雪女・下の下
ようやく完結です
予定より30分オーバーして内心めっちゃ悔しいです
男は雪花に伸ばした手を見つめ、ふいに笑う。
「俺に君が好きかと言われたら・・・・はっきり言うとよくわからない」
「そう・・・・・・」
その言葉に雪花はうなだれます。
あぁ駄目なのかと悲しくなります
「でも好きでもない・・・・そう言われると嫌いではない」
悲しくて零れそうな涙が引っ込み、はっと顔をあげ二人の視線が合わさる。
「期待ばかりさせて悪いが俺も女の子にそこまで言われては男が廃る」
「だから」
目を大きく見開き顔には徐々に喜色がにじむ。
「俺もその気持ちに応えよう」
あまりにも必死に自分を想う雪花に折れたらしい
嬉しさのあまり膝から泣き崩れそうな雪花の背に小さな手が支える。
いきなりの事で驚き背後を振り向く。
その後ろには此処にに案内した女の子はニコニコと嬉しそう笑い言います
「・・・・・・ありがとう」
そう言うと雪花の背中を両手で力強く押して前へ突き出します
いきなりのことで転びかけるが寸でのところで持ち直した。
「あれ・・・」
すぐさま後ろを振り向けど女の子の姿が見えません
でも声が聞こえました。
「んふふ・・・・どうか私のバカな兄ちゃんとしあわせにしなってくださいね
私の 未来の おねえちゃん 」
その言葉に、此処まで案内してくれたこの子の正体に
気が付き涙のしずくがポロポロと伝い落ちる。
長い時の中で
この子は見えない姿で兄にただ寄り添って
聞こえない声で囁き続けて
気づかれないまま孤独の日々を過ごして
何時の日か、最愛の兄の心の傷を癒してくれる人を待ち続けてきたのだろう
自分の魂と存在をすり減らしてても。
耐えて耐えて耐えて、成仏と天へ上ることも拒んで。
ただ兄を変えられる私が来るのをまっていた。
「そっか・・・・ありがとう。梓ちゃん」
雪花がつぶやくと嬉しそうな声を残して少女・・・・梓は消えた。
「ねえお兄さん・・・・妹さんの名前は?」
袖で涙を拭いお兄さんに問い、己を正直に語る
自分が何者であったかを、どうしてこの家へとたどり着けたかを。
それを聞くと男は驚くと座り込み酷く泣いた
「そうか・・・・・梓がっ」
「私は神さまがつくってくれたモノだから梓ちゃんが視えたんだと思う」
ちょっとした神の御使いのような存在から人へ変わったため神さまの力が残って
その名残が見せてくれたと仮定する。
「梓は俺を恨んでないか?」
恐々と聞きだすが雪花の言葉を聞くと固まった。
「いいえ。むしろバカな兄をよろしくと言われました。」
その言葉に二人はお互い嗚咽を溢し、最後の方は泣きながら笑った。
もういない妹の優しさと似たもの兄妹の事に。
「さて!泣くのも終わりにして今後の事を考えましょう」
「えっ?」
さっきまで泣いていた雪花の切り替えの一言に目を丸くして、
今度は男の方が驚かされる。
「まずは、庭の雑草取り・洗濯・掃除とやることがたくさんあります!」
確かに、庭は荒れ果てススキが茂り、洗濯は必要最低限にしかしてないから汚い。
「・・・・いきなり過ぎないか?」
「そんな事はないですよ?お兄さんがだらしがないから様なんです」
ぷんぷんと怒った様子を見せる雪花にため息をつくと
膝に力を込めて立ち上がった。
「いいかげんお兄さんはやめろ・・・」
「でも私は名前を知りません」
雪花の言葉に解りやすく顔を曇らせウソだろと言いたげだけだが
「まじか?」
「まじです!」
念の為もう一回聞き返すも同じ答えがかえってくるばかり。
「えーーーーっと・・・・・・すまん」
確かに思い返すと一回も言われた記憶も名乗った記憶すらもない。
ぷんぷんと怒る雪花を宥めながら男は口を開き己の名を口にする。
「陽太<ようた>」
一瞬きょとんと雪花は黙るが次第に意味を理解し満面の笑顔を浮かべる
「それが俺の名前だ」
「はい!私は雪花です」
互い長き時にわたるに初めての自己紹介を終え、これからのことを話した。
「そうそう、私はお嫁さんにしてくれるまで諦めませんよ!!」
「はぁ!?」
「押しかけ女房ってやつですよ」
恋人からじゃないかと陽太は抗議するも相手は首を振って拒否する。
だって何時になるかわからないという理由で。
「どんな手段を使ってもなるので覚悟してください!」
「まぁ・・・がんばれや」
そんなで二人っきりの生活が始まった。
そしてその後、家を綺麗にし、雪花はご近所様へ妻ですとあいさつをし。
なんとまぁ外堀がゴリゴリと埋まっていったり。
綺麗な見た目が噂を呼んで変な虫(男)がよってきて陽太が何かモヤっとししたりなど色んな
出来事や色々と困難があったらしいが雪花と陽太は幸せに暮らしている。
「さてさて、昔にどこかであった小さな物語もこれでお終い。
えっ?二人が結婚したかって?
バカなこと言うな
料理・家事と完璧で見た目もいい
そんな子が自分に惚れて尽くしてくれて落ちない男はいないだろ!。
まぁ男の方は意地っぱりで少しヘタレだったからか手を出すのに一年と半月かかったな
あっ?かかりすぎてないかって
ってか自分から手を出さないから最終的に焦れた雪花の方から押し倒したらしいがな
本当に意気地なしといえる
何でそんな事知ってるかって?
・・・・・・・それは」
語っていた者は口角を釣り上げ笑う。
足に付きそうなほど長い白き髪を風になびかせ
燃えるような紅葉の様な瞳を光らせ
精悍な顔立ちを子供のように嬉しそうに楽しそうに歪める。
「そんなの」
「 おr・・・・我が神だからに決まっているだろ?」
「さぁ帰りな、時期に日が暮れて大魔ヶ時になる
まだ帰ってこないかと親が心配するぞ」
その言葉を聞くと聞いていた子らは蜘蛛の子を散らすように山の社から下って
麓の村へと帰っていく。
でもそんな中、一人小さな女の子が夕焼けを背に神さまの前に立っていた
「ねぇ、神さま?
神さまはいつも一人で寂しくないの?」
目鼻立ちのはっきりした可愛いらしい女の子が問います。
「寂しくはない、我の下にはお前たち子供が訪れてくれるからな」
「ねぇ恋人もいないの?」
「あ?いないなそんな奴」
その言葉を聞くと女の子はとても嬉しそうにコロコロ笑います
「じゃぁ!!大きくなったら私が神さまと結婚するね」
染まった頬は夕焼けのせいか、それとも恥ずかしいのか
ほほにキスを一つすると照れたように女の子は山をくだった。
神さまは少しの間ポカーンと固まると我に返るや息も絶え絶えに
なるほど腹を抱えて笑うとぽつり呟いた
「ふはっ!ったくバカ言え・・・・孫に手を出すかよっ」
これで本当にお話はおしまい
この祖父な神さまと祖父に本気で恋する孫の話はまた今度別の機会に致しましょう。
最後に続編フラグ?立てちゃいました。
反省はしてないが若干後悔はしそう・・・・