いきなりの実践訓練
能力を使う訓練をいきなり実践で行います。
朝起きると、ベットに伏せている一樹がいた。側で寝ていたようだ。
「ありがとな。」
俺は着替えて、訓練に行ってくると書き置きをしてアキトがいる地下訓練所へ向かった。
「お、来たか。じゃあ、始めるか。」
「お願いします。」
「うん。えっと、君は初めから炎の制御が出来ていたように見えたからいきなり実践で見てみようと思う。」
「いきなりっすか。どうしたらクリアになるの?」
「俺の左胸にあるバッチを割ったら訓練終了。または、君が戦闘不能になるか、だね。」
そういって、アキトはニコリと笑った。
「上等だ!」
「ならもう始めようか。」
そういわれた瞬間、俺は炎を右腕から伸ばした。黒炎はまっすぐアキトをとらえる。しかし、アキトの眼前の地面が盛り上がり、岩の盾が炎を防いだ。ん?アキトが炎のほうに不自然に引っ張られているように見えるが... 。気のせいか?いや、違う。アキト自身も異変を感じたようだ。この炎は燃やすだけじゃなくて対象を引き寄せるのか!試しに火力を上げてみたが、上げれば上げるほどに引き寄せる力は上がっている。アキトの体勢は綱引きの時のような体勢になっている。
「あとは炎ぶつけて終いだ!」
ドゴーン!
俺は周囲にある岩石ごと引き寄せてアキトに叩きつけた。勝ちを確信したその時、四方の地面が割れ、俺はガッチリホールドしてきた。
「ふーっ。危ない危ない。中々の攻撃だったよ。さすが能力なしで任務こなしてるだけあるよ。」
「どうなってんだ?たしかに当たる感触はあったのに!」
「うん、当たったよ。俺の鎧に。」
アキトの身体をよく見ると岩がまとってある。
「そんな薄い岩で俺の最大火力を... 。」
俺は少しショックだった。
「大丈夫大丈夫!智也の力はそんなもんじゃないから。その力なめちゃいけないよ。」
「ならいいけどさ。ところでアキトの能力は岩を操るんだな。」
「そうだよ。砂もいけるけどね。俺は攻撃より、主に防御につかうけどね。」
「そうなんだ。たしかに防御向きかもですね。」
「智也の炎は引力も備わってるのかな。何か引っ張られたけど。」
「やっぱりですか!やはり、ただの炎ではなかったな。それも利用して戦わないとな。」
「そうだね。そこのところも考えておくよ。智也もイメトレ、大事にね。」
「うん。」
《アキト~。訓練所にいるなら私の所に今すぐ来なさい~》
気の抜けた声でボスの放送がかかった。
「じゃあ、今日の訓練はここまで。行ってくる。」
「あ、ありがとうございました!」
そうして一日目の訓練が終わった。
次回は訓練か任務なのか。