?

それは客として来店している国軍の兵士さん達の話から始まった……。


「そう言えば最近、失踪者の探索依頼が多いよな」

「三、四年前からたまに有ったやけど、ここ最近は本当に多いやな」

「単なる家でなのか、事件なのか」

「ただ単に、思いついて旅行に行ったのやもな」

「んなわけあるかい」

そんなノリツッコミな会話を聞くとなしに聞いていた。


*****


ある日、いつものように、ネイが休みだからと店に来た。

「お邪魔してすみません。

今日はちょっと変わったお土産を持って来ました」

特別な用事が無い限り、この15年間ほぼ毎週通って来ているのだけど、珍しい物や美味しいものなどが手に入ると、こまめに持って来る。

「別にそんなにちょこちょこ、手土産なんて持って来なくてもいいって言ってるでしょ。

別に来店拒否なんてしないから」

もう諦めてるからとは言わないでおこう。

「いえ、本当に珍しいものなんですよ。

トモ家の者が見つけて、オダ家へ献上されたのですが、ウチ様が好きそうですから持って来ました」

献上品の使い回しか。

僕的にはお金を使うより、家にある物を持って来る方が、気を使わなくて済むけど、それを渡したトモ家的にはどうなんだろう。

そっとカウンターの上に置かれた手土産は、50センチ四方程の箱を風呂敷で包んでいる物だ。

中から生き物の気配がする。

「山脈に一番近い国で捕まえたそうです。

初めて見る鳥なのですよ」

言いながら風呂敷を取り外すと、中は竹で作られた鳥籠に入った一羽の鳥……

「え?これって……。

この鳥ってこの世界にも居たの?」

ちょっと驚いたので、思わずネイに詰め寄った。

「いえ、初めて見る鳥です。

ミル様に書物を調べて貰いましたけれど、このような鳥は記録にも無いそうです。

……ウチ様はご存知なのですか?」

籠に近づいてよくよく見ても、やはりこれって…。

「うん、僕の世界の鳥だね。

しかも日本固有種……僕の住んで居た国と、飛んで渡れる近隣の国にしか居ない種だ」

前に聞いたように、やっぱり日本とのゲートでも有るのかもしれないな。

まさかこの世界でこの鳥を見るなんて…。

不測の事態に動揺している僕の目の前で、籠の中の鳥は澄んだ声で鳴く……。

「ホー…ホケキョ」


実は一二ヶ月前、町中てセグロセキレイを見かけた気がしたんだ。

しっかり確認しようと近づいたら逃げられたから、きっと似た感じの鳥だろうな、とその時は思ってんだ。

だって、セグロセキレイも日本固有種の鳥なんだから。

こちらの世界にいる訳ないから、見間違いなんだろうなと思ったけど、あれってやっぱり、セグロセキレイで、偶然ゲートでも繋がって、こちらの世界に来たのかな?


一応先輩召喚者に聞いてみようと、まずはキシ家へウグイスを連れて行ったら、どうやら23世紀ではウグイスは絶滅していたらしく、地球の生き物という以上に、

「これがウグイスですか!

映像で見た事はあるけど、本物は素晴らしい!

これは是非標本に……」

大興奮で、何か危ない事言い出したから、逃げました。


フジ家へ連れて行って見たら、

「まさかこちらの世界でこの鳴き声を聞くことができるなんて、思っても見なかった」

と、泣き出した。

何事かと待合室の患者さんがジロジロ見るので、居心地が悪くてこちらも逃げてしまった。


牧さんは……あまり興味無さそうだった。

「リアル鳥はねぇ…。

モフれないし、鳥以外がいいな。

やっぱりモフってなんぼだよ。

それかせめて擬人化してくれるならこちらも……」

何だか斜めな事を言い出したので、通信を切った。

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