美人な幽霊は幽霊が苦手なようです 2
色々試行錯誤をしながら書いているので、微妙に表現が変わってたりしてましたら、指摘されれば直しますし、温かい目で見守ってくださってもどちらでも構いません。楽しんでもらえたらいいなーで、今日も北彩さん未監修でキャラクターをお借りしてます。
同胞を恐れ、消滅を恐れ、あらゆる事から目を背け続けた成れの果て、死を現実として受け入れられず、今もさまよう亡霊。
彩榎はユウにとって希望だ。
何もかも後ろ向きで前を歩めずにいた己を導く光と信じている。
今も......これからも......
「彩〜〜〜あぁそぉぼぉぉ!」
呼び鈴よりも先に玄関の扉は開き、同時に若々しく活気のある女性らしい透き通った声がアパート中に響き渡る。
「返事する前に入ってくるな......藍」
伏見藍、金髪ピアス、パンクロックとホラー、サスペンス、グロテスク映画が好物で彩榎とは林間合宿中B級ホラー映画の話で意気投合した数少ない高校時代からの友人。
藍も彩榎と同じく強力な霊感の持ち主で、可愛い女の子と霊、特にユウに興味を持っている。
「イイじゃんイイじゃん彩と私の仲だろ〜」
藍は彩榎の脇腹辺りを肘で冗談めかしく突くと、彩榎は鬱陶しげに払う。
藍は、「釣れないな」と陽気に笑みを垂らす、微笑みが似合う美女だ。
しかし、彩榎にとって藍は、幼すぎる性格のせいで異性としてよりは妹のように意識してしまう。
藍は彩榎に「遊びに来た」と言ったが正確には違う。
彩榎はおまけのようなもので本命は例の美人幽霊だ。
「ユウちゃぁぁぁん! あぁぁぁぁそぉぉぉぉぼぉぉぉぉぉ!!」
「ひぃぃぃ!? 藍さんとは遊びたくありません!!」
「何で!?」
ユウに誘いを断られた事で藍は精神的ダメージを受けたのか僅かに蹌踉めくが立て直し、へこたれる事なく笑顔で再度誘う、しかし、想いは届かず再び撃沈。
その後、何度も遊びに誘うが断られた。
「藍さん意地悪です......」
「そんな事ないよ、私がユウちゃんの嫌がる事する訳ないじゃない!」
「本当ですか......?」
物陰から覗き込むユウに藍は手を差し出すと、手のひらにユウが添えるように差し出す。
瞬間、藍は後ろに隠していた手からユウに何かを手渡す。
––––っ!?
白玉はご機嫌そうにユウの掌に収まると、ユウの表情はみるみる青ざめ、意識は静かに遠くへ......
「やっぱり藍さんは意地悪な魔女です......」
「あはは......ごめんネ、許して」
「ダメです、私が白玉ちゃんの事が苦手と知ってて渡した罰です、少し反省してください」
「はーい、もうしませんよー」
(ふふ、霊魂達の事を嫌いとは言わないんだね、ユウちゃん......)
「反省してますー? その割には嬉しそうというか、楽しそうですけど......?」
「し、してるよ! ちゃんとネ」
次回以降は予定では、彩榎と藍の出会いとか、藍とユウに何があって、ユウは藍が苦手なのかとかその辺をちょくちょく書いていきたいです