秘め事
この内なる思いは
誰にも気づかれてはいない
日毎に深みを帯びてゆくが
私が秘め事を抱いているなど
誰が考えようか
心地好い胸の痛みも
無表情に装うことが出来る
笑顔の中に押し込め
ある時は
素知らぬ顔で
甘く香る姿を窺う
誰も知るまい
柔らかな髪に触れる幾多の手を
焼き焦がすこの妬み
汚らわしき眼差し達の
眼球えぐり出し
握り潰してやろうか
私の苦しみなど
誰が知るだろう
溜め息にも
溢れ出しはしない
いっそ
体臭に混じるほど
身体中から
漏れだしてくれたらとさへ思う
だが
この胸の深みは
誰にも測ることなどできはしない
だから私は
指先に思いを灯し
あの美しき視界に
彩りを添えるのだ