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大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話  作者: 家紋 武範
【番外の柊斗編】幼馴染みに告白されたけど断ったって話
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最終話

オレは、小さくなりながら二人の背中を追いかけた。


しばらくすると、先輩は駅の方に…。

ニコルは土手の方に歩いて行った。


オレはニコルの背中を追いかけた。


そして、彼女の横に並んだ。


今日は、早足だろうが駆け足だろうが止めてみせる。



「よ…。」


「あ…。なぁんだ。シュートか…。」


「今…帰りか?」


「プ…。見れば分かるでしょ?」


と笑顔になった。

最近見せてない笑顔に…。


なんでそんなにテンションが高いんだよ。

やっぱ、先輩の告白受けちゃったのかよ…。


「あの…。」


「ん?」


「今日は、早足じゃねぇんだ。」


「まーねー。別に急いでないし。」


と、今日はいつもと違う…。


「…なんで?いつもと違う…の…?」


「いつもと…?プッ。最近だけじゃん。」


徹底的におかしい。

テンションが違う…。


「オマエ…。先輩に告白されたろ…。」


「やだ…。なんで知ってんの??」


「どーなんだよ!」


「なにが?」


「受けたのかよ!」


そういうと、ニコルはまた怒った感じになって早足になった。


「別に…。シュートに関係なくない?」


オレはニコルの前に回ってその肩を掴んだ。


「関係…あるだろうが!」


「なんで?関係ないでしょ?」





「愛してるからだろうが!」



言った…。

言っちゃった…。


積み重なったニコルへの気持ちをついに言ってしまった…。



「なぁ、ニコル…。愛してるんだ…。」



ニコルは最初、驚いて真っ赤な顔をしていたが…。


徐々に…。






大爆笑…。



崩れ落ちて、腹を抱えて笑い出した。


「あーーはっはっはっはっは!」


「…なにが…おもしれーんだよ…。人の真剣な気持ちを…。」


これは完全にアウトだ。

先輩に気持ちを持って行かれて、オレのことなんて過去のヤツなんだろう…。


ああ…クソ!

先輩との間で、ネタに使われたりするんだろうなぁ…。


「愛してるだって…。愛してる…。」


と言いながら笑い転げていた。


「オマエ、何がおもしれーんだよ。ムカつくやつだな。もういいよ!」


オレは、ニコルに背中を向けて歩き出した。


しかし、ニコルはすぐに追いかけてきた。



バン!



「いで!」


「そら痛いでしょ。痛いように叩いてんだから。ホイ。かばん。」


…そうだった。ニコルの肩を両手でつかんだんだから、カバンは地面に置いてたんだ…。


「フン…。」


「普通、“愛してる”なんて告白する?普通は“好きです”でしょ?」



ん?


…そう言われれば、…そうなのかも…。



「一日に二件も告白受けるなんて、超モテ期到来だね。」


「うっせーなぁ。もう、オレ泣きそう…。先輩への返事はどうなんだよ!」


「どうって…。断ったよ?」


「…え?」


「ホントに、シュートはあたしのこと何も知らないんだね。あたしはこんなにシュートのこと知り尽くしてるっていうのに…。」


「ど、どういうこと??」


「あのねぇ。シュートも面食いだけど、あたしも超面食いなんだよね。」


「え?」


「アンタは、性格はまだまだ子供。自分のことしか愛してない。そこはハッキリ言って嫌い。」


グァ~ン…。

終わった…。


「だから、アンタと上手に付き合えるのはあたしだけだよ。」


…。 …ん?


「…そうかも…。」


「シュートのことは、顔だけは大好きだよ!好き!愛してる!」


ブッ。

なんだそりゃ…。

転びそうになった。


「顔だけ…。」


「そ。自惚うぬぼれんじゃないよ。自分から告白して来たんだから。お情けで付き合ってやるんだからお礼をいいな!」


「え?だって前にオレのことずっと好きだって…。」


「そんなこと忘れたね。いい?シュートがアタシのこと好きなんだからね?」


「お、おう…。」


「じゃ、もう一回言って!素直なあたしへの気持ちを。」


と言ってニコリと笑った。

それだよ…。

それがオレの好きなニコルだよ…。


「ニコル… 大好きだ!」


秋も終わりかけの冷たい風がオレたちの周りを吹き抜けてゆく。

でも、二人ともなぜかポカポカしていた。


ニコルはカバンを持っていない手を出してきた。

オレがその手を握って歩き出す。


「もう、しょうがないなぁ…。シュートは…。」


「いいじゃねーか。さんざん待たせて悪かったな。」


「ホントだよ。でもアンタを好きでよかった。」


「ありがとな…。ずっと好きでいてくれて…。」


「…顔だけね…。顔だけ…。太ったら承知しないから…。あたしがちゃんと栄養管理してあげないと…。バカみたいに食べるし…。」


「まぁ…。オマエのメシうまいしなぁ…。めっちゃ食べちゃうかも…。」


「大丈夫。ちゃーんとカロリー計算した食事を出しますぜ?ダンナ。」


「風炉家に入る気まんまんだなぁ。」


「それだけがネックよね~。あたしふうになっちゃう…。お風呂のお湯を張るみたいな…。」


「いいじゃねぇか。オレなんて生ハムみてーなんだぞ?」


「ププ…。ホントだ。」



そんなことを言いあいながら、久しぶりに一緒に帰った。

握りあった手がとても暖かかった。


いろいろと大きく道を迂回しながらだったけど、オレたちは恋人同士になれた。

お互いによく知ってる相手だ。

でも、これからはもっともっとお互いのことをよく知り合って行くんだろう。


ニコルのまだ知らない部分をもっと知りたい。

そんな気持ちがつまさきから頭までいっぱいになった。


「じゃぁね。バイバーイ。」


「うん。じゃぁ、またな。」


でもそれはゆっくりでいい。

小さくなっていくニコルの背中を見守りながらそう思った。




【おしまい】

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― 新着の感想 ―
[良い点] ハッピーエンドは良いですね [一言] 幼馴染みは紆余曲折あっても結ばれるのが一番
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