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英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第二章
116/150

日常

いつものように店番をしながら、納品された新たな見本品の検分をしていると、来店を告げるドアベル(カウベル)が鳴った。

「いらっしゃいませ」

入り口に目をやると、スラリと背の高い男性が店に入って来るところだった。

引き締まった身体に、白い騎士団服、輝くブロンドは緩くウェーブしている、絵に描いたような王子様な容姿の……ワンコ副団長だ。

「ウチ様、団長より伝言を承って参りました。

本日急遽王妃様の帰宅へ付き添うため、来店出来なくなってしまったとのことです」

……いや、ネイ、いつもの事だけど、こんな私信に部下を、しかも副団長を使うなよ…。

「了承しました。

しかしリイさん、前々から言ってるけど、私用の伝言なんて断っていいと思うよ。

それに別にネイとは約束しているとかでも無いんだし」

しかしリイさんは、ニッコリ微笑み緩く頭を振る。

「いえ、例えどんな些細な事であろうと、団長の言う事に私は従います。

逆に団長の用件を他の人に任せるなんて事、したくはありませんからね」

あくまでも表情は王子様スマイルなのに、後ろでは尻尾がブンブンと勢いよく振れている。

「それと、こちらは私の私用なのですが、来週ウチの妻の誕生日でして、週末に家でささやかな誕生会を開くのですが、娘が『是非』ウチ様にいらして欲しいと」

ははーん、今日はこっちが本命の話題だな。

「すみません、来週末はヤギ家の農園でタタンジュのメンテナンスなんです」

タタンジュのメンテナンス…つまり躾だ。

生まれて間もない仔タタンジュに、人や家畜を襲わないとか、作物を荒らさないとかを教えたり、毒抜きの手伝いなどを、タタンジュを紹介?した責任として、仔タタンジュが生まれる度にやっている。

タタンジュだって一応魔獣だからね。

人と共存する為にはきちんと躾をしないと、お互いに悲しい事になるからね。

「そうですか…キロが残念がります…………と言うか「パパの役立たず」とか「パパなんてキラ…」とか言われたらどうすればいいんですか!」

あー……ミミはペターンと寝てるし、尻尾は内に丸まってるし……本当に王子様ルックスとのギャップが………。

でも大体、本人の誕生日ならまだしも、母親の誕生会なんて、呼ばれても…だよ。

「ねー、ウチ様、ちょっと顔を出すだけでも…なんだったら次の週の頭にキロに会うだけでも…」

「あー……ごめんなさい、週頭はチムちゃんと買い物をする約束で……」

「チムちゃんと?

キロとは会わないのに、チムちゃんと買い物……。

そんな事キロが知ったら「パパなんて大っきら……」………ああああ…。

あの、キロもそこにご一緒する事は無理ですか⁈」

リイさんには悪いけど、そうすると僕の負担が……。

「ごめんなさい」

嫌な事ははっきりと断ろう。

「ああああああ…キロ、ごめんよ、パパが不甲斐ないばかりに……」

あー、リイさん蹲ってしまったよ。

騎士団服汚れるよー。

本当に残念な人だよなぁ、見た目はこんなにキラッキラなのに。

そんな収集のつかない所に、騎士団の団員さんが店に入って来た。

「副団長、団長がお呼びです」

団員さんは、床に蹲っている姿を見ても一つも気にせず、用件だけ伝える。

この姿が日常だと物語ってるよな。

団長と聞いた途端、頭に張り付いていたミミがピーンと立った。

「わかりました、すぐ向かいます」

立ち上がった時には、先程嘆いていたのと全く別人のような、完璧な王子様、ただしズボンの膝下が汚れているけど…。


慌しく出て行った二人を見送り、僕は見本品の検分に戻る。


なんて事はない日常の一コマだ。

★★★お知らせ★★★


連続更新お付き合い頂きありがとうございました。


次回より通常の奇数日更新となります。

次の更新は3月25日の0時となりますので、暫しお待ちを。


そしてお知らせ★★


明日【英雄召喚された話に色々こぼれ話発生です】の二話目アップします。


二話目はキシ家へ発明品を見に行ったウチが、懐かしい物を見つける話です。


明後日の本編の続きまでの繋ぎにでも、よろしくです。

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