朝日に匂ふハンバーガー
平成元年。
この世は不思議なものだ。
教師である私は行くべき学校にも行かず絶壁に立っているのだから。
「先生!」
私を呼ぶ声がした。
「山岡さん。どうされました?」
「先生こそ何をしているんですか?学校にも来ないで!」
「私はただ休憩をしているのです。授業を休憩なしで受けれますか?それよりあなたこそここで何をしているんですか?授業中ですよ?」
「そ、それは・・・。」
「鈴矢さん。お時間です。」
「分かっておりますよ。」
「せ、先生!」
「歴史に”かも”など無い。そう伝えましたよね?そういうことですよ。」
□■
「という始まりにすればシリアス調に聞こえると私思うんですが門下の皆さん。どうでしょう?」
私、鈴矢大人が片田舎の子供たちを相手にそう聞く。
「先生。そもそも平成というのはいつなんですか?それから、この小説はギャグ小説でしょう?」
「そうですか。所詮無駄な話でしたか。ところでこの間先生は江戸のほうに出向いて江戸寿司を食べようとしたんですよ!そしたら、なんと!!!」
―虫が!!!入っていたんです!!!
「ありますね。異物混入。」
一人の門下がそういった。
―あることなの・・・!?
「この前も瓦版で話題になってましたもんね。」
別の生徒も乗っかりそういう。
「そうなんですか。先生は瓦版って読まないんですよね。」
「いや、国学教えるならそれぐらい読みましょうよ・・・。」
「そうではありません!!!異物混入・・・立派な問題です。私は国学を嗜んではおりますが以前は商人としての教えを請うていた頃もあったのです!そのような経営体制が如何なものなのか!」
私が門下たちにそう強く唱えると一人の門下が手を上げた。
「?小田さん、どうかしましたか?」
「異物混入程度で騒ぎすぎじゃない。もっと昔はそんなこともざらだったろうに。」
小田さんはこのクラスではお世辞にも礼儀のいい子とはいえないのだが。
「小田さん・・・あなたも女子だ。少しは礼儀をわきまえたほうがいい気もしますが。まぁ、いいでしょう。異物混入が云々と仰いましたがー・・・。」
そこで私は一枚のフリップを置いた。
「これは何だと思いますか?」
「えーっと・・・ペンタゴン蕎麦?」
「正解です。ではこちらは?」
「ペンタゴン蕎麦に・・・※御器噛り?」※ゴキブリ
「そのとおり!このペンタゴン蕎麦。最近、巷で見ませんよね?もう、ペンタゴン蕎麦の販売は終わっているのです!それだけじゃ無いんですよ?」
「そういえば、最近、異国の食べ物でもありましたね・・・”はんばーがー”とかはんぺんがーとかって。」
次々に門下たちが異物混入で消された者たちの話を始めた。
ガラッ!!!
だが、それはこの寺子屋の扉が開けられると同時に収まった。
「あ、あなたは!!マックン社長!」
「私どもは返金を検討しておりません。」
「「「「「「え?」」」」」」
マックン社長の一言で空気はさらに悪くなる。
「あ、先生、この間異国の食べ物を食べたらお腹壊して三日寝込みました!」
「私どもは返金を検討しておりません。」
「マックン社長。私はどうして人の体の一部が食べ物に入ったのか分かりません。」
「私どもは返金を検討しておりません。」
「まぁまぁ、皆さん落ち着いて。社長もどうしてこのような事態になったのか説明していただけないでしょうか?」
「私どもは返金を検討しておりません。」
「でも、先生はこの日出国の者なので異国のものなどそもそも食べませんけどね。」
□■
「どーゆーオチよ・・・」
キャスト
鈴矢大人
小田信子