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英雄召喚されたのに色々問題発生です  作者: 七地潮
第一章
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王家の石

その後も五大国は、自分達に逆らう者、都合の悪い者などを南の地へ追放する。

追放された者は、現存する国へ行く者、新たに国を作る者、野盗となる者…。


国を作る者は開拓する手間を省く為、魔物の住処を奪い取り、魔物を追いやっていく。


ラグノルにも、新たに人が入植し、民が増えて行ったのだが、元の立場を主張し、貴族という階級を作る者が出てきて、国の様子は少しずつ様変わりしていく。


ラグノルでは、魔物をいたぶる事を固く禁止していたのだが、人が増えると目の届かない陰が出来る。

陰はラグノルだけではなく、すべての国を覆うように、無差別に魔物の命を奪っていくまでになる。


そして六百年前、数を減らした魔物の祈りから、魔物を統べる王、魔王が誕生したと言う話が伝わってきた。


人が招いたこの戦い、当時の王は魔物との戦いを避ける事は出来ないのかと、神に祈った。

元々魔物の住処に侵略したのは人なのだ。

しかも姿が違うからと、迫害する事は間違っているのではないか。

この国の成り立ちを、古い書物で読むと、魔物との関係が無いとは言えない。

会話が通じて、意思の疎通皮できるのだから、分かり合えるのでは無いか。


彼は神に祈り続けた……。



ある時、祈りを捧げていると、気づけば見知らぬ場所に居た。

見渡す限り、白一色のその場には自分しかいない。

ここは何処だろうと立ち上がろうとすると、目の前に光の塊が現れた。


暖かな光。


その光から意思が伝わって来た。


『魔物と共存はできると思うか』

できると思います…いえ、できます。

『考え方の違う種族が共に生きていけると思うか』

考え方を寄り添わす事は可能だと思います。

『他の民も同じ考えに至ると思うか』

我が国の民なら。

『できない者に関してどうする』

受け入れられない者には国から去ってもらいます。

『人以上の力を得たならどうする』

…魔法のようなものですか?

どうもしません。

力は力でしかありませんから、うまく付き合っていくだけです。

『他の民も同じように考えられると思うか』

私は私の国の民を信じます。

頭からできないと否定する者は、我が国の民ではありません。

『国の民とはそこまで信じられるものなのか』

私には信じられます。

王とは民があっての存在です。

まして我が国の民は遠い祖国から、苦楽を共にしこの地へたどり着き、我が先祖を助けてくれた者達です。

新たに加わった者達も、大半は今ではこの国の一員です。

『そうではない者もおろう』

……全ての人が善人だとは限りません。

しかし、良き者であろうとする事はできると思います。

『できない者にもおる』

……はい。

『その者供をどうする』

出来れば国から去って欲しいのが本音です。

『魔物と共に生き人と決別するのか』

人や魔物など関係ありません。

共に手を取り合える者と生きていく、そんな国にしたいのです。

『甘い夢だと思わぬか』

そうですね…でもできない事では無いと思います。

夢は叶える為にあるのですから。

今すぐは無理でも、百年後、二百年後には、種族関係なく、共に生きている国であると私は願います。

『できると思うか』

思います。

失敗する事もあるでしょうが、私の子供や、意思を継ぐ者は必ず成し遂げます。


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