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聞け、北方に。








楽しんでいただけますよう。



では、どうぞ。














聞け、北方に六翼の鷹あり。



世界の北寄りにある王を戴くこの国はくっきりと分けられた気候をしている。

冬の訪れは早く厳しいが、そのぶん春の訪れは国民の心に大きな喜びをもたらす。

雨季はないので湿気が少ない。国の最北にそびえる山々から吹き下ろす風で夏の暑さは苦にならない。

そもそもこの国の人々は質素堅実な性質なので、不平不満なくよく働いた。

次の冬まで山からの雪解け水で土地は潤っており、稼ぎも実りも長い冬を越すには充分なほどある。


賢王は国民を愛し、良き国民は王を敬う。


国は富み、平和は盤石。



と、王や王家、貴族たちはそう思っているに違いない。



国を富ませ、その国の平和を維持する国王は騎士団をふたつ有している。

王城内で王と王家を警衛するのが王城付きの騎士団。

もうひとつの騎士団は国民を守るために存在していた。

ふたつの騎士団を区別するため、自分達を守ってくれる彼等のことを、民はハイランダーズと呼んでいた。


ハイランダーズはひとりの長を鷹と(あざな)し、その元に六人が従っている。

彼等七人を総称して六翼の鷹という。


彼等は国と王に仕えながらも独立した組織だった。

規模は王都以下、この国の全域に及んでいる。

六翼直轄で組織された各小隊は普段は町や村ごとそれぞれに在駐して警邏を行い、有事の際に招集され事の対策にあたる。

その翼でこの国を空高くに押し上げ、強国と謳われて久しく時が経っている。





と、王城内にある史実書には書いてあることだろう。








国は人。

名も無い人々の小さな営みをより合わせ、その糸から布を織り上げて世界を創り上げている。

それを知っているのは、ほんの一握りの限られた者達だけだった。

それは王家でも貴族達でもない、名も無い小さな人々。

名は持たず、役目を負っている、



小さな人。





その人達の物語。







「六翼の鷹と姫の翼」










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